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月額2750円からという低価格を実現したビデオ通話サービス、アイ・オー・データ機器が「プラットフォン」を開始
法人向けストレージでは「BizDAS」発表、医療分野などソリューションサービスへ注力する方針も示す
2023年1月27日 12:35
株式会社アイ・オー・データ機器は、同社の新商品発表会を開催、1月25日よりビデオ通話サービスの「PlatPhone(プラットフォン)」を開始すると発表した。これは、専用アプリ不要でビデオ通話を実現するサービスで、月額2750円から利用できる低コストが特徴。そして、今後はソリューションサービスへ注力していくことなどが語られた。
低コストで、コールセンターなどのビデオ通話を提供するサービス
かんたんビデオ通話サービス プラットフォンは、専用アプリのインストールや登録といった手間なしに利用できるビデオ通話サービス。カスタマーサポートなど、電話オペレーション業務の課題として、言葉だけでは状況が伝わらない、時間がかかるなどの問題があり、その解決策となるソリューションだ。
利用する相手はスマートフォンであること、一部のケースを除いてSMSの受信が必要ということなどの制約はあるが、問い合わせてくる顧客側がWebブラウザアプリを介してすぐに利用することができる。ビデオ通話としては、LINEやZoomといったビデオ通話サービスもあるが、「友だち」の関係でもない企業への問い合わせに使うことは難しかった。
仕組みとしては、問い合わせてきた相手にSMSでURLを送信、そのURLをタップするとWebブラウザから、プラットフォンが用意したビデオ通話の専用サイトを介してビデオ通話が起動する。基本的には掛けてくる相手がスマートフォンでSMSの受信が可能という条件となるが、最初から問い合わせ先としてURLやQRコードを提示し、直接アクセスしてくる場合にはSMSのやりとりは不要になる。
同様のサービスはすでに存在していて、企業の問い合わせ先や、警察の110番でも試験運用を開始している。ただし、既存のサービスは大規模な法人向けで非常に大きなコストがかかっていた。しかしプラットフォンは、低コストから利用することが可能で、特に「Personalプラン」では個人事業主など小規模な利用でも手軽に始められる金額であることも特徴となる。
プランの内容は最も手軽な「Personalプラン」は、1対1のビデオ通話、月間合計30時間までの通話と30通のSMS送信がついて、初期費用1万1000円、月額2750円。オプションとして通話の5時間追加が1100円、SMS30通追加が1100円。
もう少し規模が大きく、コールセンターや病院などを想定した「Cloudプラン」は1回線時間無制限の通話とSMS50通がついて初期費用3万3000円、月額1万4300円で、回線追加は1回線ごとに月額7700円かかる。回線数は同時運用数で10人の部署で3回線を共有するということも可能。オプションとしてSMSの追加は50通追加で1650円、録画オプションにも対応して録画は100GBで8800円となっている。
さらにその上のプランも準備が進められていて、従来の電話環境を残しながらビデオ通話もサポートする「Phoneプラン」は2023年春開始予定。こちらは、音声通話については従来の電話回線を利用するため、ネットの電波環境が悪い状況であっても、音声だけは途切れないのが特長。料金や詳細は現時点では未定となっている。また、すでに「プラットトーク(Plattalk)」としてビデオ通話サービスを提供しているが、こちらもプラットフォンに移行していく。
発表したアイ・オー・データ機器 事業本部 企画開発部 企画2課 チーフリーダーの上野桂輔氏は、「我々もコールセンターを自社で持っていて、お困りのお客さまから電話で相談を受けますが、なかなか現象が伝わらずわかりにくいということが実際にあります。電話である以上、仕方がないことですが、それをノウハウやテクニックでカバーしているというのが現状」とし、「百聞は一見に如かずという言葉もあるくらいで、電話に比べてビデオ通話というのは、ワンランク上のコミュニケーション」とした。
上野氏は実際に通話の様子をデモ。電話をかけてきた相手が、アプリやアカウント登録などになしに、すぐビデオ通話に移行したことを実演した。サポートの現場では、顧客の顔を見て話というよりも、顧客側で起こっている事象を伝えることが多いため、外向きのカメラに切り替えて周囲を様子を伝えるなどして、ビデオ通話の有効性を示した。
上野氏はまた、コールセンター以外にも小規模な事業者の問い合わせ先などに使う機会にも触れ、1カ月の無料体験があるので、試用をぜひしてみてほしい、と呼びかけた。
法人向けDASに新ブランド「BizDAS(ビズダス)」
法人向けのストレージ・ソリューションでは、DASに新ブランド「BizDAS(ビズダス)」を立ち上げ、新ソフトや新機能などの発表が行われた。DASとはDirect Attached Storageのことで、PCやサーバーに直接接続するストレージのこととなる。
新たに管理ソフト「DAS CONNECT」を使って同社独自のRAIDに代わる冗長化技術「拡張ボリューム」に対応、トラブルの予兆通知機能を搭載して、法人向けDAS用アプリDRIVE MONITORを置き換える。「DAS CONNECT」は3月中旬にリリースする。
さらに、ランディスク遠隔管理サービス「NarSuS(ナーサス)」の故障予兆通知機能に対応しディスクの交換タイミングを知らせることが可能になる。
法人向けDAS製品でも、製品でも5年保証対応モデルを4月にリリースする。
また、NASの分野でも新たな動きがある。これまで「拡張ボリューム」は、LAN DISKの中でもLinux OS搭載のNASのみの対応だったが、Windows OS搭載の「LAN DISK Zシリーズ」にも対応する。なお、アイ・オー・データ機器では拡張ボリュームはRAIDに比べて安全性、メンテナンス性、拡張性でメリットがあるとしている。LAN DISK Zシリーズの対応は5月中旬の管理アプリ「ZWS Manager」のバージョンアップで対応する。
そして、今後、リプレイスの需要もあるとし、リプレイス時のデータ移行を簡単する引っ越し機能を追加する。移行元、移行先ともに対応機種であることが必要となるが、初回設定の一連の流れのなかでデータや設置値の移行をすることができるようになる。この機能は3月下旬に提供予定。
今回法人向けのストレージについて説明した事業本部 企画開発部 企画3課の川端重子氏は「なぜ今、DASなのか」と投げかけ、ネットワークを介して保存をすると不特定多数のアクセスにさらされセキュリティ上のリスクがあるとし「DASはUSBケーブルで接続された端末からのアクセスのみになり、安心してご利用いただける」とDASのメリットを指摘た。
その上で「BizDASではNAS同等の冗長性、アクセス方法としてよりセキュア、両者の特性を活用し、一般的なDASには実現できない信頼線を獲得できるように進化している」とBizDASの優位性を強調した。
また、拡張ボリュームについては、「この拡張ボリューム機能を搭載してから約9年になるが、弊社のマルチディスクNASをご利用の約80%以上がお客さまがこの機能を活用している」と実績を紹介した。
ソリューションビジネスを強化していく
発表会では、2023年のはじめといういこともあり、アイ・オー・データ機器 代表取締役社長の濵田尚則氏が同社の現在についても紹介した。アイ・オー・データ機器は2022年にMBOを実施し株式非公開企業となり、新しいビジネスに舵切りを進めているという。
これまで製品というモノを売るビジネスから、製品やサービス、ソフトウェアなどを組み合わせて生み出す価値を売っていくソリューションのビジネスを強化していていくとし、「自分たちが持っている商材で、地域社会や国のデジタル化などに対して製品やサービスの組み合わせをして、ソリューション的な価値を生み出して、ビジネスの柱をいくつも立てていこうと思考している」と語った。
ターゲットとしている市場は、中小企業や店舗のDX推進といった職場、医療、文教など。医療分野ではマイナンバーカードを使い、患者の保険資格の有無をリアルタイムで確認するオンライン資格確認端末の導入が大きく伸びていること、そして、今後は電子処方箋の分野にも広げていくと言う。
濵田氏は「これまで弊社で築いてきた、データストレージの安心・安全運用、これらを紐付けして貢献できるのでは、と考えていて、その構想を今練っているという状況」とし、さらに医療分野に注力していくことを示した。