「.日本」のレジストリ公募・選定へ、民間協議会が活動開始
インターネット協会の高橋徹氏 |
ハイパーネットワーク社会研究所の会津泉氏 |
総務省の長塩義樹氏(総合通信基盤局データ通信課課長) |
「日本インターネットドメイン名協議会(仮称)」の発起人会が28日、設立準備説明会を開催し、「.日本」の管理運営事業者(レジストリ)選定に向けたスケジュールなどを発表した。9月上旬に設立総会を開催して正式に発足し、選定基準を策定した後、レジストリを公募。2010年2~3月に選定結果を発表する。
「.日本」は、国コードトップレベルドメイン(ccTLD)にアルファベットや数字以外の文字を使える国際化ccTLD(IDN ccTLD)が導入されることを受けて、日本の新たなccTLDとして2010年にも登録申請受け付けの開始が見込まれているもの。同様のIDN ccTLDは、ロシアや中国、韓国、アラブ諸国など40カ国が導入意向を表明しているとされる。
日本においては、総務省の情報通信審議会が、日本のIDN ccTLDの文字列として「.日本」が望ましいとし、そのレジストリについては民間協議会を設立して公募によって選定すべきとの答申を出している。
「日本インターネットドメイン名協議会(仮称)」は、この答申を受けて発足するものだ。一般社団法人ECネットワーク、財団法人インターネット協会、社団法人全国消費生活相談員協会、社団法人テレコムサービス協会、社団法人日本インターネットプロバイダー協会、社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)、財団法人ハイパーネットワーク社会研究所の7団体が発起人となっている。
今回の設立準備説明会では、インターネット協会の高橋徹氏があいさつしたほか、ハイパーネットワーク社会研究所の会津泉氏が、これまでの経緯や協議会の目的、今後のスケジュールを説明した。
発起人会では今後、8月まで設立総会に向けた準備を進めるとともに、会員を募集する。想定している会員としては、事業者団体や公益法人、経済団体、消費者団体やユーザー団体のほか、ドメイン名はフィッシング詐欺などセキュリティ面での考慮も必要とされることから情報セキュリティ関連団体や、商標などとの関わりから法務・知財関連団体なども想定している。
さらには、今後TLDの原則自由化が実現すれば、「.tokyo」「.大阪」などの地理的名称を用いた“ご当地TLD”も導入される見込みであることから、「日本インターネットドメイン名協議会(仮称)」では、これら地理的名称のTLDについて、自治体からの相談対応など支援を行う役割も持つ。このことから、地域経済団体や地域情報化関連団体も会員として想定している。会津氏は、広く参加を呼び掛けるとともに、協議会の運営方針などについても早い段階から意見などを寄せてほしいと協力を呼び掛けた。
なお、一般の個々の営利企業は対象外となる。一方で、このようなドメイン名分野では事業として深くかかわることになるドメイン名登録サービス事業者(レジストラ)の業界団体は今のところ日本には存在しないという。高橋氏によると、レジストリやレジストラの団体を作って「日本インターネットドメイン名協議会(仮称)」に参加してもらうべきだとの意見もあると説明した上で、そのような動きがあることも紹介した。
9月上旬の設立総会を経て、10月に「.日本」レジストリの選定基準案を公表し、パブリックコメントを募集。11月に選定基準と公募要項を発表するとともに、選定委員会を設置する。選定委員会は、法制度や経済、競争政策、インターネット技術などの分野の学識経験者および実務者8~9人と、ユーザー代表1~2人で構成する。12月から2010年1月まで「.日本」のレジストリを公募し、3月までに選定結果を発表する予定だ。
設立準備説明会には、総務省から長塩義樹氏(総合通信基盤局データ通信課課長)も来賓として出席。情報通信審議会の答申において、「.日本」の導入に際しては民間主導という視点が色濃く反映されていると説明した上で、「日本インターネットドメイン名協議会(仮称)」に対して、答申の趣旨を踏まえ、公正・透明・中立な活動を期待するとした。
「日本インターネットドメイン名協議会(仮称)」の活動内容 | 「.日本」のレジストリ選定に向けたスケジュール |
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(永沢 茂)
2009/7/28 14:45
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