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郵便料金の値上げで「紙の請求書」が無くなる? TOKIUMが請求書発行サービスに参入

 TOKIUM(トキウム)は、請求書発行クラウドサービス「TOKIUM請求書発行」を、今年冬から提供を開始すると発表した。

 TOKIUM請求書発行は、請求書をオンライン上で作成し、送付まで行うサービスであり、オンライン上で請求書を作成して発行するだけでなく、システムだけでは解決できない紙での受領や、電子化のためのスキャン、紙の原本のファイリングなどの代行サービスも用意。人手で処理するアナログ業務の前後工程も含めて、業務プロセス全体を改善できるのが特徴だ。

TOKIUM プロダクトマーケティングマネージャーの綿引友麻氏

 TOKIUM プロダクトマーケティングマネージャーの綿引友麻氏は、「2024年10月から郵便料金が値上げとなり、企業の請求書発行のコスト増が懸念されている。これを機に、請求書発行システムの導入を検討する企業が増加している。だが、システム導入だけでは効率化が難しい業務が残る。TOKIUM請求書発行では、その領域までをカバーし、発行業務全体の効率化を実現できる。既存のTOKIUMユーザーから待たれていたサービスであるが、新たな顧客の獲得にも取り組む。約半分を新規顧客で占めたい」と述べた。

郵便料金の値上げで、請求書のコストが増加

 同社の調査によると、郵便料金の値上げによって、請求書のコスト増加が負担だと感じているとの回答は80%以上に達し、約90%が値上げをきっかけに請求書発行業務の電子化を検討しているという。だが、その一方で、経理業務システムの導入後も手作業が残ってしまっていることを課題に感じているとの回答が39.0%を占め、最も多い結果になっている。

 「依然として紙で請求書を送付している企業が多く、印刷、捺印、三つ折り、封入など、手作業が多く残っている。郵便料金の値上げにあわせて、急いでシステムを導入しても、手作業が残ってしまう可能性がある。取引先にあわせると、送付方法が多様化し、紙と電子が混在することから、むしろ手間が増えているのが実態であり、すべての請求書をメール添付に置き換えることは難しいとの声もある」と指摘する。

 また、「システムへのアップロードやデータ入力が必要な場合もあるが、多くの請求書発行システムでは、PDFの請求書をメールに添付したり、ウェブ送付したりすることには対応していても、それ以外の送付には対応していない。TOKIUM請求書発行では、請求書の電子発行の際にも発生している紙にまつわる印刷や封印、発送作業を削減。さらに、メール添付だけでなく、ウェブ送付、紙郵送に加えて、アップロードや入力代行にも対応し、多様な方法で送付ができるようになる」とした。

CSVの請求データやPDFの請求書を取り込み、オンラインで請求書を発行

 TOKIUM請求書発行では、請求データのCSVファイルや、作成済み請求書のPDFを取り込み、インボイス制度に対応した請求書発行がオンライン上で行える。請求データを一括でアップロードすることで、複数の請求書をまとめて作成できる。郵送の場合には、TOKIUMが発送を代行することで、請求書の印刷や封入、郵送の手間を大幅に削減する。

 また、作成した請求書は、メールや郵送、FAXなどの様々な送付方法に対応し、システムだけでは対応が難しい取引先指定のシステムへの入力やアップロードについても、オペレーターの力を活用することで対応できる。請求書発行業務に例外処理が残り続けることがなく、送付業務の大幅な効率化を実現できるとしている。

 さらに、請求書のレイアウトは柔軟にカスタマイズできるため、取引先の指定に沿った請求書や、現在利用している請求書に近いレイアウトで作成することができるほか、納品書や見積書などの各種帳票も発行が可能であり、TOKIUM上で、様々な書類を一元管理し、複数の帳票を個別で管理する手間を省き、業務の効率化を支援できるという。

 既存のTOKIUMユーザーは、同社のプラットフォームを活用することで、各サービスのマスタを共通化し、メンテナンスやID管理を統一。システムの林立による負担を軽減できるほか、共通のUI操作により、社内教育に関わる工数の削減や、書類保管を共通化できるため、取引情報や関連書類の整理が可能になるメリットもあるという。

 「関連書類を取引先や書類種別などで確認したいといったように、目的ごとの検索が可能になるのに加えて、取引情報の集約によるデータ分析や、請求漏れがないように適切なタイミングでのアラートが可能になる。契約情報をもとに請求書を発行することもできる」としている。

「他社のサービスが使いにくい」が参入の決め手

 TOKIUM 代表取締役の黒﨑賢一氏は、「数多くの請求書発行サービスがあるなかで、TOKIUMがこの分野に参入する理由はないと考え、これまでは、他社の請求書発行サービスの導入を勧めていた。だが、お客様からは使ってみたものの、使いにくいという声が数多くあがり、それに応える形で重い腰をあげて商品化した。商品化したら導入したいという予約がかなり入っている」とした。

TOKIUM 代表取締役の黒﨑賢一氏

 そして、「TOKIUMのユーザーであれば、様々なサービスにログインして活用する必要がなくなり、人手で処理しているアナログ業務も含めて、業務プロセス全体を改善できる。目指しているのは、請求書発行業務を丸投げしてもらえることであり、請求書発行に残されていた課題を解決できる。郵便料金の値上げをきっかけに、新規に導入する企業にとっても、請求書発行における手作業が残ってしまう他社の請求書発行システムを導入するのであれば、その部分までをカバーできるTOKIUM請求書発行を導入したほうが、メリットがある」と自信をみせた。

 利用料金は、送付件数に応じた従量課金となっており、TOKIUM基本利用料が月額1万円、従量課金が月額1万5000円から。TOKIUMの既存ユーザーは基本利用料金が不要。データ容量や登録ユーザー数は無制限で利用できる。また、代行サービスは、別途メニューを用意し、料金体系は別途発表する。

 TOKIUMは、2012年6月に、Beartailとして創業。個人向け家計簿アプリ「Dr.Wallet」による事業でスタート。2016年から法人向け経理サービスの提供を開始し、現在では、TOKIUM経費精算、TOKIUMインボイス、TOKIUM電子帳簿保存、TOKIUM契約管理の4つのサービスを通じて、企業の支出管理に関わる業務のペーパーレス化を支援している。従業員数300人~5000人規模の企業を中心に、2500社以上の導入実績がある。

 これらの4つのサービスにおいても、代行サービスが差別化要素となっており、いずれのサービスも、利用者の9割以上が代行サービスを契約しており、TOKIUM経費精算では、ほぼ100%のユーザーが領収書の入力代行サービスを活用している。今回のTOKIUM請求書発行では、5割以上が代行サービスを利用すると想定している。

 TOKIUMの黒﨑氏は、「TOKIUMは、未来につながる時を生むためのサービスを提供している。TOKIUMからは、時が生まれるサービスが必ず登場するという期待感やワクワク感を持ってもらえる会社にしたい」と述べた。