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ISDN回線「INSネット」の「ディジタル通信モード」間もなく提供終了。固定電話のIP網移行、石川県も含め予定どおり1月末で完了見込み~NTT西日本

 東日本電信電話株式会社(NTT東日本)と西日本電信電話株式会社(NTT西日本)は、かねてから告知していたスケジュールどおりに今年1月1日より、固定電話(加入電話・INSネット)に関わる局内設備についてPSTN(公衆交換電話網)からIP網への切り換えを行なっている。地域ごとに3回に分けて段階的に行われており、現時点で2回目まで完了、続く3回目が1月末に予定されている。NTT西日本によると、能登半島地震で大きな被害を受けた石川県でも予定どおりIP網への切り換えが行なわれる見込みだ。

 これに伴い、ISDN回線サービス「INSネット」の「ディジタル通信モード」も段階的に提供を終了しており、1月末には全ての地域において提供を終了することになる。

IP網への切り替えは予定どおり

 PSTNからIP網への切り替えは、NTT西日本のエリアでは、1月1日~2日の鳥取県を皮切りに、1月16日~17日に島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県で行なわれ、それぞれ予定どおり完了した。1月22日現在、これらの地域では「切り戻しが必要となる等の大きな問題は発生しておらず、予定どおり進捗している」(NTT西日本・広報)という。

 残る石川県、富山県、福井県、大阪府、和歌山県、京都府、奈良県、滋賀県、兵庫県、愛知県、静岡県、岐阜県、三重県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県、宮崎県、沖縄県では1月30日~1月31日に切り替える予定だ。この中には、能登半島地震で大きな被害を受けた石川県も含まれているが、IP網への切り替えは「予定取り実施される見込み」(NTT西日本・広報)としている。

NTT西日本におけるIP網への切り換えスケジュールと対象地域(出典:NTT西日本)。詳細等は「固定電話(加入電話・INSネット)のIP網移行を2024年1月1日から順次開始」参照

 NTT東日本のエリアでも、山形県を皮切りに、東北6県で切り換えが完了。首都圏や北海道を含む残る地域でも、1月30日~1月31日に切り換え予定となっている。

 なお、能登半島地震ではNTT西日本の設備や回線に障害が発生し、現在も通信や通話が利用できない地域が一部あるが、「全力で復旧を進めている」(NTT西日本・広報)という。

「ディジタル通信モード」提供終了に伴い、当面は「補完策」を用意

 IP網への切り替えに伴い、INSネットのディジタル通信モードは提供終了となるが、別サービス等への移行が間に合わない利用者に対しては、当面の対応策として「切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)」が提供される。

 この補完策は、ディジタル通信モードと同じ機器で利用できるが、ISDN回線のデータ形式からIPのデータ形式に変換する処理が追加されることにより、従来のディジタル通信モードよりも伝送遅延が生じて処理時間が増大するなど、利用する機器によっては通信に影響が発生するとしている。

 また、補完策は、2027年ごろをめどに提供を終了する予定だ。そのため、光回線のフレッツ光や、モバイル回線、専用線などへの移行を案内している。

PSTNで交換機を通じて接続していた従来の「ディジタル通信モード」の仕組みと、IP網で中継される「切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)」の仕組み(出典:NTT西日本)
「ディジタル通信モード」の主な用途としては、POS端末の企業本部~店舗間の通信などがある。図は、その代替手段として、光回線でひかり電話の「データコネクト」機能を利用する事例(出典:NTT西日本)

 なお、IP網への切り替え後も、INSネットの音声通話である「通話モード」は継続して提供される。