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Wi-Fiで3.6Gbpsに対応、Qualcommの11ax対応SoC「IPQ8072」、auひかりに採用

10ギガ光ファイバー→10GBASE-Tの帯域を有効活用

 策定中のWi-Fi規格「IEEE 802.11ax」のドラフト版に対応したQualcomm製SoC「IPQ8072」が、KDDI株式会社の個人向けFTTHサービス「auひかり ホーム」の加入者宅用機器「BL1000HW」に採用された。Qualcommが5日、発表した。

 IEEE 802.11axは、Wi-Fi子機が高密度で存在する環境における平均スループットの向上を目的として規格が定められており、11acの倍となる8×8のMU-MIMOをサポート。異なるユーザーに異なるサブキャリアを割り当てることで周波数分割多元接続を実現する「OFDMA」も導入されるほか、「1024QAM」のデジタル変調も標準でサポートする。

 これらの技術により、多くのデバイスが高密度に存在する環境下では、11acと比較して約4倍高速なスループットを提供するとされる。規格上の最大通信速度は8ストリーム時で9607.8Mbps。

 QualcommのIPQ8072は、14nmプロセスで製造され、最大スループットは3.6Gbps。Wi-Fi Allianceが1月に発表したセキュリティ機能「WPA3」もサポートしており、データ暗号化が強化されるほか、安全性の高いパスワード認証機能、ディスプレイのないデバイスへのセキュリティ設定機能を提供する。

 このほかQualcommでは、最大スループットが6Gbpsのルーター/アクセスポイント用SoC「IPQ8074」を2017年2月に発表しているほか、2018年2月にはスマートフォンやタブレット、ノートPCといったWi-Fiクライアント向けに、11axの2×2をサポートするチップ「WCN3998」も発表している。

 BL1000HWは、最大10GbpsのFTTH接続サービス「auひかり ホーム10ギガ」、同5Gbpsの「auひかり ホーム5ギガ」の加入者宅に設置するホームゲートウェイ機器。設計はNECプラットフォームズ株式会社が行っており、IEEE 802.11axに加えて11ac/n/a/g/bに対応。2.4GHz帯に送信用4本と受信用4本、5GHz帯にも送信用4本と受信用4本の内蔵アンテナを装備する。なお、KDDIの発表では、Wi-Fiの最大通信速度は2.4Gbpsとなっている。

 有線ポートについては、10GBASE-T対応のWAN×1とLAN×1に加え、ギガビット(1000BASE-T)対応のLAN×3も装備する。

【お詫びと訂正 3月7日 13:21】
 Qualcomm発表のプレスリリースの内容に誤りがあり、記事初出時に「3.7Gbps」としていた「IPQ8072」のスループットと、「6.5Gbps」としていた「IPQ8074」のスループットを訂正するとともに、掲載画像を差し替えました。