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スナップショットに新対応の「TeraStation TS6000」、バッファローが夏発売

NASのリモート管理サービス「キキNavi」無料提供

 株式会社バッファローは、企業向けのNAS「TeraStation」シリーズの15周年を記念し、新たにスナップショット機能を搭載した「TeraStation TS6000」シリーズのデスクトップタイプ2/4/6ドライブモデルと、ラックマウントタイプの4ドライブモデルを今夏より出荷する。また、機器をナビゲートするリモート管理サービス「キキNavi」を4月17日より無料で提供する。

「TeraStation TS6000」シリーズ

 TeraStation TS6000シリーズでは、2.1GHzのクアッドコアCPU(2ドライブモデルは1.5GHzデュアルコア)と、8GBのECCメモリを搭載。スナップショットに新たに対応することに加え、従来製品「TeraStation 5100シリーズ」と同様に、10GBASE-Tに対応する。また、5100シリーズの上位にあたり、価格は若干上回るイメージとなる。

 株式会社バッファローの原幸人氏(ストレージプロダクト&サービス事業部NAS第一開発課長)は、「従来はファイルベースのバックアップで、容量によっては長時間を要していた。業務中に行うと、編集されるファイルが違うバージョンの場合もあり、特定の状況下では、ファイルによってタイムスタンプが異なると問題が起きることもあった」とした。

株式会社バッファロー ストレージプロダクト&サービス事業部NAS第一開発課長の原幸人氏

 そして、スナップショットへのニーズの高まりを指摘。「複数のメンバーでのデータ保存、例えばCADなど大きな建築物は同じ図面を複数人で扱うが、スナップショットでは、バックアップ開始時のデータがバックアップされる」ことをメリットに挙げた。

 また、TS6000シリーズは、iSCSI接続時にPCサーバーを介さず直接バックアップ可能となる。これにより、サーバーの負荷を軽減できるとのことだ。

リモート管理サービス「キキNavi」

 リモート管理サービス「キキNavi」は、対応NASのシステムログをクラウドサーバーに定期的にアップロードし、これをもとに遠隔からの保守管理を実現するサービス。主に、稼働状況把握、遠隔からの簡易操作、稼働状況の共有、設定情報保存の4つの機能を提供する。

株式会社バッファロー ストレージプロダクト&サービス事業部NASマーケティング課長の磯畑明彦氏

 株式会社バッファローの磯畑明彦氏(ストレージプロダクト&サービス事業部NASマーケティング課長)によれば、「“一人情シス”という言葉も出てきている通り、(企業側ではIT部門の)人数が減る一方で管理範囲は広がっている。管理を委託されたSIの側では、販売対象がそれまでのPCだけから、サーバーやアプリへと広がり、これによってメンテナンスの範囲が広がっている。そこに、働き方改革などで、特にメンテにかかわる時間を制限されて、保守管理の負担が大きくなっているというのがSIerからの声」とした。

 キキNaviの対象製品は、「現行販売していて、OSにLinuxを採用したNAS」とのこと。今後は、「5~6年前に販売した1世代前の製品で、メンテナンスは難しいが、まず監視ができるようになる」とのこと。さらに「Windows Storage Server」搭載製品にも対応するが、「もう少し先の話になる」という。

 当初は、企業に設置されたNASの保守を担当するSIer向けに提供される。申し込みを受けてバッファローからIDを渡すことで利用可能になる流れで、ユーザー企業でも見られる管理画面は順次提供の予定だ。磯畑氏によれば、クラウドにはAWSの国内サーバーを用いる。また、「必要な情報はオープンにする」という。

 キキNaviのロゴにある3つの輪は、ユーザー、販売店、バッファローをイメージしているという。これについて株式会社バッファローの石丸正弥氏(取締役兼ストレージプロダクト&サービス事業部長)は、「我々はモノウリでなく、お客様に安心してものを使ってもらう、そのためにSIerさんなどに協力してもらうのは不可欠」とした。

株式会社バッファロー取締役兼ストレージプロダクト&サービス事業部長の石丸正弥氏

稼働状況把握、遠隔からの簡易操作、稼働状況の共有、設定情報保存の4機能

 稼働状況把握は、言い換えれば死活監視で、システムの状態や搭載HDDの情報、UPS、HDDなどのUSB接続機器の状況を確認できる。また、障害通知は、通常はメールが送信されるが、「その前にNASが死んでもクラウド上で状況が確認できる」という。また、復旧ガイダンスは、トラブル状況に従って現地で必要な作業をエラー状況に沿ったガイダンスとして表示する。

 遠隔簡易操作は、NASが設置された企業への訪問回数を減らしたいとの声に応えるものだという。「例えばサーバーのバックアップとしてNASが設置されていると、サーバーの状況は確認できてもNASまでが管理されているケースは少なく、サーバーでバックアップエラーが起きていても、NASの状況は分からないことが多かった」という。

 また、ユーザー企業で計画停電などがある際、「シャットダウンするためにわざわざ足を運ぶ場合が、特に中小企業の保守を行っているSIerに多くいた」という。こうした場合に、「再起動、シャットダウンがしたいとの声を多くいただいていた」のだという。

 さらに、NASのトラブル発生時には、調査するときは「バッファローでも、ログで何が起きているのか確認するところからスタートする。現在はNASの同一LAN内からログを入手して送ってもらっているが、足を運ぶ手間と時間が必要だった。これがクラウドにあれば、すぐに調査などの対応を開始できる」とした。

 また、SIerなどの保守管理側からは担当するA社B社両方のNASを一括して確認できる方がいいのだが、ユーザー企業では、個別の企業ごとに確認したいはずだ。このため、キキNaviでは、保守管理にかかわるメンバー全員を担当ごとに設定できるようになっている。

 設定情報の保存については、ユーザー、共有フォルダー、アクセス制限といった情報をキキNaviのクラウドに保存し、障害などでNASの交換やリプレースを行った際に設定情報を引き継げる。

 設定情報が更新された場合も、クラウド側に反映されるため、SIerが保管していた以前の設定情報が役に立たない、といったこともないという。

「TeraStation」15年の歴史

 2003年に発売した個人ユーザー向けNAS「LinkStation」は、SOHO、中小企業で好評だったが、容量が80GBと120GBで企業ユースには少なかった。翌2004年に発売した初代TeraStation「HD-HTGL/R5」シリーズは、1TBで10万を切る価格が当時は魅力で、企業向けでは珍しい3万台を販売。「稟議なく買える価格で好評を博した」(石丸氏)という。

 また、TeraStationというブランドについては、むしろ海外で認知されているという。「国内では、メルコだとメモリ、バッファローは無線LANのイメージが強いが、『NEXT BIG THING CES 2005』を受賞したこともあり、欧米でより知られている」とした。

 そのTeraStation、発売当初はクレームも多く、製品提供の前半にあたる2008年までは「ひたすら、ものをよくする期間だった。長く使って壊れにくく、メンテしやすいことが重要で、HDDは駆動部品があり壊れるものだが、当時の製品は交換に分解が必要で、組み立て難易度も高かった」と語る。

 2011年以降の現在までは、異なるニーズ、機能や容量など、ラインアップの拡充を図った期間として位置付けられるとした。

 そして、一昨年の2017年からデータ復旧サービスの提供を開始したことは、"モノ売りからコト売り"への意識が強くなった、小さいようで大きな転換点だったという。石丸氏は、「いいものを作ってお客様に喜んでもらってなんぼで、そこに主眼を置いていたが、実のところ、提案しているのはモノであってモノでない。大事なのはお客様のデータを守ること。壊れて消えたデータに対して今までは手が出なかったが、それでは安心してお使いいただけない」と語った。

 現在ではTeraStationの販売台数は累計100万台に達している。「法人向けでそれなりに単価の高い製品であるNASで、国内では少なくとも販売台数ではNo.1との自負がある」と述べた石丸氏は、「100万人のユーザーからいろいろな声をいただいているが、まだまだ足りていないとの声から、少しでも喜んでいただける新しいサービスと製品を提供していきたい」と語った。