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災害時のネット接続、対策している人はわずか15%〜NURO 光が「令和版ネットの防災マニュアル」公開

 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の「NURO 光」は、災害時におけるインターネットの使い方について調査を実施した。

 調査は、全国20代以上の400人を対象として、7月9日~10日に、インターネット上で実施された。対象者は、2011年以降に震度6以上の被災経験がある「災害経験者」と、ない「未経験者」200人ずつに分けられている。

 同社では、この調査において、「つながる備蓄」「電気の備蓄」の2つを、キーワードとして挙げている。「つながる備蓄」は、災害時における、人とつながる(連絡をとる)および情報とつながる(情報収集する)ための手段を確保することを指している。また、「電気の備蓄」は、上記の人と情報がつながるための手段として、スマートフォンを充電できる機器を指している。

災害経験者の7割で、災害時のインターネット接続に支障があった

 「災害経験者」に対し、被災した際の場所について伺ったところ、「在宅」が40.0%、「外出」が42.9%、「その他」が17.1%という結果になった。

 また当時のインターネットの接続状況を聞いたところ、全体では、「つながらなかった」が38.0%、「つながりづらかった」が33.5%と回答し、約7割が被災当時のインターネット接続環境に不便さを実感していたことが分かる。

 さらに、場所別に見ていくと、「つながらなかった」と「つながりにくい状況があった」と答えた割合は合わせて、在宅が55.6%、外出が80.7%という結果になった。

約8割が、災害時ネット接続ができないことに不安

 調査対象者全てに対し、災害時にインターネットがつながらない場合の不安度合いについてたずねた。その結果、「とても不安を感じると思う」が46.3%、「やや不安を感じると思う」が41.8%、「あまり不安を感じないと思う」が9.5%、「全く不安を感じないと思う」が2.4%と、全体の約9割が不安に感じていることが分かった。

 そして、具体的に不安に思っていることについて、「コミュニケーションツールが使えず、家族や知人、同僚などの安否確認ができない」と答えたのは58.8%ともっとも多く、次いで「情報検索ができず、災害状況の確認をできない」が16.5%、「情報検索ができず、世の中の状況を確認できない」が8.2%と続いた。

 「災害経験者」と「未経験者」で、おもな不安理由を比較したところ、災害経験者は「コミュニケーションツールが使えないこと」に関する回答が上位を占める一方で、災害未経験者は「情報検索ができないこと」に関する回答が目立った。災害の経験の有無により不安の内容に乖離があると、同社は分析している。

警戒は高まるも、ネット接続に関する対策をしている割合は15%にとどまる

 昨年と比較して、災害に対する警戒意識を聞いたところ、「とても警戒が高まった」が19.0%、「やや警戒が高まった」が56.0%、「あまり警戒は高まっていない」が20.3%、「全く警戒は高まっていない」が4.7%という結果になった。

 さらに、直近30年で南海トラフや首都直下地震など大地震の発生が高確率で予想されていることを知っているか聞いたところ、80.8%が「知っている」と回答。昨年は74.3%だった。

 同社は以上のことから、昨年よりも災害に対する警戒意識が高まったとしている。

 災害時にインターネットが接続できない状況に備え、対策や準備ができているか尋ねたところ、「できていないと思う」が47.7%、「どちらかというとできていないと思う」が38.3%となった。「どちらかというとできていると思う」が12.5%、「できていると思う」が2.5%で、災害時のインターネット接続について対策や準備が「できている」と答えた人の割合は、15%にとどまった。

災害情報を発信するアプリをインストールしている割合は3割未満

 災害時の情報収集用アプリのインストール状況について尋ねたところ、「インストールしている」が25.3%、「インストールしていない」が74.7%という結果に。昨年はインストールしている割合が21.3%だったことから、4%ほど増加したとしている。

 これに加え、人と情報につながるための手段を確保するための「電気の備蓄」として、スマートフォンの充電機器を用意しているか尋ねたところ、57.3%が「用意している」と回答。昨年にも同様の質問をした際の割合は50.8%ということから、昨年よりも対策が進んでいることが分かった。

 続いて、実際に用意している充電機器を聞いたところ、「繰り返し充電タイプのモバイルバッテリー」が58.5%、「乾電池式モバイルバッテリー」が16.6%、「コンセントが使えるポータブル電源」が10.9%という結果となった。

 なお、スマートフォンの圏外時でもインターネットを利用することができる公衆無線LANサービス 「00000JAPAN」について知っているかと尋ねたところ、「知っている」が13.8%という結果となり、昨年の調査結果が11.5%だったため、同社は、ほぼ同水準の認知に留まったとしている。

ネットの防災マニュアルを公開

 同社は、災害時にインターネットに接続できない状況における対処法などをまとめた「令和版ネットの防災マニュアル」を公開している。災害時におけるインターネット接続手段を提示しているほか、誤情報などに振り回されないための心構えなどを解説。備え・防災アドバイザーであるソナエルワークス代表の高荷智也氏とITジャーナリストの井上トシユキ氏が監修を行った。

 PDF形式なので、PCやスマートフォンで閲覧するほか、印刷して手元に置いておくことも推奨しており、インターネットがつながらない環境でも参照してほしいとしている。