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Microsoftが「Teams Premium」を発表、ミーティング後の“まとめ”をAIが自動作成してくれる機能など実装

会議室予約ツールの「Microsoft Place」と新しい「Microsoft 365 app」の計画も

Microsoft Teamsの新しいプレミアム版「Teams Premium」では、「インテリジェント・リキャップ」(自動まとめ作成機能)がサポートされる

 Microsoftは10月12日・13日(米国時間)、エンタープライズ向けベント「Microsoft Ignite 2022」をSeattle Convention Centerで開催する。それに先だって12日(日本時間13日未明)に報道発表を行ない、同社CEOのサティヤ・ナデラ氏が行なう基調講演などで公表される新しい製品や機能などを明らかにした。

 その中でMicrosoftは「Teams Premium」という新しいプレミアム版のTeamsを発表し、ミーティング後のまとめを自動作成する機能などを実装することを明らかにしたほか、Microsoft 365の新しいアプリとして「Microsoft Places」を発表した。

 また、Microsoft 365向けのアプリとして新しく「Microsoft 365 app」を投入し、従来、WindowsやAndroid/iOSに提供していたOffice appを置き換え、機能を強化することなどにより、ユーザーの利便性を高める計画だ。

「インテリジェント・リキャップ」でまとめを自動作成、会議に未参加の人も重要ポイントをすぐに確認可能

「Teams Premium」で新たにサポートされる「インテリジェント・リキャップ」

 Microsoftが新たに発表した「Teams Premium」は、Microsoft 365に付属するライセンスとは別に販売される新しいサブスクリプションだ。Microsoft 365に付属する標準のTeamsに比べて、特に主催者側に便利な機能が追加されている。

 「ミーティングガイド」の機能では、Teamsの会議に参加するメンバーに、より簡単な手順で招待状を出し、ヘルプデスク的なサポートなどを提供することが可能になる。それにより、主催者の負担を減らした状態で会議を行なえる。また、Zoomではすでに提供されていた機能だが、会議を行うときに自社のロゴを表示するカスタマイズを行うことも可能になる。

 このTeams Premiumの大きな目玉機能になりそうなのが「インテリジェント・リキャップ」、つまり、自動まとめ作成機能になる。Teamsは、主催者が録音、録画、トランスクリプション(文字起こし)などを有効にすることができ、それをデータとして参加者に提供することが可能だ。そのデータから会議で盛り上がったポイントなどをAIが自動で判別してインデックスを作成し、会議に参加しなかった人にもどこがこの会議の重要なポイントなのかを示すということを自動で行なうことができる。

文字起こしデータなどから「View meeting recap」を押すと、まとめが自動作成される
まとめ作成を受け入れると作成が開始される
AIによりチャプターに自動で分割される
自分が会議を抜けた所なども分かる
必要なチャプターだけを送ることもできる
Outlookの会議の予定にまとめが表示されるようになる。これは便利

 そのほかにも、会議の自動作成機能、会議録画のチャプターを自動で作成するインテリジェント再生、文字起こしした記録を自動で他の言語に翻訳する機能などに対応しているほか、会議の資料に透かしを入れたり、録音を制限したりといったセキュリティ機能も標準のTeamsに比べて拡張されている。

 Microsoftによれば、Teams Premiumは12月からプレビューを開始する計画になっており、そこから徐々に上記の機能が追加されていく。そして2023年2月から一般提供が開始される予定。ただし、インテリジェント・リキャップなどのAIを利用する機能に関しては2023年前半に順次、提供を開始する計画だ。なお、Teams Premiumの価格に関しては現時点では明らかにされていない。

「Microsoft Places」をプレビュー提供開始、会議室リソースの柔軟な活用が可能に

「Microsoft Places」のイメージ

 Microsoftが発表した新しいアプリ「Microsoft Places」は、ハイブリッドワーク時にオフィスのミーティングスペースを効率よく配分するためのツールとなる。すでに欧米では「with コロナ」と呼ばれるような、ウイルスはなくならないが、それはそれとして受け入れて社会活動を元に戻すという方向に向かっており、日本もそうした方向に舵を切り、中国などの一部の国を除いてグローバルには移動制限はほぼなくなっている。

 そうした社会的な背景もあり、オフィスに出勤する従業員も増えつつある。ある程度はオンライン会議などで代替は可能であっても、結局は対面のミーティングにはかなわないと考える従業員の方が多くなってきているからだ。対面で会社の同僚とミーティングしたり、取引先とミーティングしたりということが徐々に増えてきている。そうした対面とリモートの両方を、時と場合に応じて使い分けるハイブリッドワークという働き方が一般的になってきているのだ。

 しかし、そうなると問題になっているのが、会議室の不足だ。というのも、コロナ禍でリモートワークが中心になって以来、会議室やオフィススペースが使われなくなったため、オフィスを移転してそうしたスペースを縮小してしまったという企業も少なくないからだ。そこで、出勤している従業員が会議室を奪い合うという笑えない状況が発生しているのが今のビジネス環境だ。

 そこで、Microsoft Placesはそうした限られた会議室の利用を最適化するツールとして利用できる。従業員が空いている会議室を予約できるという基本的な機能があるだけでなく、管理職が自分の部下に対して対面の会議を許可するなどの使い方も可能になる。

「Microsoft Places」を利用した会議予約の画面、リアルの会議室とバーチャルのミーティングの両方を一括して管理できる
スペースの予約もオンラインで
会議の構成なども予約できる
CO2排出を最小化する分析なども可能

 Microsoftによれば、Microsoft Placesはまもなくプレビューが開始される計画ということだが、一般提供の時期などは現時点では特に言及されていない。

Office appを置き換えて新機能を搭載する「Microsoft 365 app」、複数のOfficeアプリケーションを1つのアプリで利用可能に

複数のOfficeアプリケーションを1つのアプリで利用できる「Microsoft 365 app」のイメージ

 「Microsoft 365 app」は、従来、WindowsやAndroid/iOSなどに提供していたOffice appを置き換える、新しいMicrosoft 365のアプリとなる。Microsoftは生産性向上ツールのブランドをOfficeからMicrosoft 365へ移行を進めており、このOffice appをMicrosoft 365 appに置き換えるのもそうした戦略の一環と言える。

 Office appからの改良点としては、従来はWord、Excel、PowerPointぐらいしか新しいファイル作成ができなかったのに対して、より広範囲なアプリケーションのファイルをMicrosoft 365 appから新規作成し、OneDriveにファイルを保存することができる。そのほかにも、ファイルアクセスが改善されたり、検索機能が向上したりしている。

 Microsoftによれば新しいMicrosoft 365 appは、一般消費者向けのMicrosoftアカウントでMicrosoft 365を契約しているユーザー、および企業・学校向けのAzure AdアカウントでMicrosoft 365を契約しているユーザーの両方に提供され、来月から展開が開始される予定とのことだ。