米司法省、Googleブック検索の和解修正案に懸念を表明

進展は見られるが、著作権と独占禁止法の問題は残ったまま


 米司法省は4日、Google Book Search(Googleブック検索)の集団訴訟における和解修正案について、問題の解決に向けて進展は見られるものの、依然として著作権と反トラスト法(独占禁止法)の問題は残ったままだとする声明を発表した。和解修正案に関する公聴会は、2月18日に開催される予定となっている。

 米国のGoogle Book Searchでは、図書館との提携により蔵書をデジタル化して検索を可能とするサービスの提供を行っており、著作権の保護期間が終了した書籍については全文の閲覧も可能としている。Googleでは、全文閲覧が可能な書籍の範囲をさらに拡大することを計画しており、これに対して米国の作家団体や出版社団体が提訴していたが、2008年10月に和解に合意した。

 和解案が成立すると、著作権保護期間内であっても、絶版または市販されていない書籍については、全文の閲覧が可能となる。また、版権レジストリが組織され、著作権保護期間内の書籍を利用して得られた収益については、権利者に還元するとしている。

 当初の和解案では、この和解には「米国で著作権を有するすべての権利者」が含まれるとされていた。しかし、著作権の国際条約であるベルヌ条約により他国の権利者も米国の著作権を有するため、この和解の影響がベルヌ条約の全加盟国に及ぶこととなった。和解管理組織は、各国の著作権者に対して和解に参加しない場合にはその旨を連絡するよう求めたが、各国からは異議や反発が相次いだ。米司法省も、2009年10月7日に行われる予定だった和解案の最終審理前に、和解案を承認すべきでないとする助言を行っていた。

 こうした状況を受け、Googleと作家団体などは2009年11月13日に和解修正案を発表。修正案では、和解の対象となる範囲を米国、英国、オーストラリア、カナダの4カ国に限定。売上の一部は著作権者の捜索に充てるとともに、絶版書籍をGoogle以外の書籍小売業者も販売できるようにすることを義務付けた。

 米司法省では、和解修正案には進展が見られるものの、懸念は完全には解消されていないとコメント。一企業であるGoogleが利益を得るため、独占禁止法上の問題が生じる可能性があると指摘している。AmazonやMicrosoft、Yahoo!などにより設立されたOpen Book Allianceも4日、米司法省の声明を歓迎する声明を発表した。


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(三柳 英樹)

2010/2/5 15:04