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道玄坂上に再開発オフィスビル「渋谷ソラスタ」竣工、会員制シェアオフィスも提供

トイレなどにIoT、屋上では鳥のさえずり・川のせせらぎハイレゾ音響

 駅前などの再開発が進む東京・渋谷にまた1つ、新しいオフィスビルが生まれる。「渋谷ソラスタ(SHIBUYA SOLASTA)」が3月29日に竣工(完成)するのを前に、東急不動産株式会社が19日、報道陣に向けた内覧会を開催した。

「渋谷ソラスタ(SHIBUYA SOLASTA)」

3~4階は会員制シェアオフィスやレンタル会議室

 渋谷ソラスタは、道玄坂上交差点近くの国道246号沿いに位置する。東急不動産の本社のあった新南平台東急ビルと、南平台東急ビル、渋谷TODビル、広井ビルの4つの建物のあった場所に、1棟にまとめて建てた。竣工時点で全フロア契約満了で、東急不動産の本社も入る。

 地上21階・地下1階で、高さ約107m。基準階(通常階)である5~20階にオフィスが入る。延べ床面積が約4万7000㎡で、基準階は1プレート約530坪。総合設計制度(条件のもとで制限を緩和する制度)により、容積率が800%から975%になっている。

 総合設計制度の一環として、3~4階はインキュベーション施設となっている。3階は東急不動産が都内で展開している会員制シェアオフィス「Business-Airport Shibuya Nanpeidai(ビジネスエアポート渋谷南平台)」。サービスオフィス65室やシェアワークプレイスを備え、5月15日開業予定。シェアワークプレイスのプライベート会員が月額9000円(税別)から、サービスオフィス会員が月額8万5000円(税別)から。

 4階は、UDXカンファレンスなどを手がける株式会社インフィールドによる貸し会議室「渋谷ソラスタコンファレンス」で、6月開業予定。

「渋谷ソラスタ」の概要
フロア構成

スマホアプリからオフィスの情報取得や操作

 内覧会では、渋谷ソラスタの特徴について、東急不動産の広瀬拓哉氏(都市事業ユニット・渋谷プロジェクト推進本部・渋谷プロジェクト推進第二部・事業企画グループ主任)が解説した。

 広瀬氏は、世の中で働き方改革が言われ、創造性と生産性を高めることが求められていると説明。そのための渋谷ソラスタのアプローチとして、「コミュニケーション」「テクノロジー」「ウェルネス」の3つを挙げた。

東急不動産株式会社の広瀬拓哉氏(都市事業ユニット・渋谷プロジェクト推進本部・渋谷プロジェクト推進第二部・事業企画グループ主任)
創造性と生産性を高めるための渋谷ソラスタのアプローチ「コミュニケーション」「テクノロジー」「ウェルネス」

 中でも本誌に関係があるのは、テクノロジー面だろう。「IoTを活用したスマートオフィス」を掲げ、東急不動産と株式会社MyCityの共創によって開発したIoTサービスを導入している。

 渋谷ソラスタでは、環境情報や人感センサーなどの各種センサー情報をクラウドに集め、PCやスマートフォンアプリから情報取得や操作ができるようになっている。

 スマートフォンアプリでは、例えば、空調を制御できたり、各フロアのトイレや共用部の混雑状況を確認できたりする。また、高層ビルからは分かりづらい、屋外の気温や降雨情報なども、アプリから確認できる。社内の人間がいまどこにいるかの位置情報も、リアルタイムで確認できる機能もある。

「IoTを活用したスマートオフィス」
スマートフォンアプリからの情報取得や操作
アプリのデモ。社内の人間の位置情報が分かる
各フロアのトイレの混雑状況

 そのほか、太陽光追尾センサーによる自動制御を用いた電動ブラインドや、照度センサーによる自動調光LED照明なども採用しているという。

基準階(通常階)のオフィスフロア
オフィスフロアの設備の説明パネル

緑のある共用空間で、インフォーマルなコミュニケーション

 ほか2点の「コミュニケーション」と「ウェルネス」については、緑のある共用空間の充実が語られた。

コミュニケーション:サードプレイスとしての共用空間
ウェルネス:緑の力の活用

 基準階の各階には、外壁のラインよりも内側に、長さ40mの屋外テラス「グリーンテラス」が設けられている。「この高さで、外に出て自然に触れられるようになっている建物はあまりない」と広瀬氏は語った。

基準階の構成
長さ40mの屋外テラス「グリーンテラス」

 21階は屋上。入居者がサードプレイスとして利用できる庭園「スカイテラス」や、そこに面した「スカイラウンジ」が設けられている。スカイテラスには四季を彩る木々のもとにソファやベンチが置かれている。スカイラウンジでは、ハイレゾ音響による川のせせらぎや鳥のさえずりなどが小さく流れ、聴覚によるリラックス効果が得られる。

 21階ではそのほか、ダイバーシティに取り組み、オールジェンダー用トイレや、礼拝室なども備えている。

 「各階のグリーンテラスや、スカイテラスやスカイラウンジが、インフォーマルなコミュニケーションの場になればいいなと考えている。」(広瀬氏)

21階の構成
21階の庭園「スカイテラス」
スカイテラスから渋谷の街が一望できる
スカイテラスに面した「スカイラウンジ」
オールジェンダー用トイレ
礼拝室

 2階のエントランスにも緑が配されるほか、四方を緑で囲まれたラウンジ「GREEN SQUARE」が設けられている。

2階のエントランス
四方を緑で囲まれたラウンジ「GREEN SQUARE」