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Akamai、2025年のセキュリティとクラウドにおけるトレンドを予測

 アカマイ・テクノロジーズ合同会社は1月10日、米Akamai Technologiesによるセキュリティとクラウドにおけるトレンド予測を発表した。セキュリティ・クラウドの両面でAIに関する言及が多く、そのほかでは、選挙におけるサイバー脅威にも言及している。



セキュリティに関するトレンド予測

AI時代に関する「2つのキー領域」への注力が求められる

 多くの企業がAIへの投資を大幅に増やす準備を進めており、2028年までに、AI技術に対して1100億ドル以上が投資されると予想されているという。そうした中で、組織は、AIシステムを脆弱性から保護すること、巧妙化するAI主導の攻撃から防御すること、の2つのキー領域に注力することが求められる。

選挙におけるサイバー脅威には市民・組織が警戒を

 2024年は、アメリカやEUなど、約60カ国で国家元首の選出に直結する選挙が行われ、約40億人が投票したとされる。同社によると、生成AIは、有権者を欺き選挙に影響を与えることを意図した高度な攻撃によって、これらの選挙に反映させたという。

 このことを踏まえ、2025年は、ディープフェイクや標的型詐欺、ソーシャル・エンジニアリングなどのツールや技術が、一般のサイバー犯罪者が容易に利用できるようになると予測。特に日本を含むアジアでは、ウェブサイトやオンラインサービスのアプリケーションレイヤーを狙ったDDoS攻撃が過去1年間で5倍に増加しているという、メールや音声通話、ビデオ通話など、あらゆる形態のやり取りにおいて、市民と組織は偽物と詐欺に警戒する必要がある。

具体化するLLMのセキュリティリスクに対し、慎重な取り組みを

 大規模言語モデル(LLM)のセキュリティの脆弱性について、問題となる頻度と深刻度はともに上昇すると予想。組織はLLMの有望性と潜在的なセキュリティの落とし穴を比較検討する必要があり、AI戦略においてより慎重なアプローチを取るようになる。

常に襲いかかる脅威に対し、基礎固めが必要

 サイバー犯罪者もAIを活用してくる中で、セキュリティの基本を忘れてはならない。パッチをタイムリーに適用し、セーフガードを常にオンにして悪意のある活動を特定し、軽減するためのトレーニングを継続的に行うなど、APIエンドポイントへの攻撃やフィッシングといった、常に行われる攻撃への対策が基本となる。

クラウドに関するトレンド予測

集中型モデルから分散コンピューティングへ

 集中型のクラウドインフラから、動的な分散型アーキテクチャへの移行が起こり、分散コンピューティングが台頭する。組織のプラットフォーム・エンジニアリング・チームは、ユーザーのロケーション、リソース・コスト、コンプライアンス・ニーズ、持続可能性といった目標に合わせてプロセスを戦略的に調整し、これまでにない効率性と適応性を発揮できるようになる。日本を含むアジア太平洋地域では、このイノベーションと競争力のために、この柔軟性が不可欠となる。

AIワークロードの最適化で収益性向上

 日本を含むアジア太平洋地域の企業がAIワークロードのコスト高騰に直面する中、組織のリーダーたちはAIの推論フェーズの最適化を優先し、業務を合理化し、スピードと精度を高めると予測。その結果、計算コストが削減されるだけでなく、パフォーマンスも向上し、企業はリソースを成長とイノベーションに振り向けることができるようになって、よりスマートなAIが収益性の向上とAI能力の継続的な進歩につながるという、強力なサイクルが生まれる。

AIエージェントがウェブと人間との関係を根本的に変える

 今後10年を見据えると、AIエージェントが積極的な役割を果たし、予約、購入、支払いなどのタスクをアシストすることで、ユーザーがスクリーンから離れられる未来が来る。2025年にはこの変革の初期段階が見られ、従来のチャットボットは簡単なタスクを実行できるAIエージェントに発展するなどして、利便性を再定義し、AIによる便利な生活が新時代の到来を告げる。

LLMでなくSLMが人気に

 ハイエンドGPUへの依存を減らしながら、個々のニーズにあわせて動作できる小規模言語モデル(SLM)が、LLMを効率的に活用したいと考えている企業にとっても魅力的な選択肢となる。

 SLMのモジュール設計と拡張性により、要件にあわせたカスタマイズがしやすくなり、データ監視とプライバシーという現代的課題解決手段に適した存在としても、オンプレミスへのSLMの導入が進んでいく。