NTTグループ、7月より請求書の一本化が可能に


 NTTファイナンスとNTT(持株)は、NTTファイナンスが新たに通信サービスなどの料金請求・回収業務を7月より開始すると発表した。NTTグループの固定電話サービスやNTTドコモの利用料をNTTファイナンスが請求することになり、ユーザーが申し込めば請求書を一本化できる。今後は他社のサービスにもニーズにあわせて対応する。

NTTグループの請求書を一本化

 NTTでは、固定電話や携帯電話など、多くの通信サービスが利用される一方で、請求書が各社から送付され、ユーザーから一本化の要望が多くが挙がっていると説明。7月からは、NTT東日本・NTT西日本・NTTコミュニケーションズ(NTT Com)・NTTドコモの4社の利用料にかかる債権をNTTファイナンスが譲り受け、ユーザーに請求する。

 ユーザーにとっては、クレジットカード払いや口座振替、請求書払いなど、これまでの支払い方法は自動的に継続され、特に変更はないが、請求元がNTTドコモなどの事業者名からNTTファイナンスへ変更されることになる。またWebブラウザで各社の請求内容を確認できるサービス「Webビリング(仮称)」が提供される。たとえばNTTドコモの場合、紙の請求書の郵送を行わないユーザーには「eビリング」として月額利用料から100円割り引くサービスを実施しているが、7月以降は、eビリングによる割引が適用され、100円安くなった金額分の債権がNTTファイナンスに譲渡され、請求されることになり、利用料やポイント付与なども従来通りとなる。

 さらにNTTファイナンスでは、申し込みを行ったユーザーに対して「おまとめ請求(仮称)」を提供する。これによりNTTファイナンスが債権を持つNTTグループの利用料の請求書を1つにまとめらえる。対象サービスは、NTT東日本やNTT西日本の電話サービスや電報、フレッツ、ひかり電話、NTT Comの電話サービスとOCN、NTTドコモのFOMA/Xi(クロッシィ)、端末割賦代など携帯電話サービス全般となる。

グループで効率化も

 今後、NTTファイナンスでは、NTT東日本/NTT西日本が行っている回収代行と同程度のサービスを提供する。また映像や音楽などのコンテンツ利用料、公共料金などの請求・回収などもニーズにあわせて提供する方針。

 NTTによれば、法人営業においてユーザーから、電気料金などの公共料金と電話料金の請求をまとめて欲しいというニーズが寄せられることは少なくないという。そうした“ワンビリング”事業を行う企業は存在するとして、今後NTTファイナンスでもニーズにあわせて準備が整えば提供する可能性があるという。また、NTTファイナンスが、KDDIやソフトバンクといった同じ業界の競合他社の料金を扱うかどうかについては「公共料金と同じように、協業の要請があれば提供する可能性はある」(NTT持株広報)としている。

 また第三者の企業がNTTファイナンスと同じ事業を展開したいと考えた場合について、NTTでは「もし低コストで、与信調査を満たし、業務遂行能力があると、各事業会社(ドコモなど)が判断すれば、そうした可能性はあるかもしれない。ただ、現時点でそうした企業の存在は認識していない」と説明。今回の取り組みではNTTファイナンス内に「ビリング事業本部(仮称)」が設立され、NTTドコモやNTT Comなど各事業会社で料金請求・回収を担当していたスタッフがNTTファイナンスへ異動することになる。深いレベルでの協業となっており、第三者の企業の参入は容易ではないと見られる。


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(関口 聖)

2012/2/3 17:53