レビュー

電波の悪い2Fがメッシュで改善、一軒家のネット環境が超快適に

ネットギア「Orbi Micro」レビュー

冷蔵庫横並びレビューなど、大型家電を検証している「家電ラボ」

 ご存じの方もいるかもしれないが、私の妻は白物家電ライターで、毎日いろいろな家電の検証を行い、記事を執筆している。しかし、冷蔵庫や洗濯機などの大型家電の検証を自宅で行うのはスペース面から無理があり、こうした家電の検証用として、2階建て3LDKの一軒家を自宅近くに借り、「家電ラボ」として運用を始めた。

 当初はインターネット環境がなく、モバイルWi-Fiルーターを持ち込んで作業を行っていたが、やはりそれでは不便なので、NURO光を契約。光回線の開通で一気に快適になった。ただ、部屋によってはWi-Fiの電波が弱く、通信速度が低下していた。そこで、メッシュWi-Fiルーターを導入して、電波状況の改善を図ってみた。

ルーター1台とサテライト2台がセットになったNETGEAR「Orbi Micro スターターキット RBK23-100JPS」

メッシュWi-Fiで、カバーエリアを広げて電波状況を改善

 メッシュWi-Fiルーターの“メッシュ”とは、ルーターとサテライトによって構成される網目状のネットワーク(メッシュネットワーク)を意味する。

 ルーターが1台、サテライトが1台であればシンプルに1対1で接続されるが、サテライトが2台になると、ルーターとサテライトA、ルーターとサテライトB、サテライトAとサテライトBというように、複数の経路ができる。メッシュWi-Fiを利用して、適切な場所にサテライトを配置すれば、Wi-Fiのカバーエリアを効果的に広げ、電波状況を改善できるわけだ。

 以前からある中継機(リピーター)でも、Wi-Fiの電波状況は改善できる。しかし、中継機を用いた場合、通常は接続先として、中継機のSSIDか、元のルーターのSSIDかを明示的に選ぶ必要があった。メッシュWi-FiではSSIDは1つで、どの機器に繋ぐかを意識する必要がなく、最適な機器が自動的に選ばれて接続される。

 さらに中継機は、ルーターに接続する台数が増えるほど、ルーターからの通信先が増え、速度が遅くなってしまう。また、子機が移動した場合にも、中継機では手動で接続をつなぎ直さないと、遠い方から近い方へ切り替わらないこともある。

 これに対してメッシュWiーFiでは、Wi-Fi子機が接続する際に、前述した複数の経路のうち最適なものを自動で選んでくれるのがメリットだ。しかし、5GHz帯と2.4GHz帯で、それぞれ1つの帯域しか利用できないデュアルバンドの製品では通信経路が限られるため、カバーエリアは広がっても速度が半減してしまう欠点がある。

 メッシュWi-Fiでもトライバンドに対応した製品であれば、ルーターやサテライト同士によるメッシュネットワーク内の通信(バックホール通信)に、Wi-Fi子機との接続とは別の周波数帯を用いることができるため、通信速度が低下しない利点がある。

 2階建ての一軒家など、ある程度の広さをWi-Fiでカバーしたいなら、とくにトライバンドに対応するメッシュWi-Fiルーターの導入が効果的だ。ここでは、数あるメッシュWi-Fiルーターから、国内では最初にメッシュWi-Fiの提供を開始したメーカーで、米国では高いシェアを誇っている。ネットギアジャパンの製品で、トライバンドに対応する「Orbi Micro」を選んだ。

NETGEAR「Orbi Micro」のルーター1台+サテライト2台で、最大200平方メートルの中規模家屋をカバー

 NETGEARと言えば、古くから信頼性の高さで定評のあるネットワーク機器メーカーだ。そのNETGEARが提供するメッシュWi-Fiルーターは「Orbi」と名付けられ、家庭向けの「Orbi」と「Orbi Micro」、法人向けの「Orbi Pro」の3シリーズがラインアップされている。

 「Orbi」がハイエンド、「Orbi Micro」がエントリー向けの位置付けなのだが、最大の違いはルーターやサテライト同士が通信を行うバックホールの最大通信速度だ。Orbiが5GHz帯の4×4 MIMOで1733Mbpsなのに対し、Orbi Microは5GHz帯の2×2 MIMOで、半分の866Mbpsとなる。

 ただし、この周波数帯はバックホールのみで使われ、PCやスマートフォンといったWi-Fi子機と通信を行う帯域の最大通信速度は、OrbiもOrbi Microも5GHz帯が866Mbps、2.4GHz帯が400Mbpsで同じだ。

 ルーターやサテライト1台がカバーできる面積も、Orbiの175平方メートルに対し、Orbi Microは100平方メートルと狭いし、1台あたりの有線ポートも。Orbiの4基に対してOrbi Microは2基だ。その分、本体サイズはOrbi Microの方が一回り以上小さい。

Orbi Microのルーターの背面。サテライトでは、周りが黄色く塗られた「Internet」のところも「Ethernet」となっている

 OrbiとOrbi Microのどちらを選べばいいかは、設置する住宅の床面積やWi-Fi子機の数によって変わる。NETGEARのウェブサイトによれば、最大200平方メートルまでの中規模家屋なら、ルーター+サテライト1台構成のOrbi、ルーター+サテライト2台構成またはルーター+サテライト1台構成のOrbi Microの3パターンのいずれかがふさわしいという。

 家電ラボは2階建て3LDKで、中規模家屋に相当するので、ここではルーター+サテライト構成のOrbi Microを利用することにした。Orbi Microは、性能的にもサイズ的にも、日本の家屋にぴったりの製品といえるだろう。

Orbi Micro導入前にWi-Fi電波状況をチェック、2Fは全体的に電波強度が弱い

 まず、Orbi Microを実際に導入する前のWi-Fiの電波状況をチェックしてみた。今回は「Radish Network Speed Testing Ver. 5.3.5.0β」を利用して速度を計測した。

 NURO光に契約後に送られてきたONU兼Wi-FiルーターはZTEの「ZXHN F660A」で、1Fのキッチンの角(冷蔵庫の上)に設置していた。このため、1FではWi-Fiの接続に問題は感じていなかったが、2Fは全体的に接続が悪く、特にクローゼット内では、Wi-Fiに接続できないこともあった。

 こうした状況が、Orbi Microの導入で、どれだけ改善されるのだろうか?

 なお、Android/iOS向けアプリ「NETGEAR Genie」の1機能である「WiFi Analytics」を利用すれば、混雑しているチャンネルや信号強度といったネットワークの状態が確認できるので、参考にして欲しい。なお、NETGEAR以外のルーターでも、このアプリでの測定が可能だ。

Orbi Microの設置はスマホアプリだけで予想以上に簡単

 では実際に、Orbi Micro導入の流れを紹介しよう。その手順は予想以上に簡単だった。Wi-Fiルーターのセットアップと言えば、昔は結構面倒なものも多かったが、Orbi MicroではPCを使わず、スマートフォンだけで簡単にセットアップが完了する(もちろん、PCを使ったセットアップも可能)。

一番左がルーター、中央と右がサテライト。サイズや形状は同じだが、ルーターは上面が水色になっている。ルーターに貼られたシールにSSIDやパスワードが書かれていて、簡単にはがすこともできる

 Orbi Microの箱を開けて、ルーターとサテライトを取り出したら、Android/iOSアプリ「Orbi」をスマートフォンにインストールする。アプリを起動したら、ルーター本体に貼られているシールのQRコードをカメラで読み込み、画面の指示に従ってケーブルなどを接続していくだけでセットアップが完了する。

スマートフォンの「Orbi」アプリを起動し、ルーターに貼られていたシールのQRコードを読み込む
ルーターのInternetと書かれているポートにLANケーブルを接続。もう一方はNURO光のONU兼Wi-Fiルーターにつないでおく
ルーターは、冷蔵庫の上にあるNURO光のONU兼Wi-Fiルーターの隣へ設置してみた

 ルーターのセットアップが終わったら、続いて2台のサテライトを設置していく。メッシュネットワークを構成できたかどうかは、上部のリングLEDの色で分かる。リングLEDが青色に点灯すれば、正しくメッシュネットワークが構成されたことになる。今回は、電波の弱かった1Fバスルームの近くと、2Fの空気清浄機テスト用の部屋に、それぞれサテライトを設置した。

1Fのサテライトは、バスルームのそばに設置。OrbiのLEDがピンク色なのは設置作業中のため
上部のリングLEDが青色に点灯すれば、メッシュネットワークに正しく接続されたことになる。LEDはしばらくすると消えるので、明るさが邪魔になることはない

 続けてOrbiアプリで初期設定を進めていく。アプリでは、デバイスの接続状況などが確認できるほか、ファームウェアのアップデートも行えるので非常に便利だ。

スマートフォン用の「Orbi」アプリを使えば、簡単にセットアップが可能だ
Orbiアプリは、画面のように図や写真がふんだんに使われているので、初心者にも分かりやすい
自動的にネットワークを検出し、モバイルデバイスの接続が確立される
サテライトの電源を入れるだけで、自動的にサテライトが検出され、メッシュネットワークが構築される
接続されているデバイスを確認したり、ネットワークマップを表示させることもできる
ネットワークマップを表示させたところ

Orbi Microで電波状況が改善、通信速度も大きく向上

 さて、Orbi Microの導入によって、Wi-Fiの電波状況はどのように変わったのだろうか。

 Radish Network Speed Testingを用い、通信速度を5回計測した平均を表にまとめた。表を見れば分かるように、Orbi Micro導入の効果は大きい。もともと電波状況がよかった1Fでは、あまり速度に変化がないところや、若干遅くなっているところもある。

 しかし、特に電波が弱いと感じていた2Fに関しては、全ての場所で上り/下りとも速度が向上。2F物置中央では、上りの速度が2倍以上に向上し、さらにほとんどの場所で下り速度400Mbps以上を記録するなど、電波状況が大幅に改善したことを確認できた。

 このように、家電ラボのすべての部屋で、快適なインターネット接続環境を享受できるようになった。

Orbi Micro導入前Orbi Micro導入後
下り上り下り上り
1Fキッチン中央408.85357473.25311.2
1Fリビングテーブル395.7237.75519.25364.2
1Fリビングソファの中央420.75207.545401.7366.9
2F寝室359.55222.75432.1248.35
2F空気清浄機テスト部屋416.1308.5456.5353.8
2F物置中央284.9162.4397.9374.1
2F自動掃除機テスト部屋277.5242.9444.25358.65

2階建ての一軒家などに住み、Wi-Fiのカバー状況に不満がある人にお勧め

 今回は家電ラボに、NETGEARのメッシュWi-Fiルーター「Orbi Micro」を導入してみたが、その効果は絶大であった。

 同様の2階建て一軒家や、床面積が広いマンションなどでは、Wi-Fiルーター1台だけではどうしても電波の死角ができやすい環境だ。自宅でスマートフォンやタブレットなどで配信されている動画を楽しんでいるが、自分の部屋ではイマイチ接続が安定せず、動画が途切れてしまうといった人も多いことだろう。

2Fのベッド部屋で、Switchでオンラインプレイを楽しんでいる息子。ラグなどもなく、快適に遊べると喜んでいた
私もときどき家電ラボで仕事をすることがあるが、高速なインターネット環境により、快適に仕事ができるようになった

 そうした人には、Orbi Microはまさにぴったりの製品だ。デザイン的にも優れており、シンプルで主張しすぎない白を基調とした外観で、リビングなどにも違和感なく置くことができる。メッシュWi-Fiルーターの導入で無線の帯域も分散されるので、Wi-Fi対応機器を数多くお持ちの方にもお勧めできる。

(協力:ネットギアジャパン)