米Mozilla、「オープンな」携帯アプリを半年以内に実現する計画を発表


 米Mozillaは23日、オープンなウェブを携帯端末にも広げていくために、新プロジェクト「WebAPI」を立ち上げることを発表した。

 このプロジェクトの目的は、iOSやAndroidなどのプラットフォームに依存するアプリではなく、ウェブのようにHTML5と新たに開発するWebAPIを使用し、どの携帯端末でも動作し、かつネイティブアプリに匹敵するほどの高機能なウェブアプリを実現することにある。

 Mozillaでは、オープンソースで開発を行い、開発経過はメーリングリストやWikiなどで情報公開し、3カ月から6カ月以内に「ベーシックなHTML5携帯」を実現したい考えだ。

 現在計画されているAPIには、携帯電話の持つ多くの機能をウェブアプリから操作できるようにすることを目指している。例えばダイヤル機能、アドレス帳、カメラ、加速度計、ジオロケーション、SMS、ファイルシステムへのアクセスなどが構想されている。

 こうした端末機能をウェブアプリから利用するためには、セキュリティが最重要課題となる。現時点では、ジオロケーションのように使用するたびにユーザー許可を求めるか、代替手段が必要となる可能性もあるとして検討が進められている。

 Mozillaでは、WebAPI仕様のドラフトと実装プロトタイプを公開し、標準化するためにW3Cに送付する計画だ。

 現在Mozillaが提案している基本的なHTML5携帯でも、携帯のかなり細かな機能を包含することになる。これが実際に3カ月から6カ月の間に実現するとなれば、iPhoneアプリでもAndroidアプリでもない、オープンな携帯ウェブアプリが実現する可能性も出てくる。

 しかし仕様を標準化するために送付するW3CにはApple、Google、Microsoftなども当然ながら参加している。また、それぞれのOSプラットフォームにはネイティブアプリを開発しているビジネスパートナーが数多く存在し、すでにビジネスモデルとして定着しているとも言える。そのため、さまざまな企業、団体と利害が一致しない可能性もある。

 セキュリティの問題などの技術的な課題を克服すると同時に、ビジネス、政治的にこの提案か受け入れられるかどうかにも注目が集まりそうだ。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2011/8/24 11:38