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Wi-Fi 6E国内利用に向け1歩、総務省が導入に向けた技術的条件の審議結果を公表

 総務省は4月19日に、Wi-Fi 6Eの利用周波数帯である6GHz帯の国内利用へ向け、「6GHz帯無線LANの導入のための技術的条件」に関して情報通信審議会から受けた一部答申について公表した。

 情報通信審議会情報通信技術分科会の陸上無線通信委員会が、Wi-Fiへの6GHz帯導入のための技術的要件に関して検討を行った結果についての審議。総務省では今回の一部答申を踏まえ、電波法関係省令などを速やかに整備していくという。

周波数共用検討の結果を踏まえた6GHz帯無線LANの技術的条件(案)

 6GHz帯のWi-Fiには、Wi-Fi 6とも呼ばれている「IEEE 802.11ax」において既に規格化済み。また、今回の答申はWi-Fi 6Eを前提としたもので、現在標準化が進められて、11axからチャネル幅が倍の最大320MHz幅となるWi-Fi 7こと「IEEE 802.11be」での6GHz帯利用については、規格策定などの状況を踏まえ、必要に応じ技術的条件の見直しを行うことが適当とされている。

 なお、陸上無線通信委員会報告(案)に対するパブリックコメントが3月2日から4月1日まで実施され、4月18日には結果が発表されていた。今回の発表は、これを受けてのものとなる。

 6GHz帯については、米国と韓国で5925~7125MHz帯(1200MHz幅)、ヨーロッパで5925~6425MHz帯(500MHz幅)が割り当てられている。今回取りまとめられた技術的条件案では、日本ではヨーロッパと同じ5925~6425MHz帯の500MHz幅を割り当てる。ただし、6425~7125MHzについては今後も継続して検討される予定。

 また、このうち5925~5945MHzは、放送FPUや将来新たなV2Xシステムの導入をにらみ、ガードバンドとして設定されるため、利用可能な周波数帯は480MHz幅となる。チャネルの配置は20MHz幅で24チャネル、40MHz幅で12チャネル、80MHz幅で6チャネル、160MHz幅で3チャネルとなる。

 電波出力については、e.i.r.p.で25mW以下とするVLP(Very Low Power)モードが屋外で利用できる一方で、200mW以下とされるLPI(Low Power Indoor)モードは屋内での使用に限られる。また、米国で利用可能なSPモードの国内利用は見送られている。

 Wi-Fi Allianceでは、Wi-Fi 6E機器について、世界で2021年には約2億台、2024年には約15億台が出荷されると予想。これを受けて総務省では、2023年には普及へ向けて市場が立ち上がると予測している。

 6GHz帯の利用シーンについて総務省では、「モバイル端末を用いた動画再生やAR(拡張現実)エンタメ分野でのVR(仮想現実)や高精細映像配信の利用拡大が想定される。」ほかに「工場や医療分野において遠隔制御・通信等の活用が見込まれる等、様々なシーンでの利用が期待される。」としている。