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オフィスワーカーの9割「テレワーク解除後も、職場か家庭のどちらかで働くか選びたい」

シスコのアジアパシフィック地域の調査結果

 シスコシステムズ合同会社は、2021年以降に予想される新しい働き方に関する調査「Workforce of the Future」の結果を発表した。調査対象はアジアパシフィック地域の14の国・地域。オフィスワーカーの88.49%は、テレワーク解除後も職場か家庭のどちらで働くか選択肢を持ちたいとしている。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を防ぐため、ロックダウンや、政府・自治体による要請により、テレワークが余儀なくされている状態だ。これよりも前から、ほぼ毎日テレワークを行っていたのは全体の9.56%だった。また、テレワークに切り替えるように要請があった当初は、「テレワークは調整の手段に過ぎなかったかもしれない」と考えられていた。

 しかし、調査結果によると、従業員は新しい働き方で感じたメリットを今後も維持したいと考えているとしている。維持していきたいこととは、自律性の向上(69.94%)、分散チームとの良好な作業(69.06%)、より迅速な意思決定(67.13%)だ。

 また、回答者の69.22%は、同じ部屋にいなくても従業員同士のコラボレーションは可能であるとしている。そのため、企業の82.51%は従業員の家庭も職場と同じテクノロジーが利用できるようにすべきと考えている。

 テレワークは、日常生活においても多くのメリットが見られる。68.00%の従業員は運動を日常のスケジュールに組み入れており、64.11%はテレワークにより移動時間を減らし生産性の向上に活用したいとしている。

 調査から過去6カ月を振り返ると、71.73%の従業員はテレワークのメリットと課題を高く評価。49.98%のリーダーはチームがそつなく仕事をしているという信頼感が向上したという。

 この調査結果について、シスコのハリハラン・S氏(ソフトウェア、クラウド、コラボレーション セールス担当マネージングディレクター)は、「職場で働くことにメリットがあるのと同様に、テレワークにもメリットがあることは明白です。スタッフの生産性維持を望む雇用者は、スタッフ間の効果的なコラボレーションを実現したいと考えますが、今日の従業員が望むハイブリッドな働き方エコシステムへの移行を成功させたい場合は特に、適切なツールを採用する必要があります」としている。

日本のテレワークは、生活と仕事のバランスが取れていない?

 今回の調査は、アジアパシフィック地域を対象に行われたが、日本に絞った調査結果も報告されている。回答者の85.84%は、業務を行う場所について職場かテレワークの決定権の向上を望んでいるというのは、アジアパシフィック地域全体とほぼ同じ傾向だ。

 しかし、全体と日本で異なる結果も多い。

 新しい働き方で感じたメリットで維持したいことのうち、自律性の向上は、全体では69.94%だが、日本では51.94%だった。企業は、従業員が家庭と職場の両方で同様のテクノロジーを利用できるようにするべきとするのは全体では82.51%、日本では60.12%。チームがそつなく仕事をこなしているという信頼感が向上したとしたリーダーは、全体では49.89%だが、日本では31.31%だった。

 仕事だけではなく生活面も大きな差があり、生活と仕事のバランスが向上したのは全体では68.00%だが、日本では34.40%と低い値となっている。

 Workforce of the Futureは、ロックダウン中(日本においては緊急事態措置の期間中)に10日以上連続してテレワークで働いたアジアパシフィック地域の14の国・地域の1万4063人を対象に調査したもの。対象となったのは、オーストラリア、インド、中国、日本、韓国、タイ、台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、シンガポール、ニュージーランド、香港。従業員数は2人から500人以上で、業種は多数に渡り、2020年9月8日から10月15日に実施された。