NICT、藤沢・茅ヶ崎で実施する「コグニティブ無線」実証実験の参加者を募集


コグニティブ無線ルーターの設置ボックスとその内部
接続イメージ

 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は18日、神奈川県藤沢市・茅ヶ崎市周辺で9月1日から実施する「コグニティブ無線システム」の実証実験の参加者募集を開始した。参加者は無料で無線LANによるインターネット接続が利用でき、NICTでは実証実験を通じてシステムの検証を行う。

 コグニティブ無線とは、無線機が周囲の電波環境を認識し、状況に応じて他のシステムに干渉を与えることなく無線資源を使用し、基地局や端末を再構築して無線通信を行う技術。NICTでは、コグニティブ無線システムの広域実証実験に向けて、藤沢市産業振興財団と共同研究契約を4月27日に締結。実証実験のテストベッドを構築した。

 テストベッドでは、約500台のコグニティブ無線ルーターを藤沢市・茅ヶ崎市周辺に設置。NICTの横須賀研究所に設置するサーバーと連携した制御により、各ルーターがW-CDMAやPHS、その他の無線方式から電波利用状況に応じて最適な無線方式を選択することで、地域全体で最適な無線通信によるインターネット接続を提供する。

 実験参加者は、無線LANを使ってコグニティブ無線ルーターと接続し、インターネット通信を無料で行える。インターネットへの接続についてはコグニティブ無線ルーター側で最適な方式を選択するため、利用者は接続方式を意識する必要はない。

 実証実験は、2010年9月1日~2011年3月31日まで実施の予定。実証実験の参加登録サイトから申し込むことで、接続に必要なIDとパスワードが取得できる。

 NICTでは、テストベッドの運用を行いながらコグニティブ無線技術に基づく様々な制御方式を適用し、その効果を検証。実験で取得したデータは学会などを通じて公開するだけでなく、必要に応じて大学などの研究機関と共同研究を行うことで、制御方式などの研究開発の促進に役立てることが可能なオープンワイヤレステストベッド運用のために活用していくとしている。


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(三柳 英樹)

2010/8/18 16:42