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働き方改革、管理職は何をすべきか/何をすべきでないか――Microsoftが調査結果

従業員が何を考えているか調べる新機能など「Microsoft Viva」で提供へ

Microsoftが2023年に提供を開始する「Viva Pulse」

 米Microsoftは9月22日、同社CEOのサティヤ・ナデラ氏、モダンワーク担当執行役員のジェレイド・スパターロ氏、LinkedIn CEOのライアン・ロスランスキー氏が出席してオンライン記者会見を開催し、調査レポート「Work Trend Index Pulse」を発表。それに応じたMicrosoftの働き方改革ツール「Viva」の新アプリやサービスなども発表した。

 働き方改革を成功させるためには、生産性を上げることにこだわらない、従業員同士の関係をより円滑にする、社内転職や能力の向上などを支援する――の3つであると説明した。

求められるのは「従業員同士の関係円滑化」や「社内転職などの奨励」

 Microsoftはここ数年、1年に一度程度、企業における従業員の働き方の傾向を調査した「Work Trend Index(働き方の流行指標)」を発表している。2022年版のWork Trend IndexもMicrosoftのウェブサイトで公開されており、対面とオンラインを組み合わせた“ハイブリッドワーク”を好む従業員が増えていることなどが報告されている。

 今回、Microsoftが発表した「Work Trend Index Pulse」はその拡張版で、管理職と従業員の双方を対象にした調査。働き方改革を成功させるためには管理職が何をすべきで、何をすべきでないと考えているかについて調査している。Microsoftが発表した調査結果のまとめは以下のようになる。

1)生産性を上げることに執着することはやめる
 87%の従業員が自分は高い生産性を実現していると考えており、85%の管理職はハイブリッドワークが従業員の生産性を上げるためのものだと考えている。管理職は企業の目標設定を明確にする必要があると考えているが、その目標達成や従業員からの聞き取りなどの仕事は減らしたいと考えており、57%の企業はそうした施策はごくたまにしか行っていない。

2)従業員同士が励まし合うことを奨励する
 73%の従業員は、企業の期待をよそに、リアルなオフィスに行くには何か理由が必要だと考えている。従業員の84%は同僚と会うことが、85%は自分の部署の結束力を高めることが、そのモチベーションになり得ると考えている。そして、ほかの従業員とのコミュニケーションツールとしてデジタルツールが必要不可欠と考えており、従業員も管理職もコミュニケーションスキルが最も大事なスキルだと考えている。

3)従業員にキャリア発展のために学習や社内転職の機会を与える
 55%の従業員は自分のスキルを発展させる最もいい方法は転職だと考えている。しかし同時に、仮に内部的に職種変更ができるのであれば(76%)、あるいは会社から能力開発や学習の機会が与えられるのであれば(76%)、より長く同じ会社にいたいと考えている。

 なお、調査の全結果などはMicrosoftのウェブサイトで公開される予定になっており、ご興味がある方はあわせて参照いただきたい。

「Viva Pulse」「Viva Amplify」などの従業員体験を向上させる新ツールを導入

Microsoft Vivaの新ツール「Viva Amplify」

 こうした調査結果を得て、Microsoftは「Microsoft Viva」において、管理職や従業員の支援を行うような新アプリやサービスを導入する。

 Microsoft Vivaは、従業員体験を向上させるためのツールで、2021年2月に発表された。Microsoftがサブスクリプションとして提供している「Microsoft 365」の機能の一部として提供されている。特に大企業などでは、クラウドのSaaSアプリケーションとして、Windows PCのOfficeアプリケーションとして、Microsoft 365を契約している企業が多いと考えられるため、企業のIT環境と親和性が高いサービスと言える(Vivaの概要に関しては、2021年2月4日付関連記事『「Microsoft Viva」発表、“従業員満足度”を向上させるための「EXP」総合サービス』が詳しいので、参照いただきたい)。

 今回の発表で追加されたのは、いくつかのツールだ。具体的には以下の通り。

「Viva Pulse」

 「Viva Pulse」は、管理職が従業員のフィードバックを知るためのサーベイ(調査)ツールとして提供される。どの会社でも、新しい制度というのは、従業員のためを思って導入されるが、それが従業員に響いているかは別問題だろう。それをきちんと調査する仕組みが必要であり、Viva Pulseはそうしたサーベイを実現するためのテンプレートや、今回公表されたMicrosoftの調査結果などをもとに考えられた質問のひな形などが提供される。これにより管理職は、従業員が何を考えているか、どう感じているかなどを効率よく調査することができる。

「Viva Goals」のアプリケーションやサービスへの統合

 「Viva Goals」は、今年に入ってMicrosoftが提供を開始したもの。従業員が自分の目標を設定し、その目標達成を企業が支援することで、企業全体の業績改善を目指すためのツールとなる。

 そのViva Goalsは、Microsoft 365のほかのツールへの統合が行なわれる。例えば、ビデオ会議/コミュニケーションツールのTeamsアプリでは、OKR(Objectives and Key Results:目標設定ツール)の機能が利用可能になる。また、Azure DevOpsでは、勤務時間のアップデートが自動で行なわれ、Power BIのとの統合では、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)や重要な結果などのトラックが行なえるようになる。さらにMicrosoft PlannerやMicrosoft Projectとの統合では、自動的にプロジェクトのアップデートが行われるようになる。

「Viva Amplify」

 新しいアプリとして提供される「Viva Amplify」は、従業員が自分の所属する部課員や管理職とコミュニケーションを行うときに、自分の提案などを部署に浸透させることを支援する。コミュニケーションのキャンペーン、より効率のよいメッセージの送り方などを従業員に提案したりすることで、部署全体に従業員自身のメッセージが浸透することを支援する。

「Viva Engage」の新機能「Leadership Corner」

 「Viva Engage」は、今年8月にVivaに導入された新しいアプリケーションだ。従来はYammer Communitiesアプリとして提供されてきたものが、Vivaのアプリケーションとして展開されるようになった。そのViva Engageとして導入されるのが「Leadership Corner」で、従業員が管理職などに自分のアイデアなどを提案して、考え方を披露する場として利用することができる。

「People in Microsoft Viva」

 Microsoft 365のプロファイルカードに新しく追加される機能で、その人が持っている知見や興味などをAIが判別して表示する。

「Viva Learning」と「LinkedIn Learning」のさらなる統合

 「Viva Learning」は、Microsoft Vivaの重要機能と位置付けている、従業員自身が自分のキャリアを構築していくときのオンラインコンテンツなどを提供する。社内版「通信学習」のような機能と考えれば分かりやすいだろう。そのViva Learningは当初より、Microsoft子会社のLinkedInが提供する「LinkedIn Learning」との統合を行うことが明らかにされてきたが、今回の発表では、LinkedIn Learningの機能である「LinkedIn Learning Hub」のコンテンツにTeamsからアクセスすることが可能になる。

 管理職にとっては、LinkedIn Learning Hubコンテンツの参照状況などを理解して、その結果をVivaに反映することが可能になる。また、IT管理者にとっては、APIなども不要で簡単にLinkedIn Learning HubのコンテンツをTeamsに機能統合することが可能になる。

「Answers in Viva」の新機能

 社内知見をほかの従業員とシェアするためのツール「Answers in Viva」では、新しいチャットのようなユーザー体験が導入され、質問に対して答えるべき従業員をAIが推薦するなどの機能が用意される。

 ほかにも、すでに導入されることが発表されている「Viva Sales」に関しては、10月3日からGA(一般提供)が開始されることが明らかにされたほか、「Viva Connections Home Experience」、Vivaブリーフィング電子メールのアップデートなどが行われる予定。

 Microsoftによれば、こうしたVivaの新機能は2023年に導入される計画で、順次、提供が開始されることになる。