ニュース

「ふるさと納税」の利用率は約36%、人気の返礼品は肉や魚介類、フルーツなど~楽天インサイト調べ

 楽天インサイト株式会社は「ふるさと納税に関する調査」の結果を発表した。ふるさと納税の利用率は昨年の調査よりも高く、ふるさと納税で返礼品を受け取った回答者は36.4%。返礼品の内容は「精肉・肉加工品」「魚介類・水産加工品」「フルーツ・果物」といった食料品が人気だった。

 調査は同社のモニターを対象に、10月28日~11月1日にインターネットで実施された。有効回答数は1000件。

「返礼品があるふるさと納税」の認知率は9割越え、利用者は昨年より10ポイント増加

 返礼品があるふるさと納税の認知を尋ねたところ、認知度は全体で91.3%という結果になった。年代別・性別では、30代男性が96.8%と全体と比べてやや高く、さらに「内容や仕組みを知っている」が54.8%と半数を超える結果となった。

 同社が提供する、回答者を情報感度が高い順に「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」の5タイプに分類する「イノベーターマーケティング」を用いての分析結果では、最も情報感度が低い「ラガード」でも78.9%が認知しているという結果になり、幅広く認知されていることが分かったという。

返礼品を受け取ることができるふるさと納税の認知率

 一方、災害復興支援などを目的とした返礼品がないふるさと納税の認知度は、全体で52.0%だった。情報感度別では、新しい商品やサービスに敏感な「イノベーター」および「アーリーアダプター」の70.0%が認知している一方、比較的情報感度が低い「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」では半数程度、「ラガード」では30.7%にとどまった。

返礼品がないふるさと納税の認知率

 返礼品のあるふるさと納税への寄付を実施したか尋ねたところ、今年度では「寄付した(またはする予定)」が36.4%という結果になった。年代別・性別で見ると、男女ともに20代、30代、40代が4割を超えている。なお、同社が昨年行った同様の調査では「寄付した(またはする予定)」との回答は27.5%で、約10ポイント上昇し、活況となる可能性があるとしている。

返礼品を受け取ることができるふるさと納税の寄付実施状況
今年度と昨年度の返礼品を受け取ることができるふるさと納税の寄付実施状況

 また、寄付した理由について尋ねたところ、上位は「地域の食材や工芸品などの産品に興味があるから」が48.4%、「税金の使い道を指定することができるから」が33.3%、「気軽に旅行に行けないため地域の産品で旅行気分を味わいたいから」が17.8%という結果になった。

ふるさと納税を通して寄付した(またはする予定の)理由

人気の返礼品トップ3は「精肉・肉加工品」「魚介類・水産加工品」「フルーツ・果物」。子どもの年代による違いも

 今年受け取った返礼品のカテゴリ上位は「精肉・肉加工品」が53.6%、「魚介類・水産加工品」が45.2%、「フルーツ・果物」が34.3%という結果になった。

受け取った返礼品のカテゴリ比較

 子どもと同居している世帯における子どもの年代別で人気の返礼品を見ると、「未就学・小学生」がいる世帯では、「精肉・肉加工品」や「日用品雑貨・文房具・手芸」、「キッズ・ベビー・マタニティ」が全体の数字を5ポイント以上上回った。「中学・高校・大学生」のいる世帯では「フルーツ・果物」と「米・穀類」の3カテゴリが、全体の数字を5ポイント以上上回った。同社では子どもの年齢も返礼品選びに影響している可能性があるとしている。

受け取った返礼品のカテゴリ比較、「未就学・小学生」「中学・高校。大学生」

「自分にゆかりのない地域」に寄付が6割以上

 今年ふるさと納税を通じて寄付をした自治体との関係について尋ねたところ、「自分にゆかりのない自治体」が64.5%、「住んだことはないが、旅行などで訪れた自治体」が24.0%、「自分の出身地である自治体」が14.2%となった。

寄付先と自身の関係性

 ふるさと納税を通じて寄付をする前と後での興味の変化について尋ねたところ、興味が高まったこととしては、「地方に対して」が85.0%、「日本の食文化に対して」が80.9%、「寄付という行為に対して (ふるさと納税に限らず)」が80.3%、「納税という行為に対して (ふるさと納税に限らず)」が78.7%という結果になった。

ふるさと納税を通じて寄付をしたことで興味が高まったこと (「興味が高まった」と「どちらかといえば興味が高まった」の合計で算出)

ふるさと納税をしなかった理由「確定申告やワンストップ特例制度が分からない」が最多、が最多、改善求める声も

 ふるさと納税をしなかった人に理由を尋ねたところ、「そもそも興味がない」を除き、「『確定申告』や『ワンストップ特例制度』のやり方が分からない」が24.6%、「一時的な出費が大きいから」が19.9%と続いた。年代別で見ると、20代では「返礼品の選び方が分からない」が30%、30代では「一時的な出費が大きいから」が30.4%と多くなっていた。

ふるさと納税を通じて寄付をしなかった理由

 ふるさと納税に改善を希望することを尋ねたところ、「あてはまることがない」を除き、「ワンストップ申請の手続きががわかりやすいこと」が26.8%と最も多かった。そのほかには「返礼品の種類がさらに増えること」が25.0%、「少額の寄付が可能になること」も25.0%と続いた。

ふるさと納税に改善を希望すること

若年層にとってはまだ壁が高い模様、一方で地方や食文化に関心を持つきっかけに

 同社ではこの結果を受けて、若年層は申請の方法や返礼品の選び方、一時的な出費の大きさに壁を感じている様子がうかがえたとしている。

 一方で、ふるさと納税の寄付を通じて、地方や日本の食文化、さらに寄付自体といった、社会・文化的関心が高まり、ふるさと納税制度が地方支援にとどまらない影響を与えていることが分かったという。