SFCとUQ、WiMAXでキャンパスネットへアクセスできるサービス


 慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)とUQコミュニケーションズは、SFCが運営するキャンパスネットワークシステム(SFC-CNS)とWiMAXを接続するサービスを2011年4月より開始する。WiMAX端末をSFC-CNSユーザー専用の契約にすることで、全国よりSFC-CNSへアクセスできるようになる。同サービスの利用料は未定。

 今回提供されるサービスは、企業のイントラネットへのダイレクトアクセスと同様の仕組みを用いて実現されるもの。市販のWiMAX端末をSFC-CNSユーザー専用の契約にすることで、端末は常にSFC-CNSを経由してインターネットに接続するようになる。これにより、学内のWi-Fiなどから利用するキャンパスネットワークと同じ環境が全国のUQコミュニケーションズのエリアで実現される。IPアドレスはSFC-CNSから割当てられ、IDやパスワードの入力、VPNの設定や起動といった操作が不要で、簡単に利用できるのが特徴。

 UQコミュニケーションズ側では、WiMAXの基地局とSFC-CNSとの間に専用線を用意。SFC内に基地局を増設したほか、最寄り駅からの通学路にも増設を検討している。

 今回の取り組みにおいて、SFCはMVNOではないため、ユーザーはUQコミュニケーションズと契約する形になる。一方、IPアドレスの払い出しやインターネットへの接続など実際上のユーザー管理は大学側が行う。学生は卒業すると原則的にSFC-CNSのアカウントを失うが、UQコミュニケーションズやMVNOと契約すれば、端末はそのままで引き続きWiMAXを利用できる。

 22日には都内で記者向けの発表会が開催された。慶應義塾大学 環境情報学部長の村井純氏は、1990年からコンピューターネットワークを学内に導入してきた経緯に触れて、先進的な取り組みを特徴とするSFCの伝統を紹介。新たに、全国どこからでもキャンパスネットワークに専用線でアクセスできる環境が構築されることで、「次のネットがどうなるか。接することで経験しながら、未来を構築していく。今回のことが、大きなイノベーションのきっかけになる」と語り、学生にとって大きな刺激や経験になるとした。

 村井氏はまた、学生にとって常にキャンパスネットワークにアクセスでき、インターネットに接続できる環境は非常に利便性が高いとしたほか、大学側にとっても、「学生が新しいサービスの被験者になれ、そういうことがものすごくしやすくなる。キャンパスの中だけだったのが、フルタイムで実験に参加できる」と、さまざまな動向を分析する際の役に立つとの見方を示した。一方、「通信の秘密もあり、警察からの要請には応えるが、監視はしていない」とSFC-CNSの比較的緩やかな運営ポリシーを示し(P2Pの利用は申請が必要)、「どういうトラフィックが増えているかなど、匿名性を確保した上でトラフィックの傾向を分析する」と、学術研究の対象という一面も明らかにしている。

慶應義塾大学 環境情報学部長の村井純氏村井氏(左)とUQコミュニケーションズ 執行役員 CTOの渡辺文夫氏(右)。渡辺氏からは技術的な解説が行われた
一般的なVPNなどではなく、専用線でアクセスするため、負荷もすくなく簡単な手順になっているキャンパス内にも一般的なWiMAXの基地局を増設
WiMAX搭載パソコンやUSB端末、モバイルWi-Fiルーターなど市販の製品を利用可能。簡単に接続できる
国際サービスの「WORLD WiMAX」など各種のオプションも提供される予定「慶応義塾大学SFC Open Research Forum 2010」の会場でも、WiMAXを使ったキャンパスネットワークがアピールされていた

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(太田 亮三)

2010/11/22 19:06