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かつての「組込み総合技術展」も今や生成AI時代のイベントに。その一方で“歴史的な半導体チップ”の展示も拡充

「EdgeTech+ 2025」11月19日~21日にパシフィコ横浜で開催、参加費無料

 組込み技術/エッジテクノロジーの展示会/カンファレンスイベント「EdgeTech+ 2025」が11月19日~21日、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)で開催される。参加費は無料で、イベント公式サイトでの事前登録制となっている。主催は一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)。

 EdgeTech+(エッジテックプラス)のルーツは、1986年にスタートした「MST(Microcomputer System & Tool Fair)」。その後、2002年より「組込み総合技術展(Embedded Technology Expo)」と改名し、2015年からは「IoT総合技術展(IoT Technology Expo)」と併催に。そして2022年より、EdgeTech+として開催されている。

 「“機器制御の黒子”として製品開発シーンを支えてきた組込みシステムは、今やモビリティ、製造、ロボティクス、インフラといったあらゆる産業の中核を担う存在へと進化している」とし、「その役割は、単なる制御からリアルタイム知能、セキュア通信、クラウド連携、UX設計まで広がり、まさに“動くAI”として社会インフラを支える中核技術になりつつある」と説明。

 イベント公式サイトでは、こうした歴史とあわせて、組込み技術の「役割のシフト」として以下のようなフェーズの変化を挙げている。

  • 第1フェーズ:制御主体の専用機能としての組込みシステム
  • 第2フェーズ:ネットワーク接続とデータ収集
    IoTの登場とともに、組込みは単体で完結する装置から、「つながる端末」へ
  • 第3フェーズ:ソフト主導化・AI化とユーザー価値の創出
  • 第4フェーズ:生成AI・クラウド・セキュリティを軸に進化する組込み開発

 EdgeTech+ 2025では「こうした変革の最前線」を体験できるとしており、300社以上が出展し、最新技術/ソリューションを展示およびセミナーで紹介する。

 イベントコンセプトとしては、「AI」「IoT」「組込みソフト」「組込みハード/半導体デバイス」「開発支援」「開発環境」「セーフティ&セキュリティ」「ワイヤレス」といったエッジテクノロジーにとどまらず、「生成AI/フィジカルAI」「クラウド&エッジ」「DevOps」「アジャイル」「リスキリング/人材育成」といったテーマを“事業変革のためのキーワード”として掲げている。

「EdgeTech+ 2025」イベントコンセプト(公式サイトより)

 中でも、今年は以下のような部分が主なポイントになるという。

  • 生成AI
    - AI共創型の開発や事例に関するセミナー、展示ゾーンを実施
  • エッジAI/フィジカルAI
    - 世の中に普及が広まる画像認識AI技術の特別企画「画像認識 AI EXPO 2025 Fall」の開催
    - 自動運転・ロボティクスなどフィジカルAIへの取り組みを強化
  • SDV(Software Defined Vehicle)
    - ソフトウェア定義開発が進む代表事例である自動車関連業界に向けて「Automotive Software Expo」を開催
  • サイバーセキュリティ
    - AI、ソフトウェア定義開発で高まるサイバーセキュリティ脅威への対応やIoT製品に求められるサイバーセキュリティ認証、重要インフラ分野での能動的サイバー法案など、本業界で急務となるセキュリティをテーマとした展示ゾーンやセミナーを実施。
「EdgeTech+ 2025」のカンファレンス構成

 主なポイントとしても挙げている特別企画として、画像認識・解析AI技術にフォーカスした「画像認識 AI EXPO 2025 Fall」、自動車開発のソフトウェア技術にフォーカスした特別企画「Automotive Software Expo」なども開催。Automotive Software Expoでは「自動車サイバーセキュリティパビリオン」「生成AIゾーン」という2つの主催者企画ゾーンも設け、自動車のソフトウェア化に欠かせない分野の最新動向を網羅するとしている。

 一方で、同じく特別企画として、歴史的な半導体チップを展示する「チップミュージアム mini#」も見どころの1つだという。4回目となるチップミュージアムは、2022年の「mini」、2023年の「mini+」、2024年の「mini++」に続き、今年は「mini#」となり、「+を4つ重ねてさらにパワーアップ」するとしている。「自分でチップを取り出して顕微鏡で観察する方法と、そこからわかること」といった新たなテーマも登場する。

「チップミュージアム mini#」概要

 開催に先立って11月5日に行われた記者発表会では、「EdgeTech+ AWARD 2025」の結果も発表された。出展企業からエントリーされた製品/ソリューション/サービス/技術を、業界識者と主要メディア関係者が審査し、各賞を決定するもので、結果は以下の通り。

  • Edge Technology 優秀賞
    ディジタルメディアプロフェッショナル「エッジAIカメラSoC Di1」
  • Edge Technology 優秀賞
    パナソニックオートモーティブシステムズ「ISO/SAE21434準拠 脅威・脆弱性分析ソリューション VERZEUSE for TARA」
  • AI/生成AI 優秀賞
    フィックスターズ「Fixstars AIBooster」
  • AI設計支援 優秀賞
    イミロン「SpecForge」
  • AI設計支援 優秀賞
    ビースラッシュ「設計意図発掘ツールAtScope 動的構造解析」
  • AI設計支援 優秀賞
    ミラクシア エッジテクノロジー「マイコンEOL対応『要件定義』サービス」
  • オートモーティブ ソフトウェア 優秀賞
    HERE Japan「SDV Accelerator」
  • JASA 特別賞
    アットマークテクノ「市販SoM向けのArmadillo Base OS / Armadillo Twin」
「EdgeTech+ 2025」公式サイト