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Windows Server 2008はサポート切れ目前、低コストのNASへのファイルサーバー移行を検討してみた
あなたのファイルサーバー、もうすぐサポートが切れるかも?
2019年6月26日 06:00
Windows Server 2008 R2/2008のサポート終了が、約半年後の2020年1月14日と迫ってきた。移行のタイミングとしては、すでに、あまり余裕がない状況とも言える中、ファイルサーバーからの低コストで手軽な移行先として注目を集めているQNAP NASの特徴に迫ってみた。
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リスクが高いサーバーOSのサポート終了
2020年1月14日と言えば、クライアントOSであるWindows 7のサポートが終了する日だ。
法人・個人を問わず、多くの利用者が存在することもあって広く告知され、対策も着々と進んでいるが、実は同じ日、サーバーOSであるWindows Server 2008 R2/2008のサポートも終了することは、それほど知られていない。
大規模な組織であれば、Windows 7のサポート終了と同時に既存のサーバーの棚卸しも実施され、クライアントOSであるWindows 7と同時に、サーバーOSであるWindows Server 2008 R2/2008からの移行も計画されるだろうが、小規模なオフィスや、大規模な組織でも部門単位で利用されているサーバーなどでは、こうした計画が忘れられがちで、まだまだ現役でWindows Server 2008 R2/2008が使い続けられているケースも少なくない。
もちろんサポートが終了しても、すぐにサーバーが使えなくなるわけではない。
では、何が困るのかというと、マルウェアや不正アクセスといった外部からの攻撃に対して、サーバーが無防備になってしまうことだ。
サポートが終了すると、Windows Server 2008 R2/2008に対して、Microsoftから新規のセキュリティ更新プログラムが提供されなくなる。
つまり2020年1月14日以降は、万が一、外部から悪用されるような脆弱性がWindows Server 2008 R2/2008に見つかっても、修正されずに放置されるため、その被害を受けやすくなるわけだ。
企業で使われるサーバーであれば、人事や会計、設計など、あらゆる分野の重要なデータが保存されているケースが多い。さらにアカウント(特に管理者アカウント)が攻撃にさらされると、組織に与えるダメージが、より深く、より広がってしまうのは確実だ。
管理が行き届きにくい環境では、現在、どのバージョンのWindows Serverが実行されているのかが、きちんと把握されていないことすら考えられる。できれば、今すぐにでもサーバーOSのバージョンを確認し、Windows Server 2008 R2/2008だったなら、すぐにでも移行の準備を開始すべきだ。
Windows Server 2008 R2/2008の移行先としてNASが注目される理由
とは言え、サーバーを最新の環境に移行するには、時間や費用の問題が、大きくのしかかってくる。
サーバーOSは、クライアントOSに比べて基本的に高価だ。さらにOSのバージョンが変わると、ネットワーク経由でサーバーへアクセスするためのライセンス(CAL)も、改めて購入し直さなければならない。
ハードウェアを流用できればいいが、Windows Server 2008 R2/2008の世代のハードウェアはすでに古くなっているので、性能の低下に加えて故障のリスクも高くなる。
ハードウェア、OS、CALの準備、そして、その設置や設定に要する時間と費用まで考えると、思わず問題を先送りしたくもなるが、サポート終了までに残された時間は半年しかない。もはや、その猶予すらないわけだ。
このため、小規模なオフィスや部門単位で管理しているような、比較的シンプルなファイルサーバーでは、脱Windows Serverの動きが広がりつつある。
具体的な移行先として採用例が増えているのが、QNAPを代表とするNASだ。今回は、小規模な環境に最適なコストパフォーマンスの高いQNAPの4ベイNAS「TS-453Be」を一例として、Windows Serverからの移行を考えてみよう。
理由1:ファイルサーバーとしての実力
もともと、低価格ながら高性能なファイルサーバーとしての人気が高いNASだが、最近のモデルは、SSDを追加することにより、高速なキャッシュを利用できたり、ストレージを階層化してアクセスが頻繁なファイルだけを高速化することができる。高性能なCPUの採用や、より高速な10GBASE-Tへの対応などによって、ファイルアクセスも高速化され、同価格帯のサーバーと比べてもコストパフォーマンスが高い。
理由2:Windows Serverとの互換性
QNAPの最新のモデルは、Windows ServerのActive Directoryと互換性を持った機能を標準で搭載している。既存のActive DirectoryのメンバーにNASを追加できるだけでなく、NAS自身をActive Directoryのドメインコントローラーとして稼働させることができる。
Sambaの機能となるため、WindowsのActive Directoryが持つ機能すべてを実現できるわけではないが、ユーザー認証やアクセス権限の設定といった、ファイルサーバーとしてのシンプルな機能は、NAS単体で十分に実現できる。
理由3:サポート切れに悩まされない
QNAPのNASは、購入後、無料でOSのアップデートが継続される。このため、NASへの移行後は、今回のようにWindows Server 2008 R2/2008のサポート終了により、サーバーなどの大規模な環境移行に悩まされることがない。
理由4:CALが不要
冒頭でも触れたように、Windows Serverではサーバーに接続するクライアントごとに、CAL(Client Access Licence)と呼ばれるものを別途購入する必要があるが、QNAPのNASではCALは不要だ。このため、NASを利用するクライアントの台数に関係なく、一定の費用で導入できるため、予算の確保や決済を受けやすい。
NASへの不安を払拭
ここまで触れたように、QNAPのNASは、Windows Server 2008 R2/2008からの移行先として、十分な実力を備えている。
ただし、サーバーの用途や役割は、組織によっても異なるので、移行には慎重な検討が必要だろう。例えば、以下のような不安が考えられる。
設置や設定は簡単?
ハードウェアのセットアップは、HDDを装着するだけと簡単だ。しかも、専用HDDトレーを採用しているので、ドライバーを使わずにHDDを装着可能。電源とLANのケーブルを接続して電源を投入後、「https://install.qnap.com」からクラウド経由でOSをインストールしたり、HDDを初期化したりして、手軽にセットアップできる。
管理は簡単?
QNAPのNASには、PCのウェブブラウザーでアクセスできるデスクトップライクなGUIが採用されていて、各種設定が簡単に行える。コントロールパネルからNASのネットワーク設定を変更したり、ストレージの構成を変更したりすることができる。また、リモートアクセス機能も備えているため、外出先からNASのデータにアクセスしたり、管理することも可能だ。
サポートは?
QNAPの国内正規代理店からNASを購入すれば、製品のテクニカルサポートや故障対応のサポートなどを、電話でスピーディーに日本語で受けることができる。もちろんウェブフォームからの連絡なども受け付けている。
データの安全性は?
複数台のHDDでRAIDを構成できるので、HDDが故障しても簡単に交換が可能。また、スナップショット機能や、外付けHDDや別のNAS、クラウドへのバックアップ機能も備えるので、データは確実に保護できる。
WindowsのActive Directoryと同じ機能を使える?
QNAPのNASでは、SambaのActive Directory機能を利用している(本稿執筆時点ではSamba 4.4.16、プロトコルはSMB 2.1)。SambaのActive Directory Domain Controllerについて、詳しくはこちらを参照してほしいが、WindowsのActive Directoryが持つすべての機能を備えているわけではない。ただ、ファイルサーバーとして使うのに不可欠なユーザー認証やアクセス権限の設定といった機能は、もちろん利用可能だ。
このように、これまでNASを利用した経験がなくても、その導入は簡単で、シンプルなファイルサーバーであれば、Windows Server 2008 R2/2008からのリプレイスでも問題は全くない。
「Windows Server 2008 R2/2008から移行しなければならないが、予算があまりない……」という悩みを抱えているなら、その移行先として、QNAPのNASを検討する価値は十分にあるだろう。
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(協力:テックウインド株式会社)