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LINE、違う電話番号のスマホから一方的にアカウント移管操作を行えないよう仕様変更

PINコード機能は廃止

 LINE株式会社は、機種変更などにより別のスマートフォンにLINEアカウントを移管する手順を2月上旬に変更する予定だと発表した。これまで必要だったPINコード入力が廃止される一方で、異なる電話番号のスマートフォンに移管する場合などには、元のスマートフォン側であらかじめ移管を許可する操作が必要になる。

 アカウント移管にあたっては、これまで通り、有効なメールアドレスおよびパスワードを旧端末側のLINEであらかじめ登録しておく必要がある。新端末側にLINEアプリをインストールし、登録済みのメールアドレスおよびパスワードを入力してログインした後、電話番号を入力し、SMSで届く4けたの認証番号を入力することで移管が完了する。

 従来はこのほかに、PINコード(ユーザーが設定した4けたの暗証番号)も入力する必要があったが、このステップを廃止した。設定したPINコードを忘れてしまうユーザーも多いらしく、移管時にわずらわしい確認作業が発生してネックになる一方で、セキュリティ面でPINコードはあまり有効ではないと判断した模様だ。

 PINコードは2014年に、当時増加していたLINEアカウントの乗っ取り被害防止策として導入した機能で、LINEユーザーはPINコードを設定することが必須となっている。それが今回のアカウント移管手順の変更に伴い、2月以降はPINコードの設定機能じたいがLINEから削除される。

 その一方で、1)機種変更後に電話番号が変わる場合、2)Facebook認証を利用していて機種を変更する場合(電話番号が変わらない場合も含む)――のいずれかに該当するユーザーについては、あらかじめ旧端末側で移管操作を許可しておくステップを追加した。

 具体的には、LINEのアカウント設定に「アカウントを引き継ぐ」というオプションを追加。これをオンにした後、24時間以内に限り、新端末側からの移管操作を進められるようになる(24時間を経過すると、自動的にオフに戻る)。

(LINE公式ブログより画像転載)

 上記2つのケースでこれを有効にしないまま新端末側で移管操作を行った場合、移管作業が完了できない。旧端末側で同オプションをオンにしてからやり直すか、旧端末がすでに手元にない場合は登録メールアドレス宛に送信される認証URLにアクセスするステップが発生する。

 他人から推測されやすい安易なパスワードをLINEやFacebookに登録しているユーザーのアカウントを移管する操作が、別の端末から一方的に実行されてしまうのを防止するのが目的だという(ただし、前述のように登録メールアドレス宛の認証URLを使った操作も行えるため、メールアドレスのパスワードとLINEに登録したパスワードが同じユーザーは突破されてしまうことになる)。

(LINE公式ブログより画像転載)

 LINEによると、今回の仕様変更は、従来より取り組んでいる不正ログイン予防などを含むセキュリティ強化の一環として、かねてから準備していたもの。芸能人のトーク画面流出騒動とは無関係であり、1つのLINEアカウントを複数のスマートフォンから使用できないようにするといった目的でもないとしている。

 そもそも、旧手順・新手順ともに、アカウントの移管作業が正常に完了した後は、旧端末側で同一LINEアカウントが機能することはないという(複数台のiPhoneで同一LINEアカウントが機能する限定的なケースとして、PC/MacのiTunesでバックアップされたデータから別のiPhoneにアカウントを復元する方法があることは、LINEが22日付に出した「見解」で説明している)。

トーク履歴は引き継がれず、手順ミスによるデータ消失にも注意

 なお、アカウント移管操作により引き継がれるデータは、グループを含む友だちリスト、ノート/アルバムに投稿した内容、自分のプロフィール情報、ホーム/タイムラインの内容、購入したスタンプなどで、変更はない。これまで通り、過去のトーク内容は引き継がれず消えてしまうため、残したいトークを個別に保存する方法をあらためて案内している。iPhoneについては、「操作は自己責任で」と断った上で、iTunesのバックアップ機能を使ってアカウントおよびトーク履歴を引き継ぐ方法を紹介している。

 また、新端末にインストールしたLINEを起動した後、「ログイン」ではなく「新規登録」を選んで設定を進めてしまうと、新しくアカウントが作成され、友だちやグループ、購入したスタンプなどの全データが削除されてしまい、復活できないという仕様も変わっていないため、注意が必要だ。

(LINE公式ブログより画像転載)

(永沢 茂)