ニュース
前月比30%増、Akamaiのトラフィックが新型コロナの影響で急増
ピークでは前年比の2倍の167Tbpsに
2020年5月22日 16:41
アカマイ・テクノロジーズ合同会社は5月21日にプレス向け説明会を開催し、職務執行者社長の山野修氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴う変化として「Akamaiのネットワークトラフィックが急激に増加した」と述べた。
3月のピークトラフィックは167Tbps、スポーツイベント配信なしでも倍増
山野氏によると、世界での3月のトラフィックは、前月比で約30%増加したという。通常、月平均のトラフィック成長率は3%程度とのことなので、急増と呼べるものだ。日本国内のみでは、4月に前年同月から58%増の急増となった。
ここで、ピークトラフィックの数字を詳しく見ていこう。2019年3月の82Tbpsに対し、2020年3月には167Tbpsと倍増。アカマイでは2019年12月23日、ピークトラフィックが106Tbpsになったと発表しているが、この値からも52%増加していることが分かる。
これについて山野氏は、「昨年のピークトラフィック記録は(トラフィックが増大する)スポーツイベント配信があったため。今年はスポーツイベントがない代わりに、ネットTVやゲームダウンロード、自宅でのウェブ閲覧が増えた。インターネットのトラフィック増にバックボーンが耐えられるのかという議論もあったが、問題なく解決できた(山根氏)」と述べた。
日本に限ると、ゴールデンウイークの1週間に70%伸び、特にネットTV、ゲーム、ネットショッピングのトラフィックが増加したという。
「Akamai Edgeプラットフォーム」増強で、トラフィック増に対応
Akamai内でデータ配送を担う「Akamai Edgeプラットフォーム」として、ISPなどに設置するエッジサーバーは、昨年の24万台から28.5万台へ、設置個所も3900から4100に増強し、インターネットトラフィックの成長に対応させているとのことだ。
日本法人であるアカマイ・テクノロジーズではCOVID-19拡大を受け、1月下旬に全日の在宅勤務を許可。2月下旬には在宅勤務を推奨し、3月26日には在宅勤務を必須とした。Akamai全社でも、3月上旬に在宅勤務を推奨、5月8日には「2020年末までは(オフィスへのアクセスが可能になっても)在宅勤務を選択可能」としているとのことだ。
Akamaiが生産性を維持しつつ在宅勤務を可能にしているのは、すでにゼロトラスト・セキュリティ・ネットワークを利用していたからだ。社内においてもクラウド上のID認識プロキシを使用して業務を行っているいため、在宅勤務でも利用者の使用感は変わらないという。
このクラウド上のID認識プロキシである「EAA(Enterprise Application Access)」は、ユーザーがAkamai Edgeネットワークを介して認証を行い、オンプレミス、IaaS、SaaSを問わず業務に必要なリソースにアクセスできる仕組みとなる。
アカマイ・テクノロジーズ合同会社 シニア・プロダクト・マーケティング・マネージャーの金子春信氏は、「固定的かつハードウェア投資が必要なVPNに比べ、短期間の導入が可能なほか、現在のオンプレミス、IaaS、SaaSへの安全なアクセスが柔軟に行える」点をメリットに挙げた。
金子氏自身は、在宅勤務の感想として「オフィスよりも集中が高まり、多くのアポを処理できる。その一方で、運動不足と肩こりには悩まされた。オンラインでのヨガレッスンのプログラムを受講しているほか、会社の補助でディスプレイや肩の凝らないマウスを購入した」のだという。
なお、EAAは大規模・短期間導入にも対応しており、海外で3万人規模、国内でも数千人規模のリモートアクセスを整備中だという。そして国内で中長期的なセキュリティ向上の取り組みとして、ゼロトラスト型アクセス環境を整備している直近の事例も紹介された。