EU、公営放送への政府支出に関する規則を厳格化


 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は2日、公営放送企業体に対する政府の支出について、新たな規則を策定したと発表した。今回の規則改定は、2001年の通知(IP/01/1429)を改正するもの。競争環境をより整備するために、その障害となりうる公営放送企業体への支援について国レベルでの説明責任および有効なコントロールを可能とするもので、透明な評価のための改正が主であるとしている。

 EUでは、放送とネットの融合が進む中、8年前に制定された政府支出に関する規定の見直しを迫られていた。特に、放送・ネット業界における競争環境を維持・促進するためには、公営放送企業体への支援が不公平であるとかえって障害となってしまうことから、いかなる規制をすべきかが注目されていた。

 今回の改正は、公営企業の保護よりも競争環境を維持・促進することが、EU市民に対する利益が多いと判断したものと考えられる。特に、デジタル技術の推進とインターネットベースのサービスの進展で、コンテンツ自体は放送企業体とほぼ共通の土俵で競争する環境となっていることから、公営企業体が新たなサービスを提供する場合の事前審査、公営企業の有料コンテンツ提供に対する説明責任、公的サービスに対する過度の填補に関する監視、財政面など種々の側面で監視するよう改訂がなされる予定だ。

 いずれにしても、最終目的は高品質のサービスをEU市民に提供できる環境を整備するものであり、今後も検討を続けるという。


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(Gana Hiyoshi)

2009/7/6 13:15