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エプソン、天面排紙のA4モノクロインクジェット、前面の排紙トレイによる“出っ張り”を解消した「PX-S270T」発売

「PX-S270T」

 セイコーエプソン株式会社とエプソン販売株式会社は、エコタンク搭載のビジネス向けA4対応モノクロインクジェットプリンターの新製品として、「PX-S270T」を5月17日に発売する。オープンプライスで、参考価格(エプソンダイレクトショップでの販売価格)は3万2980円(税別)。レーザープリンターと同等の設置性と使い勝手をインクジェットで実現するとしており、ビジネス向けモノクロレーザープリンターからの置き換え市場を狙う。

エコタンク初の「S字型給紙経路」で、プリンター天面に排紙

 大きさが375×347×151mm(幅×奥行×高さ)、重さが約4.5kgのコンパクトな筐体に、同社エコタンク搭載機種として初となる「S字型給紙経路」を採用。印刷後の用紙の排出経路を筐体内で1回折り返し、プリンターの天面に排出する「天面排紙」構造とした。

 これにより、プリンターの設置性が向上。奥行が50~60cm程度しかない小売店舗やクリニックのカウンター、バックヤードの手狭なスペースなどでも、前面の排紙トレイによる“出っ張り”を通路などにはみ出すことなく設置できるとしている。なお、従来機種と同様に、用紙を折り返さずに前面からそのまま排出する方式でも使用可能だ。

「S字型給紙経路」イメージ
設置イメージ

 天面排紙とあわせ、ほとんどのレーザープリンターで採用されているという「フェイスダウン排紙」構造も採用。印刷した紙が裏向き(表面が下)になって排出される方式だ。書類が印刷ジョブ順で重なっていくため、クリニックのレセプト業務において患者ごとにジョブを印刷する際などにも、並べ替えが不要で使い易くなるという。

 なお、給紙は、前面から出し入れする内部カセット(250枚)のほか、筐体上部のリヤトレイからも行える2ウェイ方式。これらの組み合わせにより、給紙・排紙は4パターンから選べる。リヤトレイで手差し印刷すれば、レーザープリンターでは対応できない厚紙も印刷可能だとしている。

ファーストプリントは6秒、ランニングコストは0.4円/A4サイズ1枚

 ビジネスで求められる機能も充実させた。まず、ファーストプリントは、待機状態から6秒(スリープ状態からは8秒)となっており、ビジネスシーンで意外に多いという1~2枚程度の小部数印刷が多い場合は、レーザープリンターよりも速く印刷できるとアピールしている。また、印刷速度(A4縦)は20ipmで、従来機種の「PX-S160T」などの15ipmよりも30%高速化された。自動両面印刷にも対応しており、その際の印刷速度は9ipm。

 モノクロインクは顔料タイプで、文字の輪郭部分のドットサイズを小さく制御する「エッジ処理」により、文字の輪郭のにじみを抑制、可読性を向上させている。また、プリンタードライバーで設定可能な「バーコードモード」では、バーコードのにじみを抑え、バーコードの“太り”を低減、認識率を向上させるという(1次元コードのみ)。

 エコタンク搭載機種として、大容量インクボトル1回の交換で約6000ページを印刷可能。レーザープリンターの一般的なトナーの約3倍だとしており、消耗品の交換頻度を大幅に減らせるという。また、台数分のトナーカートリッジが必要となるレーザープリンターではトナーの在庫管理に神経を使うが、インクタンク方式では、同一インクを使う複数台のプリンターでインクボトルのインクをシェアできる点もメリットがあるとしている。

 ランニングコストは、A4サイズ1ページあたり約0.4円(税別)で、従来のエコタンク搭載機種の水準を維持している。

 稼働時と待機時を含めたトータルの消費電力を示すTEC値は0.2kWhで、レーザープリンターに比べ、印刷時に熱を使わないため消費電力量が少ないという。

 インターフェースは、IEEE 802.11b/g/nの無線LAN(2.4GHz帯のみ)、有線LAN(100BASE-TX/10BASE-T)、Hi-Speed USB。なお、無線LANと有線LANの同時利用はできない。

複合機もラインアップ、身分証のコピーで紙を無駄にしない「IDカードコピー機能」搭載

 シングルプリンターのPX-S270Tのほか、スキャナー機能も備えた「PX-M270T」、さらにADFとファックス機能を備えた「PX-M270FT」もラインアップする。いずれもオープンプライスで、参考価格はPX-M270Tが3万9980円(税別)、PX-M270FTが4万4980円(税別)。

「PX-M270T」
「PX-M270FT」

 これら複合機では、ビジネス向けの機能として「IDカードコピー機能」を搭載した。カウンター業務などで身分証明書の両面をコピーしたい場合に、表面・裏面を順番にスキャンし、それを1枚の用紙の片面にまとめて印刷できるものだ。本体タッチパネルから操作できる。PX-M270FTのADFのスキャン速度は7ipm。

 本体の大きさ・重さは、PX-M270Tが375×347×302mm(幅×奥行×高さ)・約6.4kg、PX-M270FTが375×347×346mm(幅×奥行×高さ)・約7.5kg。いずれも、プリンター部分の筐体デザインおよび設置面積はシングルプリンターのPX-S270Tと同じで、その上方に原稿台やタッチパネルなどが付く構造になっている。