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KDDI、ソフトバンクら、NTT法の見直しに関する要望書を自民党などに提出

KDDIのプレスリリースより

 KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社、楽天モバイル株式会社ほか通信事業者や地方自治体など180者は10月19日、日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)に関して、廃止については慎重な議論を求める要望書を、自由民主党の政務調査会長と「『日本電信電話株式会社等に関する法律』の在り方に関するプロジェクトチーム」の座長、および総務大臣に提出した。

約40年前に成立した「NTT法」、8月より廃止含めた議論が

 NTT法は、1985年に、前身にあたる日本電信電話公社(電電公社)が現在の日本電信電話株式会社(NTT)として民営化されたことを契機に成立されたもの。電電公社から継承されたインフラの整備や通信技術の研究開発の責務のほか、発行済株式総額の1/3以上を政府が保有する義務も定められている。同法による規制対象は、NTTとNTT東西の3社。

 およそ40年前に成立した法律のため、現在では不要となった内容も含まれているとして、2023年8月から、自民党や総務省内でNTT法の廃止も含めたNTT完全民営化の可能性について議論されていた。

NTT法改正には賛成も、公正な競争の観点から廃止には反対

 要望書は、国民生活向上や経済活性化、国際競争力強化などの観点からはNTT法の見直しには賛成するものの、廃止には慎重に検討するべき、という立場からの指摘が行われている。

 その内容として、日本の電気通信市場の将来に向けた議論は非常に大切であるが、現在想定されている議論の期間が、従来のNTTの在り方についての議論と比較して短く、必要十分な議論が尽くされるのか懸念あるとしている。また、電電公社由来の資産・重要な設備を継承するNTTとの公正な競争環境を整備し、多様なプレーヤーの競争を通じたイノベーションや地方創生を支えるために、NTT法の廃止に反対し、より慎重な政策議論を行うことを要望している。

 NTT法が廃止された際の懸念点として、健全かつ公正な競争環境が阻害されて国民の利益が損なわれるおそれがあることなどを挙げ、「競争でカバーできないエリアについては引き続きNTTがラストリゾートの役割を担うことが適当」としている。