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IIJ、データセンター利用者の脱炭素化を支援する「非化石証書」調達開始

2024年施行の改正省エネ法を受け、今夏からの提供を目標。関連サービスの実証実験も

 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)は4月24日、2024(令和6)年4月に施行される「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(改正省エネ法)」に対応し、データセンター利用者の脱炭素化推進を支援するため「非化石証書」の調達を開始すると発表した。今夏からの提供開始を目指すという。

 「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」は、1979(昭和54)年10月1日施行。以降、改正が繰り返されており、2022年にも改正され、2023年4月1日に施行されている。2023年3月31日告示、2024年4月1日施行の改正では、事業者に再生可能エネルギー(再エネ)を含む非化石エネルギー転換についての中期計画書と定期報告が求められると共に、名称が「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」と改められる。

 この改正省エネ法に対応するため、データセンター利用者の「環境価値付き電力」に対する需要が高まると予想されている。「環境価値付電力」とは、エネルギーとしての価値のほかに「二酸化炭素を排出しない」という価値があるとする考え方によるもので、再エネによって発電された電気を指す。

 IIJでは、4月より、一般社団法人日本卸電力取引所の非化石価値取引会員に加入。再エネのために制定された固定価格買取制度(FIT:Feed-in Tari)により取引されている環境価値付き電力を使用していることを証明する「FIT非化石証書」の直接調達を行うという。そして、非化石証書を活用した実質再エネ由来の電力の供給をサービス化し、今夏からの提供開始を目指すとしている。

 あわせてIIJでは、電力供給の割り当てと証明を自動管理する「電力供給マッチングプラットフォーム」の商用提供を目指し、同社データセンターの白井データセンターキャンパス(白井DCC)における実証実験を実施した。これは、「電力・環境価値P2Pトラッキングシステム」によりデータセンター事業者と利用者間での電力・環境価値の割り当てを確認し、環境価値付き電力の割り当て機能の動作や、プロセスを検証したもの。

 電力供給マッチングプラットフォームの導入により、データセンター事業者が利用者に供給する電力量および利用者が使用する電力量を管理し、利用者のニーズに応じて、環境価値付き電力の割り当てや、再エネ利用の証明を可能にでき、電力および環境価値調達の最適化や、環境価値の自動割り当てが可能になりるとしている。また、顧客ニーズへの柔軟な対応や、管理コストの低減といった、データセンター事業者のメリットも期待できるという。

 2023年度内に、第三者認証スキームなどの商用利用に向けた検討および追加検証を実施。2024年度の商用サービス開始を予定している。

電力供給マッチングプラットフォーム 商用サービス化のイメージ