イタリア法廷、アップロード動画でGoogle従業員の責任問う判決

Googleは「Webへの脅威」として控訴へ


 イタリア当局が、Googleの動画サービス「Google Video」にアップロードされた動画について、Googleの従業員4人を起訴し、一部で有罪判決が下っていたことが明らかになった。Googleが24日、同社公式ブログにおいて「イタリアにおけるWebへの深刻な脅威」と題する投稿で公表した。

 それによると、2006年末に、イタリア北西部の街・トリノにある学校の生徒たちが、自閉症の同級生をいじめる様子を動画撮影し、Google Videoにアップロードしたという。Googleはイタリア警察からの通報を受け、数時間のうちに公開を取りやめた。地元警察はアップロードした人物を特定。トリノにおいて10カ月の公共奉仕を命じられたという。

 この件に関連してミラノの検察官は、Googleの従業員4人を、名誉毀損とイタリアのプライバシー法違反で起訴した。ミラノの法廷は24日、4人のうち3人を、プライバシー法違反で有罪とした。ただし、名誉棄損については4人全員が無罪となった。

 この判決についてGoogleは強く反発している。起訴された4人の従業員は「動画に写っておらず、撮影もしておらず、アップロードもしておらず、評価もしていない」と説明。そしてこの判決により、「Google Videoのようなホスティングプラットフォーム企業の従業員は、ユーザーがアップロードするコンテンツに関して法的な責任を負うことになる」と指摘する。

 一般的には、EU法では違法コンテンツの存在について通知を受けた後、削除するならば、責任を負わなくて済むというセーフハーバーが提供されることになっている。Googleは、「この原則が適用されないのであれば、Blogger、YouTube、そして実にすべてのソーシャルネットワークとコミュニティ掲示板は、アップロードされるすべてのコンテンツのかけらに至るまで、実にすべてのテキスト、すべての写真、すべてのファイル、すべての動画に責任を負わなければならないことになる。そうなれば、我々が知るWebは存在できなくなり、これがもたらしてくれる多くの経済的、社会的、政治的、技術的な利点は消えうせるだろう」と厳しく指摘している。

 Googleでは、従業員とともに控訴する方針を明らかにした。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2010/2/25 12:24