トヨタホーム、メタバース「meet-me」内にバーチャル住宅展示場オープン


 住宅メーカーのトヨタホーム株式会社は25日、東京23区を再現したメタバース「meet-me」内にバーチャル住宅展示場をオープンした。実際に建築するには制約があるリアル展示場を補完するとともに、既存の営業チャネルと異なる潜在顧客層の掘り起こしを狙う。

 「トヨタホーム・バーチャル住宅展示場」は、トヨタ自動車株式会社がmeet-me内で運営している街区「トヨタメタポリス」の一画にある。そのため、来場するにはトヨタメタポリスの会員登録(無料)を行い、自分のアバターを用意する必要がある。


トヨタホーム・バーチャル住宅展示場新商品「LQ」シリーズ3棟のモデルハウス
モデルハウスの室内の様子

 バーチャル展示場では現在、3棟のモデルハウスが建てられており、アバターとなって実際に中に入り、間取りや設備を見ることができる。ドアや床の色、キッチン設備のコーディネートを変更して雰囲気を確認することも可能だ。家具なども設置されており、アバターを自分の身長に合わせて設定しておけば、リアルと同様の視点で家の中を歩き回ったり、ソファに座るなどして空間を疑似体験できるとしている。住人役のアバターもおり、住み心地などのアピールポイントなどを自動応答で語るという。

 ただし、現時点では営業担当者のアバターは常駐しておらず、個別の対応はリアルの営業担当者などへ誘導するかたちとなる。具体的には、モデルハウスのリビングに設置しているテレビが詳細情報へのインターフェイスとなっており、トヨタホームの通常のウェブサイトへジャンプして価格などを参照できる。さらに、全国にあるリアル展示場の検索・見学予約や、営業所での商談予約が行えるようになっている。今後、バーチャル展示場内での商談にも対応できるようにしていく考えだ。

トヨタホームの松井志夫氏(営業推進部営業企画室・商品販促グループ長)

 トヨタホームの松井志夫氏(営業推進部営業企画室・商品販促グループ長)によると、住宅購入者が情報収集や住宅メーカーへの資料請求などを行う手段としてインターネットがすでに8割を占めると言われているという。同社も従来よりウェブサイトでの情報提供や資料請求の受付を行っていたが、同社サイトを直接訪れるような層に加え、バーチャル展示場により、住宅購入意欲が必ずしも高くないメタバース利用者なども潜在顧客化することができるとしている。

 meet-meの登録会員数は現在50万人ほどで、そのうち約20万人がトヨタメタポリスの登録会員。トヨタメタポリスではトヨタ自動車のバーチャル新車発表会も開催されるなど、“トヨタファン”が集まる場となっており、グループ会社のトヨタホームとしても潜在顧客を獲得しやすい環境にあるとみている。25日のオープン後、すでに1棟あたり延べ6000人の入場者があったという。

 なお、リアルの住宅展示場における建築コストは1棟あたり7000万円から1億円程度なのに対して、バーチャルでは1棟が150万円程度だという。現在は3棟のみだが、来年度中に同社の全ラインナップをバーチャル展示場に建て、同社の通常のウェブサイトからの誘導もはかりたいとしている。


「トヨタメタポリス」全景「トヨタホーム・バーチャル住宅展示場」へは、「トヨタメタポリス」内の住宅棟(レジデンス)前から送迎バスが出ている




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(永沢 茂)

2010/6/28 16:17