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「幸楽苑」が働き方改革アプリ導入、レッドフォックスの「cyzen」を全店舗に

従来のチェーンストアマネジメント手法からの脱却目指す

株式会社幸楽苑ホールディングスの新井田昇代表取締役社長(左)とレッドフォックス株式会社の別所宏洋代表取締役社長(右)

 ラーメンなどの外食チェーンを展開する株式会社幸楽苑ホールディングスは4日、レッドフォックス株式会社が提供する営業支援システム(SFA)の「cyzen(サイゼン)」を、幸楽苑の全店舗(508店)に導入したと発表し、都内で両社による共同記者発表会を開催した。

 cyzenは、位置情報を活用し、スマートフォンから出金管理や報告書作成などが可能なシステム。企業の営業担当者の生産性向上や働き方改革支援を目指しており、レッドフォックスは同システムを“働き方改革アプリ”としてアピールしている。

 幸楽苑はcyzenの導入により、スマートフォンを使って店長が本社に直接報告できるようにする業務プロセスを構築。エリアマネージャー(スーパーバイザー)が各店と個別に直接コミュニケーションを取りながらサービス向上を図っていた従来のチェーンストアマネジメント手法からの脱却を図る。

 具体的には、店舗に置かれた大量のチェックリストをcyzenの「写真付き報告書」に運用を切り替え、清掃チェックを行ったり、キャンペーン告知や新メニューの告知などが行われているのか、内容に間違いがないかを確認するといった用途に利用する。

 同時に、これまで負担が重かったエリアマネージャー業務を軽減することによる労働時間の短縮や、本社が現場の声をダイレクトに把握することによる改善点対応の迅速化も期待できる。また、業務プロセスのクラウド化により改善点の共有をスムーズにするという効果もある。このほか、店舗からの報告書や見積書の送付をFAXからスマートフォンに変更することでペーパーレス効果も見込まれる。

幸楽苑での「cyzen」活用の概要

 「cyzenを導入した理由は、今までの外食チェーンの働き方にイノベーションを起こしたいと思ったからです。私が外食の現場を経験していた15~16年前と比べても、今の現場はほとんど何も変わっておらず、マネジメントのあり方は紙ベースで、電話やFAXを使ったやり取りを続けています。ここに風穴を開けたいと思いました。現場から本社への報告のプロセスをcyzenを使って改善することで、業務効率を上げて生産性を向上させ、現場のワークライフバランスを実現させたいと思います。」(幸楽苑ホールディングスの新井田昇代表取締役社長)

 「外食チェーンにおけるエリアマネージャーの業務は今日、非常に多岐にわたっています。エリアマネージャーはいろいろな店舗の問題について、本部から依頼を受けてチェックしていくわけですが、それらの報告書は紙ベースで管理し、それをメールで報告するというやり方で行われています。幸楽苑の場合、これらの業務をエリアマネージャーが行うのではなく、店長が自らcyzenを使って報告します。開店前の準備や営業中の衛生管理・清掃管理、閉店後のチェック、これらすべてをcyzenを使って写真付きで分かりやすく確実に行えます。また、現場の人たちが自主的に工夫して本部に提案して応用する、そのような新しい働き方も実現できます。」(レッドフォックスの別所宏洋代表取締役社長)

 幸楽苑は、昨年の大晦日と元日の2日間を、創業64年の歴史で初めて全店一斉休業として、現場スタッフが家族と一緒に年末年始を過ごせる環境を作るなど、働き方改革に積極的に取り組んでいる。今回のcyzenの導入によって、同社の働き方改革が今後どのように進化するのか注目される。