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在宅ワークが難しい人へ「オフィスでも自宅でもない3rdプレイス」提供
全室個室のサテライトオフィス「point 0 satellite」を全国各地に開設
2020年9月10日 07:00
株式会社point0は、全室個室のサテライトオフィス「point 0 satellite」を全国各地に開設すると発表した。9月7日にオンラインで開催された同社のイベント「point 0 ignite 2020 summer」において説明された。
point0は、パナソニック株式会社や株式会社オカムラ、ダイキン工業株式会社などが出資し参画するベンチャー企業。現在、丸の内に会員制コワーキングスペース「point 0 marunouchi」を開設し、会員向けに提供するとともに、その中で未来のオフィス空間づくりに向けた実証実験をしている。
既存のpoint 0 marunouchiが企業会員とその企業間コミュニケーションをターゲットにしていたのに対し、point 0 satelliteは個人ワークを対象に個室を提供する。主に、自宅ではリモートワーク環境が厳しい人に向けたもので、オフィスでも自宅でもない3rdプレイスとしての利用をターゲットにしている。
point 0 satelliteは、各地の事業パートナーと組んで展開し、point 0単独での施設展開は行わない方針。point 0は企画立案や運用サポートなどの役割となる。各店舗のブランド名も事業パートナーのものとし、例えば「○○○○ powered by point 0」のような名称を想定している。利用者は、1つのアカウントで全国の店舗を利用可能になる。
直近では、関東では2020年度中に東京に第1号店を開設、関西では2021年度春に大阪に第1号店を開設する予定。3年で100店舗に拡大することを計画している。
店舗のパターンとしては、都市部と郊外の2つを考えている。都市部は大きめの場所を、郊外は比較的小規模な場所を想定している。
point 0 satelliteでもオフィス空間の実証実験を行う。point 0 marunouchiでは、オープン空間最適化を実現するソリューションや、空間全体におけるIoT化を実験していた。それに対しpoint 0 satelliteでは、個人に特化した最適空間制御や、個室空間におけるIoT化を実験する。
オフィスに行く必要はないが、執務スペース確保が難しい人
point 0 ignite 2020 summerでの発表において、株式会社point0代表取締役/ダイキン工業株式会社の石原隆広氏は、point 0 satelliteを開始する背景について説明した。
新型コロナウイルスにより、「必ずしもオフィスに行く必要はない」という意識の変化があった。一方で、小さな子どもがいる家庭や、一人暮らし、書斎のない家などで、自宅で執務スペース確保が難しい人が一定数いることを石原氏は指摘する。
そしてこれからは、週5日オフィスに出社して働くのではなく、業務の種類によって、オフィスや自宅、3rdプレイスなどの働く場所を選択してコントールするようになるだろうと石原氏は語った。
こうした背景をもとにpoint 0 satelliteが企画された。コンセプトは「安心して快適に集中できる環境」。「通常のサテライトオフィスは、オープンエリアに机と椅子のみがあって、合間に使うイメージのもので、長時間利用は厳しい」と石原氏。それに対して、個室空間でも長時間の業務を可能にする空間を提供するという。
point 0が提供する、6つの分野の先進ソリューション
point 0参画企業がpoint 0 satelliteに提供するソリューション6分野については、株式会社point0取締役/パナソニック株式会社の豊澄幸太郎氏が説明した。ニューノーマル時代のためのソリューションが多い印象だ。ただし、全て検討中のもので、決まったものではないという。
1つめは「安心・安全な空気環境」で、換気や空気室モニターなどを提供する。
2つめは「徹底的な非接触操作ソリューション」。スイッチやドアノブ操作の非接触化を試み、ジェスチャー操作なども検討する。
3つめは「いつでも快適」。空調や照明による快適制御を提供するほか、花器などアートも活用する。
4つめは「ウェルネス」。エルゴノミクスに配慮した家具や、抗菌対応の机、紫外線による滅菌、情報の可視化など、安全・清潔・快適かつスタイルに合わせた仕事ができる環境を提供する。
5つめは「ハイレベルなセキュリティ」。非接触な顔認証や、カメラによる入退室の録画などにより、ハイレベルなセキュリティを実現する。
6つめは「ストレスレスなWEB会議環境」。「point 0 marunouchiでも、音の問題からフォーンブースなどが人気」(豊澄氏)とのことで、サウンドマスキングなどの音漏れ防止と、快適な音空間とを両立させていく。
こうした6つに加え、「point 0のビジネスとして、オフィスメンテナンスサービスも考えている」と豊澄氏は語った。駆けつけメンテナンスや計画メンテナンスのほか、センシングにより問題を未然に予防する予防予知メンテナンスも実証実験していく考えだという。