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中古車ガリバーはAI×ビッグデータをどう使ったか? ビジネスのAI活用について「DATUM STUDIO」が解説
日活やマネックス証券の活用事例も
2018年4月20日 12:00
データ活用のコンサルティングなどを手掛けるDATUM STUDIO株式会社は、ビジネス分野におけるビッグデータとAIの活用事例について紹介するセミナーを、東京都内で4月13日に実施した。
映画の興行シミュレーターや文章校正にも使われるAI
DATUM STUDIOでは、ビッグデータの分析・予測モデル構築で商品の需要予測や価格予測など、各企業が抱えるビジネス上の課題解決をサポートする。日活株式会社での活用事例としては、社内の映画興行データやSNS上の書き込みを活用することで、映画の動員数を予測するシミュレーターを構築。また、マネックス証券株式会社では、プレスリリース公開前の文章校正を行うシステムを構築した。
中古自動車の仕入れ値を最適化するモデル構築にも携わった。自動車の買取・販売を手掛ける株式会社IDOM(旧社名:株式会社ガリバーインターナショナル)では、これまで専門の査定士が中古車売買情報から販売価格を予想し、中古車の仕入れ値を決めていたが、DATUM STUDIOでは、査定入力データと売買価格などの内部データに加えて、オークションサイトなどの外部データを用いることで、専門家では5%前後だった相場との誤差を0.5%前後に抑える予測モデルを構築した。
DATUM STUDIO代表取締役の酒巻隆治氏によると、予測モデルの構築など、AIをビジネスで導入するには「すでに実践してきたことを蓄積したデータを持つことが前提条件になる」と述べる。人間が記憶・経験から学習して規則性を見出し、判断・予測するように、AIは蓄積されたデータを機械学習で分析、モデルを構築して予測結果を出力する。
酒巻氏は「人が判断するために見ているデータがなければAIをビジネスで活用することは難しい」としながらも、「最近はどの分野においてもデータが溜まり続けているので、いろんなことができると思う」とコメントした。
データを活用するなら、まずは記録方法に注意
膨大なデータを抱えていても、保存形式・量・質によっては活用するのが難しい場合もあるとして、同社データ事業企画部部長の長岡裕己氏は注意を促す。
例えば紙で記録されたデータでも、名刺など定型のものであればOCRで読み込み、デジタルデータ化するのは比較的簡単だが、手書きのものでは一筋縄ではいかなくなる。
とある機械メーカーでは、発注の需要予測に関するモデルの構築用に販売実績など過去70年分のデータを提出。そのうち40年分は手書きの書類だったが、記述された文字はかすれていたり、シミや癖字が多いため、OCRでの文字の判別が難しく、手入力でデータを打ち直す必要が出た。
また、不良品予測に関するモデルの構築をとある製造業から依頼されたケースでは、不良品のパターンに関するデータをほとんど持ち合わせていなかったことから判定モデルの構築が難航した。
「予測精度は最小要素(不良品データ)に影響される。一言でデータがあると言っても、現場の人に確認したり、データの補完に関して試行錯誤する難しさがある。自社のデータを活用したいときは、データの形式・量を見ていただきたい。それによって当てられるものも大きく変わってくる」とコメントした。