レビュー
自動化サービス「IFTTT」で一段上のステージへ! スマートプラグ&スマートスピーカーで作るさらにスマートな1日
2018年5月10日 06:00
前回は、“スマートプラグ”のTP-Link「HS105」とスマートスピーカー「Amazon Echo」シリーズを組み合わせ、難しい設定なしに1日の生活を簡単に便利にする方法を紹介した。ただ、各機器の純正アプリの機能をそのまま使っているだけなので、生活スタイルによってはしっくりこないタイミングでHS105の電源がオン/オフされてしまうこともある。
HS105をもっとフレキシブルに、もっと自分の生活に合う使い方ができないだろうか。そこで活用したいのが、自動化サービスの「IFTTT」だ。「もし○○したら、△△する」といったような、トリガー(きっかけ)とアクション(処理)を指定することで、さまざまなウェブサービスや機器などとの連携を自動化できるというものだ。
朝の起床から夜の就寝まで、前回と同じシチュエーションでも、IFTTTで少し凝ったセッティングをすることで、より自分の生活にマッチする使い方ができるようになるはずだ。
「「スマートプラグ&スマートスピーカー」レビュー」記事一覧
【記事目次】
・「起床」その1~1日の始まりにスマートスピーカーを起動
Androidでの設定方法
iPhoneでの設定方法
・「起床」その2~寝坊がちな家族を音楽で起こそう
マルチルームミュージックの設定
・「外出中」その1~家を出るときに使わない家電をまとめてオフに
自宅を離れたら/近づいたら、家電をオン/オフする設定
・「夜」~家族の健やかな眠りも自動でサポート
Androidで就寝時にオフにする設定
・ほかのサービス・機器との相性バッチリのHS105
「起床」その1〜1日の始まりにスマートスピーカーをスタート
前回は、HS105を音声で操作できるAmazon Echoシリーズと組み合わせ、HS105用アプリ「Kasa」の「スケジュール」機能を利用する方法を紹介した。常時通電状態で動作するスマートスピーカーの電源を就寝中はオフにしておき、毎日の起床時刻に合わせて使えるよう電源をオンにする、というものだ。しかしこの方法にはいくつか課題がある。
例えば、指定時刻のオンでは、毎日必ず決まった時刻に起床する人しか使えない。日の出のタイミングにするにしても、冬の間は電源がオンになるのがずいぶん遅い時間帯になることもある。理想的には、その日(平日か週末か)によって異なるであろう起床タイミングに合わせて、自動で電源がオンになって欲しところ。
少し手間は掛かるが、そうした起床時刻に合わせた電源オンの自動化も実現可能だ。用意するのはIFTTTと、Androidスマートフォンなら「Sleep as Android」アプリ。iPhoneであれば「Googleカレンダー」アプリをインストールしておこう。
Sleep as Androidと連携した場合は、あらかじめ設定したアラームのタイミングでHS105の電源をオンにできたり、指定時刻前の目覚めやすい“スマートな”タイミングで電源をオンにできたりする。iPhoneの場合は、「Googleカレンダー」で予定として登録した“起床”のタイミングで、電源をオンにすることが可能だ。繰り返し設定を上手に使って、平日用と休日用、夏用と冬用の起床予定を登録しておこう。
「起床」その2〜寝坊がちな家族を音楽で起こそう
寝室のBluetoothスピーカーをHS105に接続しておき、キッチンのEcho Dotから声で命令して通電させた上で、Echo DotとBluetoothスピーカーを連携して音楽を流す。こうすることで、寝坊している家族に気持ちのいい目覚めを提供することができる、というのが前回の話。しかしこの方法にも、ちょっとした難点がある。
というのも、キッチンと寝室が遠く離れているとBluetoothの電波が届きにくくなってしまうのだ。加えて、安価な小型Bluetoothスピーカーでは、音質面でそれほど期待できない。これを解決するのが、複数のEchoシリーズを連携させる「マルチルームミュージック」機能だ。複数のEchoから同じ音楽を流したり、それぞれで別の音楽を再生したりできる。何よりEcho Plusは、大型の筐体で口径の大きなスピーカーを搭載しているので、音質が段違いなのもいいところだ。
Echo DotとEcho Plusの2台を連携させ、寝室に置いたEcho PlusはHS105に接続。就寝中はオフにして待機電力を抑え、朝になったらハイクオリティなサウンドで目覚められるようにする、という使い方をぜひ試してみてほしい。
「外出中」その1〜家を出るときは使わない家電をまとめてオフに
朝、自分は会社へ出掛け、家族も外出するときは、使わない家電の電源をできるかぎりオフにしておきたい。HS105を使うことで、忙しい朝でも出掛ける前に一瞬で家中の家電をオフにできるので、簡単に電気代を節約できるわけだ。
とはいえ、複数のHS105を一括で操作できるKasaアプリの「シーン」機能を使う方法では、アプリのボタンをタップするにしても、Echoに話し掛けるにしても、オフにするのはやはり面倒だ。こういうときはIFTTT連携で、何もしなくても、家を離れたら勝手にオフになるように設定しよう。
IFTTTのトリガーとなる「this」では、「Location」の「You exit an area」で自宅を指定。アクションとなる「that」にはKasaの「Activate scene」で、あらかじめKasaに登録しているシーン名(今回の例で言えば「留守番モード」)を選ぶ。これで、自宅から離れたら自動で複数のHS105をオフにすることが可能だ。
帰宅用には、同じくIFTTTのトリガーで「Location」の「You enter an area」を指定し、アクションはKasaの「Activate scene」で「在宅モード」などを選ぶ。自宅に近付いたときに自動で電源がオンになり、玄関ドアを開ける頃には、すべての家電が完全に使えるようになっているはずだ。
ところで、家族がバラバラに外出する場合は、どう設定するのがいいだろうか。後に出掛ける方が全部をオフにし、先に帰ってくる方が全部をオンにする、と決めてもいいかもしれない。が、外出や帰宅は自分が先か家族が先か、日によって異なることもあるから、自動化は困難だ。こういうときは、自分が家を離れたら使わない家電と、家族が家を出たら使わない家電を分けてシーン登録し、自分と家族がオン/オフする家電を変えるのが良さそうだ。
「夜」〜家族の健やかな眠りも自動でサポート
夜の就寝時間帯、寝室に置いたBluetoothスピーカー(に接続したHS105)が自動で通電するようKasaアプリのスケジュールを設定。Echoに声で命令して、Bluetoothスピーカーで眠気を誘うリラックスミュージックを再生する……というのもいいのだが、これだとちょっと夜更かししただけで、就寝前に家電が使えなくなってしまうこともあり得る。
そうならないよう、できるだけ熟睡している間だけオフにしたいなら、やはりSleep as AndroidとIFTTTを連携させるのがお勧めだ。iPhoneの場合は、起床時と同じくGoogleカレンダーとIFTTTを連携させよう。シーン機能で、就寝時用に複数のHS105をまとめてオフにする設定を用意しておくのもお勧めだ。
Sleep as Androidには、枕元にスマートフォンを置いておくことで、眠りの質を分析できる機能がある。IFTTTと連携することで、この分析をスタートさせたときと、睡眠(rem)状態になったときの2種類のタイミングで、HS105のオン/オフを切り替えられるようになっている。分析をスタートしたとき、つまり手動で画面をタップしたときにHS105をオフするか、あるいは睡眠状態になったのをトリガーに自動でオフにするかは、好みに応じて選ぼう。
ただし、睡眠状態は一晩のうちに何度も訪れることがあり、そのたびに電源オフの処理が実行されることになる。元々電源オフのときに再度電源オフを実行しても問題はないが、不要な通信などが発生していることにもなる。もし気になるなら、分析スタート時に電源をオフにする設定を利用したい。
ほかのサービス・機器との相性バッチリのHS105
HS105用のKasaアプリも、Echo用のAmazon Alexaアプリも、機能が決して少ないわけではない。けれど、この2つのアプリだけで、1人1人生活スタイルの異なるユーザー全員のニーズを過不足なくカバーするのは難しい。それを補いつつ、さらに進んだ活用を可能にするのがIFTTTだ。今回、それほど複雑なテクニックは使っていないものの、割と実用度の高い仕組み(の基本形)になったのではないだろうか。
IFTTTは、うまく使えば強力なツールになる。HS105の場合、電源をオン/オフするというシンプルな機能を持つだけに、IFTTTを利用したほかのウェブサービスや、スマート家電などのIoT機器との連携の相性もいい。
今後も新しいサービスや機器をどんどん連携させて独自のスマートライフを模索し、理想の暮らしに近付けようとしたとき、スマートプラグのHS105がその大きな支えになってくれるに違いない。