大日本印刷と東京大学、1分間に250ページを取り込めるブックスキャナー装置


 大日本印刷株式会社は19日、東京大学の石川正俊教授・渡辺義浩助教の研究チームと共同で、本をパラパラめくるだけで各ページを画像データとして保存できる「世界最速レベル」のブックスキャナー装置を開発したと発表した。そのスピードは、1分間に250ページ。

ブックスキャナー装置(実際は安全性を考慮し、カバーが装着される)

 大日本印刷によると、本をスキャンする場合、従来は本を断裁してシート状にする作業の時間を要していたという。また、断裁しないで冊子体のままでのスキャンする場合も、文字がゆがまないように紙面を平坦な状態にするために、読み取り速度が十分ではなかったとしている。

 開発した高速ブックスキャナーでは、高速ページめくり装置を新たに開発するとともに、ページめくり時の紙面の3次元形状を1秒間に500回の速度で捉え、最も高品質に電子化できる瞬間を識別するアルゴリズムにより、解像度を1インチあたり400画素に高めることに成功したという。さらに、撮影した画像と同時に取得した3次元形状を用いて、変形する前の平面の書籍画像に復元する補正技術を備えた。

 なお、補正技術は、今回の試作機では演算処理装置がフル仕様でないために1分あたり120ページにとどまる。並列化により250ページの補正が可能だという。

リアルタイム3次元補正

 大日本印刷では2013年度中の実用化を目指す。自社工場内における図書館の蔵書の電子化サービスでの導入や、ブックスキャナーの外販について検討していく。


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(永沢 茂)

2012/11/19 17:00