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「ビジネス開発をアジャイル化」する、Jira Alignとは?

Trelloのアトラシアンが、ソフト開発の手法をビジネス開発にも適用

Jira Alignの画面

 Jira(ジラ)やTrello(トレロ)などのSaaS(Software as a Service)形式の法人向けソフトウェアを提供する豪州のソフトウェアベンダー「Atlassian」の日本法人となる「アトラシアン株式会社」(以下両社合わせてアトラシアン)は、2月17日に「ATLASSIAN TEAM TOUR」というオンラインイベントを開催し、同社のソフトウェアソリューションに関する各種の発表や解説などを行った。

 ATLASSIAN TEAM TOURの分科会として行われたアトラシアンのウォーレン・ジョーンズ氏(シニア・ソリューション・エンジニア)による「Jira Align:ビジネスとテクノロジーをつないでエンタープライズ・アジリティを獲得」という講演の中ではそうしたJira Alignの概要説明とデモが行われた。

ソフトウェア開発だけでなく、ビジネス全体のアジャイル化に使える「Jira」

アジャイル化やDXのためのIT投資をしている企業の多くは目標を達成できていない

 アトラシアンが提供するJiraは、元々はソフトウェアのコード開発をアジャイル(英語で「機敏な」という意味が転じて、プロジェクトを走らせながらソフトウェアを開発していくことの意味で使われる)的に開発していくためのプロジェクト管理ツールとして知られている。現在でももちろんソフトウェア開発に使われているが、それに加えて企業のプロジェクト管理や、サービスの展開管理などに利用されている。Jiraにはそうした利用目的に応じて「Jira Software」、「Jira Align」、「Jira Service Management」などのバリエーションが用意されており、エンタープライズのビジネス効率化などに利用されている。

 Jira Align(ジラ アライン)もそうしたJiraのファミリー製品の1つ。Jiraの元々の使われ方であるアジャイルのソフトウェア開発はJira Softwareになったのに対して、Jira Alignはソフトウェアに限らない企業のビジネス管理を行うためのソフトウェアで、SaaSの形で提供されている。

 例えば、ある製品リリースのプロジェクトを企業が立ち上げる時には、まず事業計画を作り、製品のロードマップ(いつまでにベータ版を作り、この週や月に製品をリリースするなどの計画のこと)を作成し、そのロードマップが着実を実行していくなどのプロセスを経て製品化される。Jira Alignではそうした企業のプロジェクトを管理したり、役員が現在その製品プロジェクトがどこまで進んでいるのかなどを確認したりという機能を一括して提供している。

 ATLASSIAN TEAM TOURの分科会として行われたジョーンズ氏による「Jira Align:ビジネスとテクノロジーをつないでエンタープライズ・アジリティを獲得」という講演の中ではそうしたJira Alignの概要説明とデモが行われた。

アジャイル化の実現は企業にとって重要になりつつある

 ジョーンズ氏は「我々は重要な顧客とコミュニケーションする中で、多くの企業がビジネスのアジャイル化やデジタルトランスフォーメーションを実現するために多大なIT投資を行ったが、目的を達成できていないという声を多数伺った。部門レベルでは効率アップを実現している例は少なくないが、役員レベルでそれを実感できているかと言えばそうではない」と述べ、アジャイル化やデジタルトランスフォーメーションに企業が多大なIT投資を行っているが、多くの企業ではその目的を達成できていない現状があると指摘した。

組織で何が今起きているかを可視化し、アジャイル化の成果を共有

大企業などでは部門と役員などでギャップがある

 そうしたアジャイル化やデジタルトランスフォーメーションを実現するためには「全てのエンジニア、従業員、役員などの間で同期を取る必要があり、それぞれが全体がどう動いており、今各々が行っている作業がなぜ重要なのかを理解する必要がある。そうした変化が上下左右、組織全体に反映される必要がある」(ジョーンズ氏)とし、それを実現するためにはJiraのようなソリューションが有効だと強調した。

部門毎に使っているツールが違っていたりとサイロ(細分化)が発生している

 ジョーンズ氏は「部門レベルでアジャイル方式を導入しても、それが成果にどう結びついているかをみんなが理解することはできるか? そのままではできない。例えばロードマップはPowerPointで管理されていたり、予算の管理は表計算でとそれぞれ別のツールで管理されている。そうした悩みを持つ企業にとって有効なのがJira Alignだ」と述べ、アジャイル的にプロジェクト全体や企業運営全体を効率化するためのツールがJira Alignであり、これまで別々のツールを使ってきた企業の悩みを解決するためのツールになると説明した。

Jira Alignは他のJira Softwareなどと協調して動作させることができる
AT&Tが導入

 ジョーンズ氏は「企業はJira Software、Jira Service Management、Confluence、Trelloなどのほかのサービスをそのまま使いながら、Jira Alignを平行して使うことにより、マネージャーは製品の戦略の管理や製品開発の進行管理などを行うことができる。その具体的な事例としてはAT&Tの事例がある。AT&TはJira Alignを利用することで、組織全体の動きを可視化するなど非常に早く成果をあげることができた。それにより製品投入までの時間を従来の半分にし、コストを3分の1に抑えるという目標をわずか6カ月で実現できた」とAT&Tでの事例を紹介した。

Jira Alignを導入したAT&Tの成果

 AT&Tが2018年のカンファレンスで紹介した例として、24のPI(Program Increment)と1800のイベントを3カ月で立ち上げたことで、75万ドル(1ドル=106円換算で7950万円)ものコスト削減につながったとジョーンズ氏は説明し、「組織全体が可視化されたことでこうしたコスト削減が実現された」と述べ、Jira Alignによる組織全体の動向の可視化が成功の鍵になると述べた。

 その後ジョーンズ氏は具体的にJira Alignのデモを行った。その中ではメニューからレイヤーとして組織全体の状況を確認できること、フィルターの使い方、組織のデータを階層化してグラフィカルに確認したり、戦略をどのように実行していく方法などについて説明された。

Jira Alignのデモ画面。左側のメニューから操作できる
用語の定義も変更できる
組織の仕組みをグラフィックスで表示
企業の戦略をヒエラルキーにしてグラフィックスで表示
ロードマップもJira Alignで作成可能
開発時のキャパシティなどをカンバン方式で表示
プログラムの依存関係も表示
グラフィックスでも表示可能
プログラムの進捗状況を確認
プログラムの進捗状況の詳細を確認できる
ステータスの情報をプレゼン用にPowerPointに出力することができる