週刊Slack情報局
一緒にオフィス勤務している従業員を経営層が贔屓してしまう「近接性バイアス」に注意
Slackなどのコンソーシアムが最新調査レポート
2022年2月2日 06:55
Future Forumは、働き方に関する調査「Future Forum Pulse」の最新レポートを発表した。リモートワーク(テレワーク)とオフィスワークの「ハブリッドワーク」の増加、リモートワークが与える職場への帰属意識や人間関係への影響、オフィスで従業員が経営層と一緒に働くと高く評価されてしまう「接近性バイアス」について触れている。
Future Forumは、Slackが立ち上げたコンソーシアム。デジタルファーストの新たな職場での働き方を支援している。その活動の1つとして、働き方の調査「Future Forum Pulse」を行っている。
今回の調査は、2021年11月1日~30日に、米国、英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、日本のナレッジワーカー計1万737人を対象に実施したもの。
オフィス勤務よりもリモートワーク/ハイブリッドワークのほうが職場への帰属意識が高く、人間関係に価値を感じる
リモートワークは、58%が行ったことがあると答えており、前回調査(2021年5月)の46%から増加している。しかし、オフィス勤務のみ、または在宅勤務のみという人は減り、68%はオフィスと自宅の両方で働く「ハイブリッドワーク」という結果になった。
このハイブリッドワークとリモートワークは、従業員にどのような影響を与えたのか。オフィス勤務の従業員と比較して、職場環境に対する全体的な満足度は12%、ワークライフバランスは15%、仕事関連のストレスや不安への耐性は25%高いという結果になった。
従業員同士が顔を合わせないリモートワークは、職場への帰属意識や人間関係が希薄になる懸念があるが、調査結果を見る限り、そのような心配はなさそうだ。アンケートの項目には、職場への帰属意識や人間関係の価値も含まれているが、オフィス勤務のみの従業員よりも、ハイブリッドワークまたはリモートワークの従業員の方がスコアが高くなっている。
一緒にオフィス勤務している従業員を経営層が“ひいき”、不公平な「近接性バイアス」を防ぐには
経営層には、オフィスで一緒に働いている従業員を“ひいき”する「近接性バイアス」というリスクがあるという。リモートワークよりも、オフィスで働いていたほうが経営層に高く評価されやすい可能性があるということだ。
実際に経営層の41%は、リモートワークの従業員とオフィス勤務の従業員の間で不公平が生じる可能性があると回答している。前回の調査(2021年5月)では33%だったため、今回の調査では大きく上昇している。
このように経営層には近接性バイアスの意識はあるが、従業員よりもオフィスで働く時間が長いという問題がある。経営層のうち71%は週に3日以上オフィスで仕事をしているが、一般従業員は63%だ。
さらに、今後はこの差が広がる可能性があるとしている。現在、リモートワーク中の経営者のうち週に3日以上オフィスで働きたいと考えている人は75%で、一般従業員は37%だからだ。
調査結果では、接近性バイアスを防ぐためには「リーダーが自社における効果的なハイブリッドワークの概要をまとめて原則と行動指針として示すことが必要」としている。例えば経営層が1週間にオフィスで仕事ができる日数を制限する、会議を行う際に1人でもリモートがいる場合は全員がリモートで参加する――などといったポリシーだ。