4億人に迫る中国のインターネット利用者、携帯利用が急増~CNNIC調査


 中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は、中国における2009年月末時点でのインターネットの利用状況をまとめた「第25次中国互換網発展状況統計報告」を発表した。

携帯電話からのインターネット利用者が急増

 2009年末時点のインターネット利用者は約3億8400万人で、半年前に行った前回調査から約4600万人増加。1年前の2008年末調査からは、約8600万人増加した。うち農村部の利用者は1億681万人と、今回の調査ではじめて1億人を突破した。

インターネット利用者の推移インターネットを利用する製品について
省別でみたインターネット利用率の高い地域低い地域省別のGDPと省別インターネット普及率の関係

 ブロードバンド利用者は3億4598万人で、半年前からは約2725万人、1年前からは7598万人の増加となった。インターネット利用者全体の増加数に比べると、ブロードバンド利用者の増加は少ないが、これは携帯電話によるインターネット利用者の増加が著しいためだ。携帯電話によるインターネット利用者は2億2244万人で、1億1760万人であった1年前から倍増している。

 インターネットを利用するための端末(複数回答可)でも、「携帯電話」が2008年末の39.5%から今回調査では60.8%へと大幅に増加。このため、インターネットを「デスクトップPC」で利用するユーザーの割合は1年前の89.4%から73.4%と16ポイント減少したが、PCユーザーが減少しているわけではなく、それだけ携帯電話からのネット利用が爆発的に増加していることを意味する。なおPCでも、「ノートPC」だけに限ると、27.8%から30.7%へと微増している。

 IPv4アドレスは前年比28.2%増の2億3245万。これはアメリカに次ぐ世界第2位だ。ドメイン名の登録総数は1681万(うち「.cn」ドメインが1345万と、全体の80%を占める)、前年比では微減となったが、サイト数では同12.3%増の323万サイト、Webページ数は前年比で倍以上となる336億ページとなった。

 1サイトあたりの平均Webページ数は前年比86.1%増の1万397ページ、Webページ1ページあたりの平均ファイルサイズは同10.3%増の31.5KB。海外バックボーンは前年比で35.3%増となる866.367Mbpsと大きく伸びた。

ドメイン名やバックボーンなどの推移

無職や失業者、無収入の学生へも利用が広がる

 利用者層については、これまでは男女比が1:1に近づく形で変化していたが、今回調査ではじゃっかん男性の割合が増え、男女比は54.2:45.8となった。

 また年齢別では、10代、20代の利用比率が若干減り、その分30代の利用者が増加した。ただし、インターネット利用者は10代~30代で8割強を占めており、インターネットが若者を中心に利用されていることは従来と変わりはない。

 利用年齢層に大きな変化はなかった一方で、変化がみられたのが職業別利用者の項目だ。無職・失業者が前回の5.5%から9.8%におよそ倍増、収入別で見ても、無収入の占める割合が、1.5%から10%まで急増している。

インターネット利用者収入別構成比(2008 - 2009年)インターネット利用者年齢別構成比

職場でのインターネット利用も3割を超える

 インターネットを利用する場所(複数回答可)は、「家庭(83.2%)」「インターネットカフェ(35.1%)」「職場(30.2%)」となり、職場での利用が半年前の前回調査22.7%から30.2%と伸びているのがわかる。

 インターネットを利用するタイミングについては「暇なとき(68.1%)」「仕事中(7.4%)」「状況を問わず(24.5%)」となった。また1週間にインターネットを利用する時間は2008年末の16.6時間から18.7時間へと伸びた。

 インターネット利用者の利用用途は、多い順に10番目までを挙げると、「音楽視聴(83.5%)」「ニュース(80.1%)」「検索(73.3%)」「インスタントメッセンジャー(70.9%)」「オンラインゲーム(68.9%)」「映像視聴(62.6%)」「ブログ(57.7%)」「メール(56.8%)」「SNS(45.8%)」「小説(42.3%)」。

 11番目以後は、「掲示板(30.5%)」「オンラインショッピング(45.9%)」「オンラインバンキング(24.5%)」「オンラインペイメント(24.5%)」「オンライントレード(14.8%)」「旅行予約(7.9%)」となった。

急増するオンライン金融サービスの利用

 インターネット人口は1年前から28.9%と約3割増加している。このインターネット利用人口の増加率を上回る率で利用の増えている用途を挙げると、「オンラインペイメント(同80.9%増)」「旅行予約(同77.9%増)」「オンライントレード(同67.0%増)」「オンラインバンキング(同62.3%増)」など、インターネット上での決済や取引、口座管理、旅行予約が大きく伸びていることがわかる。

オンライントレード利用者の株への総投資金額とオンライントレード利用率の関係
インターネット利用者収入別構成比。手机は携帯電話を意味する。月収8000元(約11万7000円)以上の富裕層は3%弱

 「検索(同38.6%増)」「ブログ(同36.7%増)」「ニュース(31.5%)」などもインターネット利用者の増加率を上回る増加を見せている。

 増加率とほぼイコールとなった利用用途は「メール(29.0%)」「音楽試聴(28.8%)」「掲示板(28.6%)」などで、従来からすでに定着しているサービスが多い。

 インターネット利用人口の増加率よりも低い増加率となった利用用途は、「インスタントメッセンジャー(21.6%)」「映像視聴(19.0%)」であった(SNSと小説は今回から調査対象となっているため除外)。QQに代表されるインスタントメッセンジャーは、中国のインターネット普及のキラーコンテンツと言われたが、多彩なサービスが提供されるようになった現在では、「インターネット利用者イコールSNSユーザー」ではなくなりつつあることがわかる。

 全体に、一部用途を除いた各用途の増加率はインターネット利用者の増加率より高く、ユーザーが新サービスを積極的に利用することでインターネットの用途広がっていることがわかる。特にオンラインバンキングや決済などの利用が大きな伸びをみせている。一方、映像視聴の利用者がさほど増えなかったのは、2009年上半期に政府主導で行われた中国国内のコンテンツ海賊版を撲滅する運動が活発だったことも一因だろう。

 また本調査では、2億2244万人が利用する携帯電話によるインターネット利用者の利用用途についても調査している。利用率の多い順に「インスタントメッセンジャー(77.8%)」「記事閲読(75.4%)」「検索(55.2%)」「音楽試聴(50.4%)」「掲示板(22.8%)」「オンラインゲーム(19.3%)」「メール(18.4%)」「テレビ視聴(16.5%)」となった。


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(山谷 剛史)

2010/1/18 15:10