ニュース

福島県浪江町の「警戒区域」がストリートビューで公開

 グーグル株式会社は28日、福島県浪江町のストリートビューを公開したと発表した。地図サービス「Google マップ」や3D地図ソフト「Google Earth」、東日本大震災被災地の写真・動画を共有するためのサイト「未来へのキオク」で閲覧できる。

福島県浪江町のストリートビュー(画像提供:Google)

 浪江町は、町の半分が福島第一原子力発電所から20km圏内にあたる「警戒区域」、残り半分が「計画的避難区域」に指定されており、震災から2年経過した現在でも自由に立ち入ることができないという。

 浪江町のストリートビューは、そのような状態にある町の現在の様子を、町から離れて避難している町民に見てもらえるよう、また、倒壊した建物も撤去できず、原子力災害により震災から時が止まったままとなっている町の現状を広く世界に発信するために、浪江町の依頼を受けてグーグルが撮影・公開したもの。3月4日から約2週間かけ、主に海岸から市街地にかけての警戒区域にあたる地域を撮影した。

 ストリートビューの公開にあたり、浪江町の馬場有町長がグーグル公式ブログにコメントを寄せている(米Googleの公式ブログやGoogle Mapsの公式でも、その英訳を掲載している)。

 「私達大人は、先人達から受け継いだふるさとを子ども達へ渡していかなければいけません。そして、福島の原発事故を知らない世代へも、その姿と、営々と築き上げてきた歴史と文化を伝えていくことが、我々の世代に課せられた責任だと思います。ストリートビューによる発信が、未来の世代にも、東日本大震災と原子力災害が引き起こしたありのままの姿を伝えてくれることを願っています。」

「ここは浪江町のメインストリートの1つで、町の様々なイベントの会場となります。町一番のイベントである秋の十日市祭は、この600mの通りに300以上の露店が並び、2万1000人の町へ3日間で10万人以上が訪れる近隣町村、最大の祭りです。」(馬場町長のコメントより。画像提供:Google)
「ここは、太平洋から1kmほどの地域です。左側の奥には請戸小学校が見えます。震災前の請戸漁港には約140艘の漁船があり、500軒ほどの漁師町で賑わっていました。請戸地区は、浪江町の中でも津波被害が甚大な地域ですが、警戒区域のため道路脇にガレキを集めることしかできていません。」(馬場町長のコメントより。画像提供:Google)

(永沢 茂)