ニュース

テレワークの生産性は出社時の84.1%、向上させるには「結果を重視する志向性を持つこと」~パーソル総研調べ

 株式会社パーソル総合研究所は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による、雇用や労働に関する調査の分析結果を公表した。これは「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」の総合分析偏として発表されたもの。同調査は、2020年11月18日~11月23日にインターネットで実施。サンプル数は1万5603人で、就業者、人事・経営層、失業者、休業者が含まれている。

 正社員に対する「仕事の生産性について、職場に出勤して仕事をするときの生産性を『100%』とすると、テレワーク時の生産性はいくつになりますか」との質問では、全体の平均は84.1%だった。また、新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを始めた人の生産性は82.2%だが、以前からテレワークを行っていた人は89.4%で、両者にははっきりと差が見える。これは、テレワークを続けると、生産性が向上するとも捉えられるだろう。

 また、生産性の分布図も公開されている。生産性が100%以下の正社員は64.7%だが、100%以上は35.2%だ。そのため、3分の2程度の正社員は、テレワークは職場よりも生産性が低下していることになる。

職場を100%とした、テレワークの生産性の分布図。70%から100%が多くを占めている

 就業者1万5000人を対象とした「コロナ禍をうけて、今後のキャリアや人生設計に関して考え方に変化はありましたか」との質問もある。「思いが強まった」としていることとして、「専門性の高いスキルを身につけたい」が30.9%、「配偶者・パートナーが欲しい」が28.8%、「副業・兼業を行いたい」が28.3%、「学び直しをしたい」が27.7%、「働くこと自体を辞めたい(引退)」が19.7%だった。これらの数字と比べると低いものの、「テレワークできる会社・職種に転職したい」という回答も17.6%あった。

 この結果について、パーソル総研は「コロナ禍によって仕事に対する不安や仕事以外の時間が増したことで、スキル向上や学習意欲向上の契機となったことが伺える」としている。

「コロナ禍をうけて、今後のキャリアや人生設計に関して考え方に変化はありましたか」との質問への回答結果。「専門性の高いスキルを身につけたい」「副業・兼業を行いたい」など前向きな変化が多い

 今回の分析結果について、パーソル総研の上席主任研究員である小林祐児氏は、テレワークは職場よりも生産性は落ちるとしながらも「テレワーク時の生産性を高める組織の特徴としては、業務プロセスや上司のマインドの柔軟性が高く、結果を重視する志向性を持っていることが挙げられる」としている。その一方で、「逆に生産性を低めていたのは、集団・対面志向が強く、年功的な秩序の組織であった」とコメントしている。