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テレワークでエンゲージメント低下、社員の声を吸い上げて経営にフィードバックする必要あり

「月刊総務」調査

 株式会社月刊総務は、企業における「モチベーションに関する調査」の結果を発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるテレワークやオンラインイベントに関する項目について調査したもので、総務の担当者を対象にした雑誌「月刊総務」とメールマガジン「月刊総務オンライン」の読者を中心に、10月20日~26日にウェブアンケートで実施された。有効回答数は253件。

社員同士が対面することが減り、モチベーションに影響

 「新型コロナウイルスの感染拡大以降、社員同士が対面で会う機会に変化がありますか」との質問では、「とても減った」が60.5%、「やや減った」が34.0%、「変わらない」が5.5%。「社員同士が顔を合わせる機会が減ることで、モチベーションに影響はあると思いますか」との質問では、「ある」が82.6%、「ない」が17.4%となっている。

「新型コロナウイルスの感染拡大以降、社員同士が対面で会う機会に変化がありますか」

新型コロナウイルス感染症により、オンラインでの社内イベントが増加

 対面で会う機会である社内イベントは、2020年は2019年より大きく減少している。「2019年に『対面で』実施した社内イベント」(複数回答可)では、「社員研修」が75.1%、「入社式」が68.4%、「新年会・忘年会」が66.8%、「歓送迎会」が58.1%、「懇親会・シーズンパーティ」が56.1%と続いている。

 2020年は大きく変化しており、「2020年に『対面で』実施した社内イベント」(複数回答可)は、「入社式」が33.2%、「何も実施していない」が28.9%、「社員研修」が26.5%、「内定式」が22.9%、「内定者研修」が14.6%だ。何もしていない企業が3割弱あるが、入社式、社員研修、内定式、内定研修といった新入社員に関するイベントは比較的、対面でも行われているようだ。

対面で実施したイベントの2019年と2020年の比較

 このように2019年と2020年を比べると、対面でのイベントが減っている一方で、オンラインでの開催は大幅に増えている。

 「2019年に『オンラインで』実施した社内イベント」は、「何も実施していない」が70.8%だった。

 これに対し、「2020年に『オンラインで』実施した・実施予定の社内イベント」(複数回答可)では、「何も実施していない」は22.5%と大幅に減少した。実施したものは、「社員研修」が52.2%、「全社総会」が29.2%、「内定者研修」が24.1%、「内定式」が22.9%、「入社式」が22.9%。

オンラインで実施または予定をしているイベントの2019年と2020年の比較

テレワークのコミュニケーション不足でエンゲージメントが低下

 社員が対面で会わなくなった理由で一番多いのは、テレワークの推進だろう。「テレワークの推進により、手軽なコミュニケーションの取りやすさに変化はありますか」との質問では、「取りにくくなった」が72.3%、「変わらない」が19.2%、「取りやすくなった」が8.5%だった。また、「テレワークの推進により、会社と社員のつながりに課題を感じていますか」では、「感じている」が84.2%、「感じていない」が15.8%だった。

 テレワークを実施している企業(177社)に対して、「テレワークの中で会社の方向性を社員に伝えることができていると思いますか」と質問をすると、「とても伝えにくくなった」が15.3%、「やや伝えにくくなった」が63.8%、「やや伝えやすくなった」が18.6%、「とても伝えやすくなった」が2.3%という結果になった。

 このうち、伝えにくくなったと回答した企業(140社)に絞り、「会社の方向性を伝えにくくなったことで、社員のエンゲージメントに変化はありますか」という質問も行っており、「とても低下している」が7.1%、「やや低下している」が88.6%、「やや向上している」が3.6%、「とても向上している」が0.7%。社員と会社の一体感であるエンゲージメントの低下を感じているという結果になった。

 このアンケート結果により、テレワークは「気軽なコミュニケーションが取りにくくなった」「会社と社員とのつながりに課題を感じている」「会社の方向性を社員に伝えにくくなった」「社員のエンゲージメントが低下」という悪い流れが起きている可能性があると考えられる。

エンゲージメントの低下を経営にフィードバックする必要あり

 このエンゲージメントの低下を感じる具体的な場面として、調査結果では「会社より次年度方針説明でも無関心」「社員の本当の声が届きにくくなった。伝言ゲームがとても多い」「若手社員で退社する人数が増加した」「聞いてない、知らないという受け身の社員の増加」が挙げられている。

 また、テレワークの弊害として、「できるだけ出社しないで済ませられるように、自分の都合を人に押し付けようとする社員が増えているように感じる」や「会議出欠の反応遅く、オンライン会議では参加遅刻が多い」という問題もあるとしている。

 アンケートを実施した月刊総務はこの結果を受けて、「テレワークにより社員同士が対面で会う機会が減ったことなどの要因により、モチベーションやエンゲージメントの低下という課題が生じている」として、「総務は、社員の声を吸い上げて経営にフィードバックするとともに、コミュニケーション施策を状況に合わせてアップデートしていくことが求められる」としている。