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大賞は初音ミク×歌舞伎の「今昔饗宴千本桜」――2016年のAMDアワード

AMDアワード受賞者と審査員

 一般社団法人デジタルメディア協会(Association of Media in Digial:AMD)は、優秀なデジタルコンテンツなどの制作者を表彰する「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'16/第22回AMDアワード」の授賞式を開催した。

 すでに発表されていた、年間コンテンツ賞「優秀賞」の12作品の中から、今回の「大賞/総務大臣賞」および「AMD理事長賞」を選出。大賞/総務大臣賞は、松竹株式会社、株式会社ドワンゴ、日本電信電話株式会社による新作歌舞伎「超歌舞伎 今昔饗宴千本桜」に決定した。また、AMD理事長賞には、エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社の「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」が選出された。

 超歌舞伎 今昔饗宴千本桜は、舞台上の歌舞伎俳優と3D映像がリアルタイムで同じ動きをする「被写体抽出技術」と被写体映像の口元から声を発しているように聞こえる「バーチャルスピーカ技術」を駆使しており、ニコニコ生放送の視聴者累計16万人を記録。新作歌舞伎のインターネット生放送は史上初の試みであり、「今後の演劇、エンターテインメントの可能性を感じさせる革新性」が評価された。

歌舞伎を代表する作品のひとつ「義経千本桜」とニコニコ動画のボーカロイド曲「千本桜」がコラボした「超歌舞伎 今昔饗宴千本桜」
「超歌舞伎 今昔饗宴千本桜」の出演者である中村獅童氏

 PPAPは2016年8月にYouTubeで公開してから、現在までに1億再生を突破。関連動画は10億回を突破しており、10月28日には全米ビルボードの「トップ100」に入った最短曲としてギネス世界記録に認定された。動画投稿サイトを活用することにより、世界中で大ヒットを記録した独創的なアイデア、演出、拡散手法が評価された。

ピコ太郎氏は授賞式でPPAPを披露
コンテンツ制作・関連会社等
・大賞/総務大臣賞
超歌舞伎 今昔饗宴千本桜松竹株式会社、株式会社ドワンゴ、日本電信電話株式会社
・AMD理事長賞
PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社
・優秀賞
ガリガリ君TVCM「値上げ」赤城乳業株式会社、株式会社電通東日本、株式会社電通関西支社、株式会社春企画東京、有限会社ガリガリ君プロダクション
君の名は。「君の名は。」製作委員会
この世界の片隅に「この世界の片隅に」製作委員会
シン・ゴジラ東宝株式会社
超歌舞伎今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)松竹株式会社、株式会社ドワンゴ
TBSテレビ火曜ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」株式会社TBSテレビ
PlayStation VRソニー・インタラクティブエンタテインメント
BABYMETAL株式会社アミューズ
ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社
Pokémon GOナイアンティック社、株式会社ポケモン
ユーリ!!! on ICEユーリ!!! on ICE製作委員会
リオ2016オリンピック閉会式 東京2020フラッグハンドオーバーセレモニー東京都、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック 競技大会組織委員会、株式会社電通、FHO制作チーム
・功労賞
シブサワ・コウ氏
・リージョナル賞
株式会社西広大分支社
・審査員特別賞
MIKIKO氏

 総務副大臣のあかま二郎氏は、今昔饗宴千本桜による伝統とテクノロジーの融合について評価し、「コンテンツ産業はこれからも変化を遂げなければならないし、政府としても『クールジャパン』を強く押していきたい」と語った。

総務副大臣のあかま二郎氏

 AMDアワード審査員長で慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授の夏野剛氏は、「AMDに一番相応しい作品を選んだ結果、超歌舞伎になった」と述べつつも、「今年は本当にどの作品が大賞を取ってもおかしくない状況にあった」と選出に苦労したことを語った。

 「ゲームからCM、手書きのアニメ、フルCGの映画など、12作品はバリエーションに富んでいる。いろんな意味で今年度はクリエイターの皆さんに感動をいただいた。来年度も滞りなく豊作で審査員の頭を悩ますことを祈っている」と締めくくった。

AMDアワード審査員長の夏野剛氏