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テレワークに「ストレスを感じる」割合が1年間で増加、理由は「仕事とプライベートの区別がつかない」など~テレリモ総研調べ

コミュニケーションの取りづらさも課題に

 株式会社LASSICが運営するウェブメディア「テレワーク・リモートワーク総合研究所(テレリモ総研)」は、「テレワークにまつわるストレスに関する変化」の調査結果を発表した。2020年度と2021年度を比較すると、男女ともテレワークに「ストレスを感じる」との回答が増加しているという。

 同調査は、テレワークを経験したことのあるビジネスパーソン1035人を対象として2021年9月にインターネットを通して行ったアンケートの結果を、2020年度に行った同様のアンケートの結果を比較したもの。そのうち、特に変化の大きかった項目について理由を考察している。

テレワーク経験者の4分の1がコロナ禍後も完全テレワークを希望

 2021年度の調査のうち、コロナ禍が落ち着いた後でどのような働き方(テレワークとオフィスワークの比率)を希望するか尋ねたところ、「完全テレワーク(在宅勤務含む)が」24.9%で最多となった。

 続いて「週2日テレワーク」が19.9%、「週3日テレワーク」が18.1%、「週4日テレワーク」が10.3%、「月に数日テレワーク」が10.0%という結果に。最も希望の少ないのが「完全オフィスワーク」で、7.1%だった。

 テレリモ総研では、テレワークを経験した人の9割以上が引き続きテレワークを希望していることが分かるとし、「テレワークの普及はコロナ禍と関係なく、より一層加速していくものと考えられる」と考察している。

コロナ禍が落ち着いた後、希望する働き方(2021年度)

テレワークに「ストレスを感じている」が男女とも増加

 テレワークになってストレスを感じるかと尋ねた回答を、2020年度と2021年度で比較すると、2021年度の調査で「ストレスを感じている」または「どちらかといえば、ストレスを感じている」と回答した割合は、2020年度の調査において同種の回答をした人と比べ、男性では4.1ポイント、女性では7.8ポイント増加したことが分かった。

テレワークでストレスを感じるか(2020年度)
テレワークでストレスを感じるか(2021年度)

コミュニケーションの取りづらさは「これまでと異なる課題」

 続いて、ストレスを感じていると回答した人の中で、ストレスの理由について尋ねた回答を2020年度と2021年度の間で比較した。すると、「仕事とプライベートの区別ができない」という項目が、男性でで8.1ポイント、女性で5.7ポイント増加したという。テレリモ総研では、テレワークが始まった時点ではあった緊張感が、慣れてくるにつれてより曖昧になってしまったのではないかと考えられるとしている。

 また、「上司、同僚とのコミュニケーションが取りづらい」という項目も男性で0.5ポイント、女性で3.9ポイント増加している。テレリモ総研はこのことに関して「テレワークが長期化・一般化したことによって、今まで以上に見過ごせない課題ではないか」とし、新たな職場環境で働く人だけでなく、受け入れる会社の先輩・上司が、これまでと異なるコミュニケーションの課題に直面していると考えられると考察した。

 このほか、「長時間労働になっている」との回答が男性で2.7ポイント増加している(女性では4.8ポイント減少)ことにも注目。労働時間にまつわるストレスが増えていることが分かるとしている。

 テレワークにおける長時間労働は、残業というかたちだけでなく、終業時間後に夕食や家事を済ませてからまた仕事に戻ったり、早起きして始業時間前から仕事を始めたりといったかたちもある、と例を挙げた。また、「時間内に収めよう」という意識が低下すると集中力や緊張感が削がれ、作業量は変わらないのに、労働時間が長くなっていく悪循環に陥ってしまうこともあると指摘している。

テレワークでストレスを感じる理由(2020年度)
テレワークでストレスを感じる理由(2021年度)

要望を積極的に発信することでテレワーク環境の改善を

 テレリモ総研は、ここまでの考察を踏まえ、テレワークについて、充分に検討されることなく、なし崩し的に決まってしまったルールや、いまだ明確なルールが存在せず『何となく』行われている習慣が多数存在し、それらがストレスを生む原因となっているとする。

 その上で、現状は改善していける余地が大きいとし、会社およびスタッフ双方が「ここが不満」「こうして欲しい」といった要望を積極的に発信していくことで、お互いストレスのないテレワークを実現できるのではないかと提案している。