日本原子力学会、放射線レベルの意味を解説~福島原発事故の概要もまとめ


 社団法人日本原子力学会は16日、福島第一原発と福島第二原発において放射性物質の放出があったことを受け、今回測定された放射性レベルについてとりまとめた。公表されている放射線量の意味などについて解説している。

 日本原子力学会では、3月15日10時に福島第一原発の3号機周辺で毎時400ミリシーベルトという高い線量が計測されたが、これは敷地内の局所的な値であり、敷地境界では15日9時に正門で観測された毎時1万1930マイクロシーベルトが最大だったという。1ミリシーベルトは1000マイクロシーベルトに相当する。

 毎時1万1930マイクロシーベルトとは、1時間その場所にいると、1万1930マイクロシーベルトという放射線量を浴びるという意味。ただし、毎時1万1930マイクロシーベルトは最大値で、平均的にはずっと低い値で推移しているという。

 国連科学委員会の報告によれば、自然界から受ける1人当たりの平均の放射線量は年間2400マイクロシーベルトだったと説明。自然界から受ける放射線の量は場所によって異なり、年間1万~2万マイクロシーベルトに達する人も多いとしている。

 なお、東京とニューヨークの往復で200マイクロシーベルト、胃のレントゲン撮影で1回600マイクロシーベルト、CTスキャンでは6900マイクロシーベルトの放射線を浴びているという。

 また、1回の被ばくで10万マイクロシーベルト(100ミリシーベルト)を大きく超えた場合には、ガンの発生確率が被ばく量に比例して増加するとされているが、それ以下の被ばくではガンの有意な増加はみられていないとしている。

 日本原子力学会ではこのほか、福島第一原発と福島第二原発の事故の概要と経緯についてもとりまとめており、水素爆発が発生した理由などについて解説している。なお、概要と経緯は新たな情報が得られた段階で、随時更新される可能性がある。


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(増田 覚)

2011/3/17 14:26