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OS/2の延命措置からシームレスなユーザー体験へと発展したParallelsの今後とは
ローカル/クラウドに散らばったファイルを連携するソフト提供も
(2014/10/22 19:14)
パラレルス株式会社は22日、都内で記者会見を行い、仮想化ソフトウェア「Parallelsシリーズ」の現状と今後について報告した。
8年前とは異なるプラットフォーム/フォームファクタ事情
記者会見には米Parallels創立メンバーで、クロスプラットフォームソリューションズビジネスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのジャック・ズバレフ氏が登壇した。
Parallelsはもともと、OS/2の延命措置としてWindows上で動作するよう仮想化技術を開発していたチームがベースとなっている。2005年終わりに、AppleがCPUをPowerPCからIntelに移行したのにあわせて、Appleデスクトップ向けの仮想化ソフトウェア開発に照準を移した。また、これまでのOS環境を切り離す仮想化のアプローチから、Mac OSとWindowsの連携によるシームレスなユーザー体験を目指し、「コヒーレンス」機能などの開発に繋がったという。
Mac向け「Parallels Desktop for Mac」の提供を開始した2006年は、プラットフォームがWindowsとMacの2つで、フォームファクタもデスクトップの1つとシンプルだったという。現在は、WindowsとMacに加え、Android、iOS、タブレット向けWindowsと、プラットフォームも複数存在し、スマートフォン、タブレットなどフォームファクタも多種多様となっている。
複数のプラットフォーム/フォームファクタの垣根を超えて、シームレスに連携するソリューションとして「Parallels Access」を3年前から提供。モバイル環境でもWindowsやMacのデスクトップアプリケーションを活用できる。さらに近い将来、ブラウザーが稼働するデバイスであれば複数のプラットフォームを利用できるよう目指していくとしている。
最近は、企業向けの「Parallels Desktop for Mac Enterprise Edition」の伸びが非常に大きく、ディズニーやBMWなどパフォーマンスが必要な3D制作を行う企業での導入実績もあり、2015年に重視していく製品としている。また、注力するマーケットとしては、EU、中東、北米・南米と比べて成長率が高い中国や日本などのアジア諸国を挙げている。なお、日本は現在、中国に比べて大きな市場だという。
その日本では、有名大学、デザイナーやマーケティングの部署を持つ企業での導入実績のほか、基幹システムがWindowsベースの企業での需要が高いという。また、今年3月の確定申告の際に、システムがMavericksに対応しておらず、古いMacやWindows PCから申請する必要があったが、Parallels Desktop for Macを利用すれば、Mavericks上でもWindows環境で申請するといったことも可能になる。
そのほか、仮想マシンならではの利用方法として、膨大な数のWindowsマシンのアップデートがあった際に、1台ずつインストールを行うのではなく、1つのWindows仮想マシンをアップデートして、各マシンにインストールする方法もあるという。
Parallelsの開発体制について、OS/2の仮想化チームのリーダーだった、米Parallelsクロスプラットフォームソリューションビジネスバイスプレジデントのニック・ドブロボルスキー氏によると、同社では高度な技術を持つ人材をそろえているほか、Intel、Microsoft、Appleのエンジニアチームと協力して開発を進めているという。
ドブロボルスキー氏は、故スティーブ・ジョブズ氏の言葉を引用し、「ソフトウェア開発において不可能なものなどない」とした上で、きちんとしたビジョンを掲げて時間と労力を注ぎ込めば課題は解決するとした。
ローカルやクラウドに散らばったファイルをシームレスに連携
ズバレフ氏は、新たに解決を図りたい課題としてファイルの連携を挙げた。現在、ローカルドライブのほか、OneDrive、Google Driveなどにファイルが散らばっていると指摘。今後、ファイルをシームレスに連携するモバイル向けの製品の提供を予定している。
Parallelsの将来のビジョンとして、5~10年後にはさまざまなデバイスを人々が利用する中で、どのようなデバイスからでも同じアプリケーションやファイルに、シームレスに“一貫性を持って”アクセスできるようにしたいとした。