ニュース
留守でも宅配が届く家を――“IoT土間”によるAmazon Key風の和製サービスが始動
大田区大森に「サービスが入ってくる家」プロジェクトの賃貸マンション
2018年2月7日 06:00
不動産向けIoT製品の開発を手掛ける株式会社ライナフは、宅配サービスなどを自宅不在時でも受けられる「サービスが入ってくる家」プロジェクトを2月下旬に開始すると発表した。まずは、2月下旬竣工予定の賃貸マンション「ジニア大森西」(東京都大田区)の全36室を対象に導入。生協宅配サービス「パルシステム」(生活協同組合パルシステム東京)や買い物代行サービス「honestbee」(honestbee株式会社)などのサービスを入居者が受けられるようにする。
各室の玄関扉にはスマートロック「NinjaLock」が取り付けられており、宅配業者がライナフのコールセンターに電話をかけて本人確認を行うことで、開錠操作が遠隔で行われる。これにより、入居者は留守中でも宅配物を受けることができる。また、NinjaLockアプリからドアの開閉履歴を確認することが可能だ。
留守中に業者が家に入ってくることに対する抵抗感・不安があるが、こうした点に配慮しているのもこのプロジェクトの特徴。玄関扉のスマートロックに加えて、室内には、玄関ホールと居室を区切るドアに鍵を付けている。これにより、業者がリビングなど居室の中まで入ることができないようにできる。玄関ホール部=業者の“サービスが入ってくる”ことができるゾーンを、いわば現代の“土間”として活用するコンセプトになる。この土間に、ネットワークカメラ「Safie」も取り付け、アプリで様子を遠隔地から確認することもできる。
パルシステムやhonestbeeのほか、宅配クリーニングサービス「リネット」(株式会社ホワイトプラス)、家事代行サービス「タスカジ」(株式会社タスカジ)、「ベアーズ」(株式会社ベアーズ)とも提携。現代の“土間”を活用し、留守中の家の中でも受けられる各種サービスを提供する。
なお、入居者が提携する各サービスを利用する場合は、事業者ごとに利用登録するため、料金も別々に支払う必要がある。一方、スマートロックの初期導入費は不動産デベロッパーや管理会社が負担するとしている。
日本の古き良き“土間”を活用して、再配達問題を解消するIoTサービス
マンションの間取りは時代ごとにトレンドが取り入れられてきたが、「今後は不在宅問題を解消するための土間が必要だ」とライナフ代表取締役の滝沢潔氏は語る。単身世帯や共働き世帯が増加し、日中の宅配物などの受取りが困難なケースが増えているが、このIoT機器を活用した“現代版の土間”は、業者が入ってきても抵抗のない空間を設けると同時に、配達員の再配達の負担や残業削減に繋げることができるとしている。
滝沢氏は、米国で昨年10月に発表された「Amazon Key」を類似サービスとして挙げたが、同程度のサービスを国内で展開するのは今回のプロジェクトが日本で初めてだと述べる。「シリコンバレーなど米国企業の動きは速いが、日本もスピード感では負けていないことを嬉しく思う」とコメントした。
提携サービスのラインアップについては、運営フローのノウハウがたまり、課題が見えた後の段階で増やす予定だそうだ。また、今後は新築の分譲マンションや戸建て住宅などへの提供も目指すとしている。