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直接液冷方式のサーバーに対応したデータセンター、NTT Comが2024年度内に「Green Nexcenter」サービス開始

生成AI/GPU向け高発熱サーバーに対応、冷却のための消費電力を30%削減

 NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)は10月4日、直接液冷(Direct Liquid Cooling)方式(以下、液冷方式)のサーバー機器に対応したデーターセンターサービス「Green Nexcenter」の展開を2024年度内に開始する予定だと発表した。同社が国内サーバー機器ベンダーに行ったヒアリング調査によれば、商用コロケーションサービスとして国内初だとしている。第1弾として「横浜第1データセンター」の一部をリノベーションすることで、液冷方式のサーバー機器に対応したコロケーションサービスを提供する。

 現在、ChatGPTをはじめとした対話型AIの利用が拡大する中、高性能なサーバーが必要とされている。これらのサーバーに搭載された高性能なプロセッサーは、2010年ごろと比較すると約3倍の熱量を放出する設計になっているという。そのため、現在採用されている空気による冷却方式では十分に対応できない状況と言われている。

 データセンターサービスにおいても、高性能プロセッサーを搭載したサーバー機器の収容に対応した新たな冷却方式などが求められており、NTT Comでも2017年より、空調機を搭載した「リアドアラック」、サーバー機器を直接冷却液に浸す「液浸方式」、プロセッサーに取り付けた冷却プレート内に冷媒となる液体を循環させて冷却する「液冷方式」など、さまざまな冷却方式を比較検討してきた。

 そんな中、2022年より、液冷方式に対応したプロセッサーが搭載されたサーバーが販売されるようになり、一般企業による導入が容易になっているという。

 このような背景から新たに展開するに至ったGreen Nexcenterは、1ラックあたり20kWから最大80kWの電力消費に対応し、生成AI/GPU向け高発熱サーバーに対応する。

 一方で、液冷方式は従来型の空冷方式に比べて効率的な冷却が可能なため、提供ルーム単位での電力使用効率はpPUE 1.15(目標値)を実現するとされており、サーバー機器を冷却するために必要な消費電力を30%削減(サーバー機器自体で使用される消費電力は含まない)。従来型の空冷方式では、NTT Comの最新データセンターにおける電力使用効率はpPUE 1.35(実績値)だったという。

 NTT Comは、今後も生成AIなどの需要が拡大するとして、さらにGreen Nexcenterの展開を進めていく。具体的には、京都府内で計画中の「京阪奈データセンター(仮称)」が挙げられている。ここでは、NTTグループが研究開発を進めている次世代ネットワーク「IOWN APN」を導入することで、さらなる消費電力の削減も目指す。

 なお、10月12日・13日開催のイベント「docomo business Forum'23」において、Green Nexcenterに導入する実機を展示する予定だ。