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成田国際空港でローカル5Gと空港無線通信基盤「TETRA」の相互接続に成功、NTT東日本とNAR

 東日本電信電話株式会社(NTT東日本)と日本空港無線サービス株式会社(NAR)は5月19日、成田国際空港において、ローカル5Gサービスと空港の無線通信基盤「TETRA」とを相互接続する実証実験に成功したと発表した。日本の空港で初めて、統合ミッションクリティカル通信環境を実現したとしている。

 NTT東日本が提供するマネージド・ローカル5Gサービス「ギガらく5G」で構築したローカル5Gシステムと、TETRAを相互接続。ミッションクリティカルプッシュ・トゥ・トーク(MCPTT)である「WAVE」(モトローラ・ソリューションが開発し、米国など各国の公共安全ネットワークに導入されているプッシュ・トゥ・トークシステム)を搭載したローカル5G対応端末と、TETRA端末との音声通話環境を、日本の空港において初めて実現したという。

ローカル5G対応スマートフォン上のWAVE
WAVEとTETRA端末通信試験の様子

 TETRAは国際標準の公共安全向け業務用デジタル通信方式で、世界各国の警察・消防・国防機関・国際的催事などのほか、空港では世界80カ所以上で導入されている。日本では、成田・那覇・羽田・関西・中部の各空港で導入済みで、日常業務や緊急時におけるミッションクリティカルな連絡手段として定着している。

 さまざまな分野でローカル5G導入の検討が進むなか、空港業務においては空港無線との連絡が不可欠となることから、今回の相互接続の実証実験が実施された。実証実験の概要は、下図のようになっており、NARが運用するTETRAおよびWAVEと、NTT東日本のローカル5Gシステムとを相互接続した。

実証実験の概要

 ローカル5G対応のスマートフォンとTETRA端末の間や、当該スマートフォン同士の閉域網での音声通話が可能となり、従来の携帯電話網での接続と比較して、より高品質で安定した環境での空港業務遂行が可能となるという。

 今回の実証実験の結果を受け、両社では、MCPTTの機能検証やTETRAと連携したユースケースの開発を進め、空港をはじめ広大な敷地を持つ工場・倉庫などにおける業務へのローカル5Gの活用範囲拡大と、無線通信環境の高度化に向けた具体的な提案を実施していくとしている。

 WAVEとTETRAはともに専用の電波と閉域網で構成され、携帯電話網などの故障や輻輳の影響を受けない。そのため、災害時等の緊急時の高い可用性が期待できるという。また、WAVEは2023年中のバージョンアップにより、動画などのマルチメディア機能や、位置情報管理機能が実装される予定だ。