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Huawei、独自規格「Wi-Fi 6+」対応ルーター「WiFi AX3」発表

~5G対応「Wi-Fi 6+」ホームルーター「5G CPE Pro 2」も

Wi-Fi 6+対応ルーター「WiFi AX3」

 Huaweiは、スペイン・バルセロナで記者会見を開催し、Huaweiの独自規格「Wi-Fi 6+」に対応するルーター「WiFi AX3」を発表した。

 Wi-Fi 6こと「IEEE 802.11ax」の規格としては、2020年1月にWi-Fi Allianceが発表した拡張規格「Wi-Fi 6E」が最新のものとなっている。Wi-Fi 6Eは、Wi-Fi 6標準規格をベースとして、6GHz帯を利用帯域として新たに追加したものだ。これは、6GHz帯が免許不要なアンライセンスドバンドとして利用可能になることを見越し、帯域の混雑緩和と、今後増大が予想される広帯域を必要とするサービスへの対応を目的としたものとなる。

 これに対し、Huaweiの独自規格であるWi-Fi 6+は、利用帯域を広げるのではなく、既存帯域の効率を高める方向で拡張を行ったものとなっている。

 Huaweiが開発したWi-Fi 6+対応チップセットを搭載するスマートフォンと、Wi-Fi 6+対応ルーターは、完全なペアとして接続され、接続帯域の効率を最大限引き出すことが可能になるという。例えば、5GHz帯域で2×2、160MHz幅での接続を行った場合、2400Mbpsの速度でリンクするのはWi-Fi 6標準規格と同等だが、実効速度はWi-Fi 6+対応機器の方が高速になるそうだ。

 また、「Dynamic Narrow Bandwidth technology」と呼ばれる技術を採用することで、2MHz幅の狭帯域幅の利得が6dBに高まり、より多くの壁を越え、遠くまで安定して電波が届くようになることで、広い範囲で安定した通信が可能になるという。

Wi-Fi 6+では、リンク速度はWi-Fi 6の標準規格と同等だが、実効速度が高速化する。また、「Dynamic Narrow Bandwidth technology」によって、広い範囲で安定した通信が可能になるとしている
Huaweiが開発したWi-Fi 6+対応チップセット。「Gigahome 650」がルーター向け、「Kirin W650」がスマートフォン向けのチップセット

世界初Wi-Fi 6+対応ルーター「WiFi AX3」、1.4GHzクアッドコアチップ「Gigahome 650」搭載

正面。後方にある大型の外部アンテナは前後に角度調節が可能

 そして、そのWi-Fi 6+に対応する世界初の製品として発表されたのが、Wi-Fi 6+ルーターの「WiFi AX3」だ。「Gigahome 650」という1.4GHzクアッドコアプロセッサ内蔵のWi-Fi 6+チップセットを搭載。5GHz帯と2.4GHz帯のデュアルバンド構成で、いずれも2×2 MU-MIMOに対応。最大通信速度は5GHz帯が2401Mbps、2.4GHz帯が574Mbpsとなる。

 WiFi AX3は、OFDMA対応で5GHz帯で最大16デバイス、2.4GHz帯で最大4デバイスの同時通信に対応するとともに、両帯域合わせて最大128台のデバイスと接続可能となっている。また、5GHz帯域に2つ、2.4GHz帯域に2つ、計4つの独立したパワーアンプを搭載することで安定した接続が可能としている。

 有線ポートは、WAN×1とLAN×3を備え、いずれもギガビット対応となる。このほか、本体上部にNFCを内蔵しており、対応スマートフォンをかざすだけでWi-Fiに接続できる機能も備えている。

左側面
背面。有線ポートは、WAN×1、LAN×3で、いずれもギガビット対応

 本体後方に4本の大きな外部アンテナを備え、WAN/LANポートや電源コネクタは本体後方に配置している。サイズは225×159.2×39.7mm(幅×奥行×高さ、アンテナ含まず)、重量は403g。

本体の上部中央には対応機器とWPSを行うためのボタンを搭載。またNFCも搭載しており、対応スマートフォンをかざすだけで接続可能
カラーはブラックとホワイトの2色を用意。アンテナには“Wi-Fi 6+”のロゴが印刷されている

 仕様はほぼ同一ながら、デュアルコアプロセッサ内蔵Wi-Fi 6+チップセットを採用する下位モデルもラインアップする。発売時期および価格は、いずれのモデルも現時点では未定だ。

Wi-Fi 6+と5G通信に対応するホームルーター「5G CPE Pro 2」

5G通信対応Wi-Fi 6+ホームルーター「5G CPE Pro 2」

 Wi-Fi 6+対応機器として、5G通信対応のホームルーター「5G CPE Pro 2」も発表された。

 Wi-Fi 6+部分のスペックはWiFi AX3と同等で、これに加えてHuaweiの5Gモデムチップ「Balong 5000」を採用することで、下り最大3.6Gbps、上り最大250Mbpsの5Gデータ通信にも対応する。5G対応バンドも11バンドと豊富だ。

 有線ポートはWAN×1とLAN×1で、いずれもギガビット対応。また5G/4G通信用のnano SIMカードスロットも備える。サイズは90×96.6×178mm(幅×奥行×高さ)、重量は約600g。こちらも発売時期および価格は未定。

正面
背面下部にある有線ポートは、WAN×1、LAN×1で、いずれもギガビット対応

 なお、Wi-Fi 6+で接続するには、スマートフォン側がWi-Fi 6+対応コントローラーチップ「Kirin W650」を搭載している必要がある。しかし、現時点ではKirin W650搭載スマートフォンは登場していない。おそらく、今後発表されるであろう次期フラッグシップスマートフォンで搭載されるものと思われる。