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10Gbps対応「フレッツ 光クロス」はIPoE方式でのみ提供開始。今後、PPPoE方式は縮小されていくのか?

 最大10Gbpsの光回線サービス「フレッツ 光クロス」の提供を、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)と西日本電信電話株式会社(NTT西日本)が4月から開始するが、ISPとの接続方式は当初、「IPoE」方式のみに対応し、もう1つの「PPPoE」方式への対応はまだ先になる見込みだ。

「フレッツ 光クロス」サービス提供イメージ

 NTT東西の光回線を用いたインターネット接続サービスでは、NTT東西が運営するネットワークである「NGN(Next Generation Network)」と、ISPのネットワークがはっきり分けられていることが特徴だ。そのため、フレッツ光でNGNに接続しているユーザー宅からISPへ接続する方法として、PPPoEとIPoEという2つの方式が用意されている。

 PPPoEは、「フレッツ・ADSL」の時代から利用されている方式だ。フレッツ・ADSLもNTT東西のネットワーク(地域IP網)とISPのネットワークが分けられており、ユーザー宅とISPはPPPoEで仮想的に接続していた。PPPoEは、その後、光接続サービスの「Bフレッツ」でも採用された。

 NTT東西でIPoE接続が導入されたのは「フレッツ 光ネクスト」から。IPoEは、イーサーネットにIPを通すという一般的なLANと同じ技術のため、PPPoEとは全く異なる。

 このPPPoEまたはIPoEのどちらの接続方式に対応するのか決めるのはISP側だ。しかし、PPPoEとIPoEは異なる技術であり、ISPは、NGNとの接続点をそれぞれの方式で用意しなければならない。そのため、PPPoEでのみ接続しているISPもある。

NGN IPoE協議会より「IPv6 IPoE方式とIPv6 PPPoE方式の違い」。IPoEとPPPoEでは、用いられている技術や必要なネットワーク機器は異なる

 今回発表されたフレッツ 光クロスは、サービス開始当初はIPoEのみの対応のため、PPPoEの接続点しか用意していないISPはフレッツ 光クロスに対応できないということになる。

 フレッツ 光クロスではPPPoE接続への対応が遅れることから、NTT東西にはIPoEに一本化したいという考えがあるように見えるが、そうではない。NTT東西ともに「PPPoE方式については、準備が整い次第、提供予定」としている。

 このうちNTT西日本は、フレッツ 光クロスに対応させるため、PPPoEとIPoEのネットワークの構築を同時に開始したという。しかし、先にIPoEのネットワークの構築が完了し、PPPoEでの接続は遅れるとしている。PPPoEでの接続を開始する時期について未定としながらも、ネットワークの構築は進めており、完了次第、PPPoEに対応するとしている。

 NTT東日本でも、IPoE接続のネットワークが先に構築できたため、PPPoEを用いた接続は遅れるとしている。PPPoE接続の開始時期についても、NTT西日本と同様、時期については未定としながらも、ネットワークの構築は進めており、完了次第、PPPoEに対応するとしている。

 また、NTT東西ともに、PPPoE方式について、ISPから引き続き利用していきたいとの要望があるため、縮小する予定はないとしている。

【お詫びと訂正 2020年2月25日 16:00】
 記事初出時、NTT東日本におけるPPPoE接続の開始時期について、「2021年4月を予定」との記述がありましたが、具体的な時期については「未定」です。お詫びして訂正いたします。